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2018年08月23日

シャーマンとは何か2~シャーマン脳の中核をなす扁桃体

『生物史から、自然の摂理を読み解く』「扁桃体がシャーマン脳の鍵を握る」によれば、魚類以降、シャーマンに通じる危機察知や仲間認識は「扁桃体」が担っているとのことである。以下、それを要約したもの。

【1】扁桃体の進化過程

【魚 類】 魚類の扁桃体は、後の扁桃体に相当する機能をもつ「領域」として存在する。この領域が仲間を認識し、群れ行動を司っている。なお、危機に対する反射行動は延髄のマウスナー細胞等が司るが、より多様な外部環境に対する高度な適応機能を扁桃体領域が担っている。

【両生類】 反射行動を司る延髄のマウスナー細胞は、水中の幼生期には存在するが、生体になると消滅する。このことから、地上における外界の多様な変化(危機)に適応する機能が扁桃体に集約されたと考えられる。

【爬虫類】 扁桃体が形成される。危機に対しては扁桃体と青斑核が携わっており、逃走or攻撃の判断を行う。危機に対する適応様式に「攻撃行動」が加わる。

【ほ乳類~人類】 扁桃体は、危機に対するあらゆる情報処理の起点となっており、脳の各部と密接に連係して様々な危機に対応(反応)する。外敵におよばず、同類に対する反応(表情からの感情の察知や共感)も扁桃体が司ると考えられる。快不快等の情動も扁桃体が司る。

陸上での環境と外圧の変化はすさまじく、水中での単純な反射行動では対処出来ない。それ故に、危機察知と逃避行動の神経回路をより高度で多様な判断が可能な扁桃体に集約したと考えられる。

【2】扁桃体の機能

①危機察知、仲間認識の右脳扁桃体
扁桃体は、生存に重要な危険や恐怖を呼び起こす対象(外敵や獲物)、愛くるしい対象や仲間に対して反応する。危機等に素早く反応するために、味覚、嗅覚、聴覚、視覚、内臓感覚などのあらゆる生情報が直接的に扁桃体に入ってくる。
また、扁桃体には、大脳皮質で認知し処理された情報も扁桃体に入ってくる。大脳皮質からの入力は、直接情報に対して僅かに遅れて伝達される。
これらの粗と精、原始的と識別的、低次と高次という2種の情報が扁桃体内で遭遇する。反射的な反応は、成体の知恵や経験により、快か不快か、有益か有害かの判断に基づいて環境適応的に補正・修正される。

有益か有害かの判断は、周囲(社会)の情報を処理し、広く動因となるものを選定する。例えば、芸術などに接した場合の精神的に有益な情感の判断や自然の景観、宗教的経験における崇高な感情や超越的感動も扁桃体に根ざしていると考えられる。扁桃体は社会性にも関係が深く、人の顔を区別したり表情を読み取る機能を持ち、扁桃体が傷つくと集団の中で孤立するなど社会生活がうまくいかなくなることが確認されている。

②想像した危機や恐怖に反応する左脳扁桃体
左脳扁桃体は「想像した恐怖」によって活性化する。右脳扁桃体が生の外界刺激に直接反応することに対して、左脳扁桃体は左脳の大脳新皮質が想像した恐怖信号を受けて反応していると考えられる。

③危機や恐怖に対する反応を発令する扁桃体
感覚器を通して入ってきた信号を受けて、扁桃体は過去の記憶をチェックしはじめ、「嫌いなものか?傷つけるものか?こわいものか?」を判断します。答えが危機や恐怖であれば、扁桃体は即座に反応して脳全体に緊急事態を発信します。

「恐怖」と判断したときは、扁桃体は直ちに脳の各部に緊急事態を知らせ、戦ったり逃げたりするのに必要なホルモンの分泌を命じる。脳は興奮状態になり、感覚は鋭敏になる。他の器官は恐怖の対象に注意を集中し、必要に応じて筋肉を動かせるよう準備します。大脳新皮質は思考を一時中断し過去の記憶をめくり、目の前の非常事態に関連する知識を引き出そうとする。

④幼児期に形成される情動反応
扁桃核の情動反応は、生で粗な情報に反応することから不正確さを孕む。また、幼少期の虐待などによって心が深く傷ついた場合などの情動記憶が関わるため、本来不要な恐怖や不安反応を示すことがある。
生後まもない時期の大脳新皮質は発達途上であるのに対して、扁桃体は生後まもなく完成する。幼少期には扁桃体と海馬はそれぞれ独自に記憶するため、扁桃体完成後の幼児体験が後々の情動反応に強く影響を及ぼすと考えられる。

⑤長期記憶に関わる扁桃体
扁桃体は海馬と隣り合わせの位置にあり、相互に情報交換をしており、長期記憶には扁桃体が強く働いている。例えば、好きなことは努力しなくて覚えられ、喜怒哀楽の感情を強く抱いた出来事はいつまでも覚えている。
また、強い恐怖や危機体験も強く記憶されることに扁桃体が関わっている。海馬を電気的に刺激すると過去の記憶が鮮明に呼び起こされる「フラッシュバック」が生じる。

⑥幻聴、幻覚のメカニズム
視覚情報は目→視床→扁桃体→海馬→前頭葉へと流れるのが通常の流れだが、扁桃体など視床下部の下に直結している組織から視覚聴覚情報が逆に入力してくることがある。実際に目に見えている情報ではないが、この情報が視床で映像として再現された視覚情報が前頭葉へと流れる。これが幻覚の仕組みであり、それが言葉や音の情報になると幻聴となる。
幻覚や幻聴は、脳の誤作動とも云える。不安や恐れストレスなどが原因で、扁桃体からの言語情報、視覚情報が視床に伝わり、それが現実の言葉、視覚として前頭葉に伝わり、現実であるかのように脳が捉える。

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