2014年08月12日
女主導の原理と現代への適用 ~現代にみる女主導の可能性~
前回の記事『女主導の原理と現代への適用~はじめに~』で、これからの社会や集団のあり方を考えるうえで、「女主導の原理」で社会や集団を形作っていくことが一つの突破口になる、という仮説を提示しました。
これは、市場経済が行き詰まり、社会の至るところで閉塞感が漂う中、これまでの価値観を捨て、新たな価値軸へと転換した層の中に、女性が多いという現象から出てきた仮説です。
そこで今回は、これまでの常識に囚われず、新たな価値意識に基づいて可能性を見出し、活力を再生させた女性たちの事例を紹介し、「女主導の原理」の可能性に迫ってみたいと思います。
画像は、『類グループのHP』、『積水ハウスの”なでしこ”たち』からお借りしました。
価値意識の転換事例① 志をもった50代の女性の話
これは、3.11の原発事故を契機に、自分達の世代がつくってしまった負の遺産を悔い、今からでも遅くはないと、自ら動き出した女性のお話です。
今はフリーランスだけど、当時は企業勤めしていた。そこは外資系の企業で、ある会員権の販売していた。最初は営業成績を高めることも楽しかったが、段々、只の紙切れを販売することに違和感を持ち始めた。販売対象は企業の経営者だが、社会に対して本当に役に立とうとしている人の想いに触れ続けると、役に立たない紙切れを販売するのが辛くなってきて辞めた。それが今から15年前くらい。
辞めた後に学士が欲しくて、大学・大学院にも行った。最初は心理学を学ぼうと思ったけど、こんなこと学ぶ必要ないと感じて、歴史に転換。既につくられたストーリーには沢山の嘘があることを知ったけど、その中から事実を見極めようとしてきた。
その後、人から頼まれた仕事に取り組んだ。今まで講師をやったり、大阪の文化を伝える企画を立てたり、ホームページを作成したり、色々やってきた。
3.11が起きて、意識が大きく変わった。私達の同世代が暴走していることを本当に申し訳なく思う(態度がガラっと変わって怒りモード)。これから社会をつくっていく、20~30代の方には本当に申し訳ない。震災以降、自分自身の意識が大きく変わった。愚痴だけ言ってるだけでは何も変わらないので、自ら動き出すしかないと思ってる。
最近では、知り合いに頼まれて、介護施設の中に農場があって、そこで農業をやり始めた。都会の真ん中でも野菜が採れることに驚いたが、農業の魅力に入り込んでいった。農業をやる前は、「農業ってお金がめっちゃかかる」と思ってたけど、実際はほとんどかからない。マスコミにそう思わされてたことに気付けた。
最近は、乳酸菌農法に注目している。るいネットを読んで、飯山一郎のHPも見てみた。そして実践するために、自ら乳酸菌農法を学びにいった。乳酸菌だけでなく、他の菌にも可能性があると思っている。
介護施設で農業をやり出してから、高齢者の方が活き活きし始めた。都心の中にも農業の蓄積を持ってる方が沢山いらして、その人が農作業について教えてくれる。高齢者にだって役割があるし、与えれば活力が沸き始める。その一方で、介護施設の友達には「元気になってもらわれると仕事なくなって困るんだけどな…」と言われている(笑)。
介護施設での農作業を通じて、高齢者の活力を高める事業をしていきたい。事業化しないと、社会は変わっていかない。事業を提案するとき、経営者の方は深く追求されているから、自分の考えを適切に伝える必要がある。
それには言語能力が必要だと感じている。人に思いを伝える手法として、今は映像もあるけど、それでは情報が右から左へ流れていくだけ。やっぱり頭に残るのは、言葉!力強い言葉が人を突き動かす。るいネットの言葉は本当に力強い。本当に頑張ってほしいと思ってる。
(その後の余談で)
外国では、誰もマスコミを信じていない。欧州人はもちろんだけど、中国人までもそう思ってる。もちろんしょっぴかれるから、表立っては言わないけど。未だにマスコミを信じているのは、日本人だけ。
縄文体質が関係しているのかもしれない。すぐに上からの言いなりになってしまう。大阪は、完全に渡来人の第二派に占められた街。喜連瓜破とか、漢字が読めない街は全てそう。その層に追い出された第一波が、奈良から吉野あたりにいる。さらにその先の和歌山には違う層が住んでいる。なんで、そこで密教やってんだろう?普段から、こんなことばっかり考えています(笑)。
引用元:『志ある女性との会話』
この女性の話を聞いて思うのはとにかく明るいこと、そして実行へ移すスピードが速いということです。また、可能性探索の範囲が幅広く、思考がこれまでの常識=枠に囚われていないという印象を受けます。だから次々と、新しい発想が出てくるのだと思います。
これまでの社会では、新たな可能性を提示する人=答えを出す人は、ある分野のエキスパートだったり、プロ集団だったと思います。しかし、それは、その分野が発展・成長するためのものに過ぎず、組織全体あるいは社会全体を可能性に導くようなものではなかったと思います。(だからこそ、社会はここまで行き詰ったと言えます。)
これからの社会では、この女性のように、専門=職能意識に囚われず、あらゆる期待に応えていく、という姿勢が必要なのだと思います。
価値意識の転換事例② OLから転身して農業をはじめた女性
続いては、野菜作り好きが高じて、OLから農家に転身した女性の事例です。
この女性は、もともとフラワーショップのOLさんだったようで、野菜作りが大好きなので農業をやってみようかな、と思ったのがきっかけだったとのこと。でも農業というと、休みも無く、朝から晩まで泥だらけになって、という昔ながらの農業イメージが頭によぎり、都会での生活と全然違うな・・
そのギャップに腰が重くなりそうだったとのこと。
でも、昔の農業スタイルでなくっても良いのでは?都会での生活のように、農業にも土日は休みがあって、お化粧もして、夜には食事や買い物に出かけて・・そんな農業スタイルもありなのでは・・と思い農業を始めたとのこと。
「都会で仕事していた頃とほとんど変わらないですよ~ 車で出勤していたのがトラクターに変わり、花を扱っていたのが野菜に変わっただけで、お化粧もお洒落もするし、土日は休んで買い物いくし。」
伏見さんを受け入れた久松農園のオーナーは、伏見さんのビジネスマンばりのシフト表、スケジュール管理、生産管理、土日休日、オフィス環境など、まるで都会と同じような仕事ぶりにはじめは戸惑いながらも、それで実際に実現し成果を上げていく姿を見て、これまでの農業の常識が崩れ、今では色んな農業の可能性が生まれてきたと仰っていました。
実家は農家でもなく農業経験は全くのゼロ。そもそも農業とは・・といった常識もない。
OL時代で培った経験を元に、どうすればお客さんに喜んでもらえるか、どうすれが皆でより良く生産できるか、どうすれば働きやすくなるか・・を実行する。きっと、伏見さんにとっては、何も特別なことをしている訳ではなく当たり前のことが、農業界の常識からみれば行き詰まりを突破する画期的な方針だったりしている。これが、非常に面白いと感じたし、女性ならではの発想と実行力ですね。
農家なのに週休2日制。これは、これまでの農業界では出てこない発想なのではないでしょうか。
化学物質まみれの『食』に問題意識を持ち、農に可能性を感じても、昔ながらの農業のイメージが払拭できず、断念する人たちは多いと思います、しかし、これまでの枠=イメージに囚われずに可能性を探索していけば、きっと新たな道が開けてくる。この事例はまさにその事を証明してくれていると思います。
価値意識の転換事例③ 本当に実現しようと思ったら出てきた言葉
これは、最近、新しい部署に配転した女性社員の仕事の仕方に、男性社員達が度肝を抜かれたお話です。それは彼女が、移動営業車両のラッピングをある業者さんに依頼しに言った時のことでした。彼女は開口一番に
『お金も時間もないんです!それでも実現できる方法はありますか?』
と困っている状況をありのままに告げたそうです。業者さんは、これまでの市場原理の中での取引関係では有り得ない依頼のされ方に、『期待に応えたい』という思いを強く刺激され、時間とお金のない中で、見事に満足のいくラッピングを実現したそうです。
これがもし、男性社員だったら、恐らく困っている状況をありのままに伝えても仕方ないと観念し、
①まず、デザインイメージを詳細に伝え、
②全体の事業スケジュールを伝え、
③ラッピングに費やせる期間が短いことの正当性を伝え、
④最後に、コストは厳しいがぜひ実現したいという熱い期待を伝える
という順になるのではないでしょうか。そして業者さんは納得顔を見せながらも内心はしぶしぶといった感じで仕事に取り掛かるのではないでしょうか。
前者は、業者さんを味方につけるだけでなく、一緒に実現していく協同者という関係にまで昇華しているの対し、後者は依然として、お客と業者というこれまでの関係に留まっています。お客さんの言うことだから仕方ない、と諦めと妥協を受け入れて仕事をするのか、それとも期待に応えようと思って仕事をするのか。どちらの方が成果が高いかは明らかだと思います。
以上の3つの事例に共通する点は、これまでの常識=既成観念に囚われずに、0から実現に向けて追求しているという点です。傍から見ると非常識に映ることもありますが、それは、これまでの既成観念に照らし合わせて見ているからなのかもしれません。
次回は、この事例にある発想のポイントはどこにあるのか、そしてこれまでの発想との違いはどこにあるのかについて書いてみたいと思います。 お楽しみに。
- posted by KIDA-G at : 2014年08月12日 | コメント (0件)| トラックバック (0)
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