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2019年10月18日

2019年10月18日

カンブリア紀 ~生物はいかにして「眼」を獲得したのか?~

★カンブリア紀になぜ動物たちの間に突如多彩な表現型の生物たちが現れたのか?

以下、「眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く」(リンク)を要約します。

進化に「最適な環境」や「きっかけ」が必要だったはずです。では、その「最適な環境」もしくは「きっかけ」とは何だったのでしょうか?そこにはいくつかの説があります。
(1)「酸素濃度の急激な増加」、「二酸化炭素濃度の減少」
これにより、生物がより大きなエネルギーを利用できるようになり、それがより広い地域に対応するための進化のエネルギーになったのではないか?
(2)「利用可能なリンの量が増えた」
地表から溶け出したリン酸カルシウムにより、生物の骨格の発達し、それにより進化が可能になったのではないか?
(3)「大陸棚面積の増大」
浅い海である大陸棚が広がることで光合成が可能な地域が増え、それが植物プランクトンを増やし、生物全体の絶対量や行動範囲を拡大させ、それが進化にはずみをつけた。

しかし、これらの説はどれも仮説であり、定説と言えるようなものは今まで存在していませんでした。この科学界における最大の疑問のひとつに大いなる解答を出して見せたのが、「眼」の誕生です。カンブリア紀の化石調査から、最初に眼を獲得した生物は、三葉虫の一種だと考えられています。アンドリュー・パーカー著『眼の誕生』によれば、生物が「眼」を持ったことで、進化のスピードが急激にアップし、「カンブリア紀の大爆発」に結びついた考えられています。

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先カンブリア時代には、競争や捕食が主要な淘汰圧になることはなかったはずですが、足場を固めつつあったことはたしかです。先カンブリア時代のエディアカラ動物は、徐々に脳を発達させつつありました。環境中の刺激や新奇なものを感知し、その情報を処理する方法を発達させつつあったのです。また、噛み砕く能力を進化させている最中で、附属肢には徐々に硬組織の萌芽が現れつつありました。

光感受性をもつ部位が、その精度を増し、しかも別個のユニットに分かれつつあったのです。個々のユニットから出ている神経がその数を増し、それにつながる脳細胞の数も増えていきました。それらの神経や脳細胞は、数を増すか、他の感覚に接続する配線や処理システムが借用されるかしていました。それと同時に、個々のユニットの覆いがふくらみ、集光力をもちはじめた。ある日、そうした変化がクライマックスに達し、複眼が形成されました。

眼が開けば動物の大きさも、形も、色もわかります。さらに、その行動も見てとれるので、逃げ足はどれくらい速いか、捕まえられるかどうかの判断もでます。動物のそのような特性は、カンブリア紀のはじめ、眼をそなえた最初の積極果敢な捕食者が地上に導入されたとたんに重要性を帯びるようになりました。そしてこの時点から、すべての動物が光に、つまり視覚に適応しなくてはならなくなったのです。

★最初の「眼」とは、どんなものだったのか?
「植物」が光に反応して向きを変えるように、単なる光に反応するセンサーの一種「光受容細胞」だったと考えられます。そして、その「光受容細胞」が精度を高めるためにより集積することで、より優秀な光感知システムができてゆきます。「眼」の出発点となったのは、光感受性のある皮膚の斑点でした。これが内側にへこみはじめ、さらにどんどん陥入して検知器を形成し、光の方向に対する感受性を増していったと考えられます。それが「眼杯」を誕生させました。そこで道は分かれます。眼杯はそこで袋小路に達し、別の道はオウムガイの窩眼へといたりました。そこでまた、今度はレンズを発達させる道へと分かれ、最終的には脊椎動物に典型的なカメラ眼へといたることになります。

眼が誕生するのは、光受容細胞が本格化して「網膜」を形成したとき、すなわち、眼の内側が神経細胞の薄い膜で覆われたときである。網膜は、そこに投影された像ならば何でも正確に検知するため、何らかの装置をつけ足して、網膜上に鮮明な像を結ぶことが肝要です。光の採り入れ口の数によって、眼は単眼と複眼の二種類に分類できます。

眼のレンズ部分が少しずつ進化することは、ごく自然にありうることと考えられます。問題はそうやって得られた光の情報を脳に伝え、それを映像へと処理する高度なシステムの誕生です。そこには、視覚以外の感覚に対する脳の進化が不可欠だったと考えられます。それこそが、「眼の誕生」にとって完成への最後のステップでした。幸にして生物の脳は確実に進化し続けていたため、高度な視覚情報の受け入れ準備はできつつあったと考えられます。そうやって成長した脳の機能に、ある時、偶然視覚情報が流れ込み、それを混乱しながらも脳がなんとか処理してしまった時、原始的な「眼のシステム」が誕生したと考えられます。

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