2018年08月30日
シャーマンとは何か?3~高度・高速な統合機能を担う扁桃体
『生物史から、自然の摂理を読み解く』「扁桃体がシャーマン脳の鍵を握る」の後半を要約します。
・扁桃体は側頭葉の内側、海馬のやや内前方に位置し、長さ15-20mm程度のアーモンド(扁桃)型をしている。
・扁桃体は最も古い「旧皮質」に位置し、「古皮質」に位置する海馬などよりも古い。扁桃体は嗅脳とともに脳が形成される魚類から存在するが、海馬などは両生類以降。
・扁桃体は、多数の核(神経細胞の集まり)から成る複雑な構造を持つが、大きくは「外側核」と「内側核」に大別され、この二つは相反する働きを持つ。たとえば、摂食行動を一方は抑制し、他方は促進するなど。
・扁桃体の神経細胞は、錐体細胞と星状細胞という二種類から成っており、錐体細胞は長い突起で外部との連絡を行い、星状細胞は扁桃体内部の回路と考えられている。
・扁桃体が複雑な機能をもつ理由の一つに神経伝達物質の多さがある。ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン、アセチルコリンなど20種類以上。
・扁桃体には、五感のすべての情報が集中する神経回路網が連絡しており、快感回路=ドーパミン神経回路網なども含まれている。視床下部との連絡回路も発達しており、視床下部の様々な活動をコントロールしている。
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扁桃体が魚類(脊椎動物)から登場した。つまり、脊椎という中枢神経スピードを上げる機能と同時に、扁桃体も登場した。下図は、扁桃体を中心とした神経回路の概要図(上:外側面、下:内側面)であるが、その下のチャート図にあるように、
脊椎→脳幹→扁桃体は直結しており、視聴覚だけではなく全身でキャッチした外圧情報が脊椎を高速で伝わり、扁桃体に集約される。扁桃体では多種多様な神経伝達物質を使って、瞬時に複雑な価値判断をして、行動方針を全身に伝達する。このような高度・高速の統合機能を担っているのが扁桃体ではないだろうか。
- posted by KIDA-G at : 2018年08月30日 | コメント (0件)| トラックバック (0)