2007年03月10日
母系なのに嫁入りって?=母系社会の3つの形態=
<母系・父系の継承について>で、母系社会を男女の移籍という視点でみると、大きく3つのタイプに分かれると書きましたが、もっとも反響を呼んだ嫁入り婚でありながら母系という、摩訶不思議なトロブリアンド諸島の社会を紹介します。(↓こんな人たち)
その前に、3タイプを簡単に整理しておきますね。一つ目と二つ目の部族は、このブログのバックナンバーをリストアップしておきます。母系社会って多様ですね!!
一つ目は、妻問いとか訪妻婚といわれるもので、花婿が花嫁の家を夜だけ訪れ、朝になると自分の生家に帰るもの。
・モソ人
・インドのケララ州のナーヤル・カーストの人々
・インドネシアのスマトラに住む ミナンカバウ族
・ナシ族 etc・・・
二つ目は、妻(母)方同居、つまり婿入り婚で、母系社会に広く見られる。
・台湾のアミ族
・アメリカインディアン
・秘境(バングラデシュ)に残る母系民族:ガロ族 etc・・・
そして三つ目が、夫(父)方居住、つまり嫁入り婚の居住様式である。
パプアニューギニアのトロブリアンド諸島が有名で、ここでは男女とも父の家で生まれ、息子はそこで結婚し、娘は夫の家に嫁ぐ。このままでは母系一族の男女とも分散してしまい、その本拠地で財産を管理・運営するものがいなくなるので、それを防ぐため、男性は結婚したら自分の一族の本拠地に移り住むという居住規制をあわせもっている。つまり、男性は独身時代を父親の村(家)で暮らし、嫁を迎えてから母方オジがいる自分の村に移って生涯を終えるのである。
この社会では、子供を一人前にするのは、母親や母系一族の人々ではなく、育ての父親の責任とされる。だから父親は子供を抱いてあやしたり、食べ物を口に運んでやったり細かな愛情をもって子育てに励む。
しかし、父親が子供の養育のすべてを引き受けるわけではない。子供の食べもの(主食としてのヤムイモ)は、母系一族の男たち(特に母の兄弟)によって調達される。ヤムイモの収穫期には全収穫量の約半分のイモを子供の父のところに持ってくる。この贈物は、男たちが自分の母系一族の成員である子供を育ててくれるよそ者(父)に、その子育ての労をねぎらうために行われるのである。
子供は成長するにつれて父母と仕事をするようになるが、同時に母方のオジが正規の保護者、監督者として姿を現すようになる。結婚すると男子は、自分の母系一族の財を管理、相続するために母方オジのもとへ引き移る。このようにトロブリアンドの母系社会では、その既婚男性成員が本拠地に集結し彼らの権威に基づいて運営されるのである。
以上、いずれの居住形態をとっても、母系社会は子供から見れば父と母方オジ、父の立場からすれば実子と甥・姪という重層した人間関係のもとに成立している。そして、母系出自は男性が子供との関係を犠牲にし、ゆくゆくは自分のすべての子供を他者(妻一族)に譲り渡すというシステムともいえよう。一方、女性の立場からすれば、生涯にわたって彼女は、夫ではなく兄弟を頼りにする、つまり夫婦関係ではなく、兄弟姉妹関係を軸に形成されるのである。
******須藤健一著『母系社会の構造 サンゴ礁の島々の民族誌』より******
三つ目は、婚姻関係を図化してみるとわかりますが、かなり複雑です。しかもこれでも母系?と思うくらい、父系原理らしきものが混入しています。母系から父系への過渡期の形態なのでしょうか?
わかる方いたらまたレポートお願いします。
読んでもらってありがとう(^_^)Nhaama bunggunggu. by 若
- posted by yidaki at : 2007年03月10日 | コメント (0件)| トラックバック (0)
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