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2018年10月18日

シャーマンとは何か?9~ドーパミンの異常分泌で脳回路が暴走し、幻覚をみる

前投稿「体外離脱とは、金縛り中に現れたリアルな五感を伴った幻覚(脳の錯覚)」に続き、今回は、幻覚がどのように生じるのか?その基本構造を解明する。

以下、『生物史から、自然の摂理を読み解く』「脳回路の異常が幻覚を引き起こす」を要約したもの。

●幻覚の共通点は、薬物や脳の過負荷等による脳内神経伝達物質の過剰分泌によって生じる脳回路の異常である。
その結果、あらゆる刺激情報が脳回路へ乱入し、脳回路が暴走することによって、脳は幻覚をみる。

脳回路上を制御・抑制されない情報が駆け巡るという暴走状態に陥った脳は、情報の繋がりを統合できずに混乱する。
あらゆる刺激情報が直接脳に入力され、過去の記憶等が無秩序に呼び起こされ、恐怖や多幸感に基づく過去の記憶に基づく幻覚を脳自身が創り出す。脳は、身体が生命の危機に陥るような混乱を避けるために、幻覚に収束することによって統合を図ろうとするのである。

●幻覚は、病理的な要因や特定の薬物摂取、身体的・精神的な危機によって生じる。そこには共通の現象が起こっている。
臨死体験の時には、ドーパミンをはじめとする大量の脳内伝達物質が分泌され、快感を感じると同時に、幻視・幻聴・幻覚が起こる。また、時間感覚が変わって時間が無限に長くなる。ex.走馬灯のように自分の人生の歴史を見る。脳内伝達物質が放出され、死に臨んで最後に脳が超活性化されるからである。

統合失調症やてんかん、アルコール依存症、薬物、臨死体験など、幻覚の脳には共通点がある。それは、古い脳(爬虫類の脳)である視床や大脳基底核(全ての感覚情報が集中する)→新しい脳である大脳皮質や辺縁系、側頭葉、前頭葉への経路に障害が起きるということである。

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視床は脳幹上部に二つ存在し、それを取り囲む形で大脳基底核(線条体や淡蒼球)や大脳辺縁系(扁桃体、海馬、帯状回、乳頭体、脳弓等)があり、その外側に大脳が位置する。
脳幹の上部に位置する視床は、嗅覚を除く、視覚、聴覚、体性感覚などの感覚入力を、新しい脳である大脳新皮質へ中継する。視床を通過した刺激情報は、大脳に送られてから再び視床に戻る「ループ構造」になっている。生の情報に過去の記憶や判断を加えた信号が視床に戻されることで、適応的で統合的な反応を体全体に指令している。

幻覚は、この基本的な回路に異常が生じた状態だと考えられる。

統合失調症やてんかん、薬物依存など、この回路の異常には、神経伝達物質ドーパミンが関わっている。
ドーパミン神経系には、A9神経、A10神経があり、視床の下に位置する中脳から大脳基底核に対してA9神経系が、中脳から大脳の前頭前野に対してA10神経が延びている。
このドーパミンの異常が脳回路の異常→幻覚を引き起こす要因になっている。

ドーパミンが過剰分泌される神経回路が興奮状態になる。
と同時に、刺激や判断情報が集約される視床へのフィードバックが滞る。視床では内外からの刺激情報に対する抑制がかからず、脳内に生の刺激情報の全てが送り込まれる。その結果、過去の記憶等が無秩序に呼び起こされて幻覚が引き起こされる。

魚類以前から、新しい脳と古い脳は相互に抑制し合いながら進化しており、脳回路における抑制機構とそれによる統合は、重要な脳の基本構造である。実際、各種の神経伝達物質や脳回路は相互に抑制しあう関係にあり、抑制し合うことで脳を安定させている。ところが、神経伝達物質やその受容体の過多による異常が生じると、安定機能が無効化し、神経回路の暴走が始まる。それが幻覚の原因である。

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