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2014年10月09日

女主導の原理と現代への適用(番外編)~商家経営における女主人と女中の役割②~

老舗大国ニッポンの、陰の立役者である女たち。女中

その女たちの働きぶりがよく分かる、ある研究レポートを発見しましたm005.gif

前回の記事では、若年女中について主にお伝えしましたが、

それに続いて、今回は中年女中についてをまとめたシリーズ第2弾ですm034.gif

若年女中の面倒をひたすらとことん見てきた女主人…その女主人を支える存在である中年女中に注目です!

 

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◆久子と中年女中の関係

杉村家には、松、竹、梅のような若年の住み込み女中以外に通勤女中の、また船場の店にはがいた。女中2

彼女たちの正確な年齢は不明だが、糸は1月から2月にかけて、娘の出産のため横浜に滞在していた。また、琴は1911年のメモに久子の息子の看病をしている記載が見え、また米には学生の息子がいたことから、3名とも久子と同年代あるいはそれ以上だったのではないかと推測される。

琴も糸も共に、その働き方は若年女中の場合と比べてきわめて不定期である。どちらも杉村家の用事をしていると見られる日数はきわめて少ない。

女中として杉村家で仕事をしている日数は少ないものの、両者が杉村家に来ている日数ははるかに多く、日記における両者に対する記載も多い。それは、彼女たちと久子の関係が単に家事手伝いをする女中と女主人という関係にとどまらなかったからである。彼女たちの役割は、むしろ家事手伝い以外のところにあった。そのひとつは女中の紹介である。

彼女たちの役割は、ただ単に女中の紹介をするだけではなかった

菊の退職に際して、久子は菊に「暇取るときの品」を「二階へよびて渡」しているが、この品物を琴に預けており、また、両親に代わって琴が久子に品物の礼に来ている。

ここからは、琴が単なる女中の紹介者ではなく、退職するまでの保証人や親に代わる後見人としての役割も果たしていたことが窺える。

また、彼女たちは、若年女中やその他使用人に就いての情報を久子に伝えるという役割も担っていた。

例えば、6月2日。久子は女中の竹の退職理由や北の家の管理人である森が暇をとって隠居したがっていることを糸から聞いている。

ここからは、若年の女中や雇い人が直接久子に言いにくいことを糸が仲介あるいは代弁していたことがわかる。

また、彼女たちは、久子の相談相手にもなっており、たとえば琴は松の結婚祝いの品物を久子に代わって探しているし、店の女中である米は女中の退職の品物について、久子の相談にのっている。

このように中年の女中は、女中の紹介・世話をするほかに、久子と使用人との間の仲介や情報の提供、さらに久子の相談相手などにもなっており、杉村家における久子の人事管理の補佐的役割を担っていたといえる。

ふむふむ、中年女中は、女中の紹介という役割だけでなく、若年女中の育成課題なども親に代わるくらいの心意気で担っていたんですね

企業にたとえると、久子は人事権を握っているけれど、その久子を支えているのは中年女中。

中年女中が人事情報を全て握っているといっても過言ではない!中年女中の情報網はすごく女主人に信頼されていただろうなと思いますm020.gif

 

★接待役として補佐

 の杉村家での仕事は、松や竹のような日常の台所仕事がほとんどない。琴が手伝いに来るのは来客時のみなのである

たとえば、5月11日に2人の女性が来訪しているが、2人の来客の「突然の来訪」に「狼狽」した久子は、急いで琴を呼び寄せている。

また、9月2日から4日まで某老女が杉村家に数日滞在しており、このときもお琴が相手をしているが、それは主に花遊び(花札)の相手であった。花札

このように、日記に見られる琴の役割は、来客の話し相手や遊び相手が中心であり、来客の接待に関して久子が琴によって補佐されている様子を見ることができる。

琴が遊び相手をしているのは来客だけではない。久子の夫正太郎の「接待」も琴の役割であった。ある日の久子は、仕立物を持参してきた琴を弾きとめて夫の相手をさせ、久子は安心して眠ったことを示している。

また、久子を交えて「花遊び」をすることも頻繁にあり、ここからは琴が久子にとって気の置けない相手として認識されていたとともに、久子の代わりに夫正太郎の遊び相手を勤める、久子にとって重宝な存在であったことが窺える。

このような遊び相手としての琴の姿からは杉村家との親密感ある交渉を窺うことができるとともに、「遊び」を含めた接待が琴の仕事の中心であり、また「遊び」と「仕事」の境界があいまいである様子も浮かび上がる。

ほんとに相手の役に立とうと思ったら、「遊び」なのか「仕事」なのかなんてこだわらない

久子がゆっくり休めるように、旦那さんのお相手をして遊ぶのも仕事になる!という中年女中の柔軟な姿勢が、久子の支えになっていたのだろうなあと推察できますね。

いつもみんなの面倒を見てくれている女主人を思うからこそ、中年女中も、様々な役割を担っていけたのかなと思います。

 

◆まとめ

以上、杉村久子日記から、杉村家の女中と久子の関係について見てきた。

商家の主婦の役割は、1人の女中を相手とともに家事をする新中産階級の主婦の役割とは異なり、多数の女中の指揮であり、監督であるとともに、彼女たちの生活への配慮や支援も含まれていた

若年女中との関係からは、女中の教育や女中間の人間関係の調整が女主人の役割と認識されていることを窺うことができた。

一方、中年の女中は、女中の紹介や後見、久子の相談役など、久子を補佐するのと同時に、久子に代わっての来客の接待など、女主人の代理としても、商家経営における重要な役割を担っていたことが見出された。

久子と女中との関係は決して一対一の関係におさまるものではなく、両者の背後には、その家族や親戚、または郷里などの人間関係があり、そのような多くの人物を含めて両者の関係は成り立っていた。

だからこそ、久子が配慮し、支援すべき対象も女中や元女中だけでなく、その家族・親族・地域との関係が複雑に絡み合っていたのであり、それに加えて、過去から引き継がれている両者の関係の蓄積もあった。

このような両者の緊密な関係が「親密感ある交渉」を生み出していたのである。

第1回では、どこまでも若年女中の力になってあげる女主人、久子の話。

第2回では、そんな女主人を支える中年女中たち紹介しました。

女主導で集団を作っていくポイントは、やっぱり「役割」にとらわれず何でも担っていく姿勢

来客で呼び出されたら飛んでいき、夫の接待もすれば、若年女中からの情報も吸い上げ、女主人の信頼も厚い…

>線引きなしに、どこまででも力になってあげる。
そしてそのことに、本分や喜びを感じる。
その慈愛に満ちた応望性や充足性こそが女の特性m024.gifであり、だからこそ女主導で集団やみんなを育んでこれたm034.gifんですね

と第1回でもお伝えしましたが、まさにそのとおりだと感じましたm244.gif

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