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2021年08月26日

これからの集団の可能性~動物から学ぶ母系社会の共通構造~

前回の記事にて、母系社会は、大昔の人類にとって当たり前であったとお伝えしました。
が、実は自然の摂理を遡ってみると、動物の世界自体が【メスを中心に構成されている】という事実が見えてきます。

静岡市立日本平動物園のニュースペーパー”でっきぶらし”より」
より
メスとオスの差異がある生物ならば、まず例外なく、判りやすくいえば群れをつくる性質をもつ生き物は皆、ゾウもキリンもライオンもハチやアリも女系です。つまり生物とは群れをつくっているものならば女系で、もっとかみ砕いて人間的に表現すれば、事実上群れとはメス達のもので、オスのものではない、といえます。これは、群れをつくる習性をもつ種類の生物だけではなく、普段は単独で行動する生物も同じで、繁殖行動を主にして観れば、オスには繁殖相手を選択する自由?はあっても決定権はなく、メスには繁殖相手となるオスに対して選択権も決定権もあり(つまりメスがオスを選んで繁殖相手を決定しているのです)、だからこそ、色々な種類の生物のオス達は、それこそ必死になって求愛行動と呼ばれるアピール行動をします。アピールをして成功し、メスに選んで貰わなければ、自分の遺伝子が残せないから…繁殖に関する最終決定権が、オスには無くメスの方にあるから…。

また、哺乳類における母系家族のリーダーは、「おばあちゃん」であるという点も発見しました。

認定NPO法人トラ・ゾウ保護基金 ゾウの生態より」
ゾウは群れで暮らす高度に社会的な動物で、寿命は60歳以上です。母系の群れで、メスとその子が単位ですが、おばあさん、出産を終えた娘たち、孫たちという構成がよくみられます。母親、おばあさん、叔母さんはもちろん、5歳以上のメスゾウは皆で子ゾウの面倒を見ます。群のリーダーはおばあさんです。孫たちに危険があるとそのリーダーシップのもと子ゾウは群れで囲み込み、みんなで子ゾウを守ります。オスたちは12~15歳くらいの時期に群れから独立し、同じ年頃のオスゾウどうしで群れることが多いですが、やがて単独で暮らします。

 

平和な母系社会を営むイルカたち その1 より」

多くの海洋生物学者や動物行動学者は、その柔軟な世界の背景に、母系性の社会構造が大きな位置を占めていると考えています。

世界中で研究されているイルカのほとんどは、例外なくアルファーメスのリーダーを持ちます。
すなわち、おばあちゃんイルカです。
ポッド(群れ)で生まれる子供たちはみんな、祖母・母親を中心にお母さんの兄弟すなわち、おばさんやおじさん、いとこたちに囲まれ、大事に育てられます。

大人になっても家族を離れることなく、後から生まれてくる兄弟やいとこのめんどうを見ながら、自分が大人になるための勉強をしていきます。
雄だけでグループを組んだり、ポッドから少し離れて生活する例もありますが、まったく母親やポットから離れることはほとんどなく、しっかり家族を守る役割を持っています。

なかには、暴れん坊イルカもいますが、あくまでも実権がおばあちゃんに握られているため、家族内の平和はしっかり保たれているようです。
しつけはなかなか厳しいながらも、深い母性愛が感じられます。
おばあちゃんの死んだ後は、普通その長女が後を引き継ぎ、かしらとなります。

***

調べていくと他の動物でも同じような特徴が見えてくると思います。
これらの自然の摂理から見えてくる、母系社会の共通構造とは…
★種の存続の中心となる、繁殖行動を安定的に継続するためには、メスが群れて協力しあうこと。
※ちなみに、繁殖行動とは子孫をつくるための行動すべてを指す。具体的には、異性を求め、交尾し、必要に応じて巣を営み、産卵、育児を行うこと。(交尾だけではないんです!)
★メスの群れにおける長は、おばあちゃん。おばあちゃんのもとで、兄弟やいとこの面倒を見ながら大人になる準備をする。
(一般的なサルの場合は、自分が生まれた群れから生涯離れない。血縁の近しいメスたちが常に一体となって動いている。)
★メスの群れの主な課題は、繁殖や子育てなどの安定的な集団づくりなので、争いが少ない。
(逆にいうと、群れに所属しないオスたちは単独で行動しながら、自然外圧や他のオスとの闘いに勝ち、生き延びたオスだけが群れにいるメスと出会うことができる。種の中でも強いものの遺伝子が受け継がれるシステムとなっているんですね!)

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