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2019年04月09日

霊長類の色覚は、顔色を見分けるために進化した

◆ヒトはなぜ「色」を識別できるのか
我々が認識しているところの色とは、物体に当たって跳ね返った光のパターンです。 光には赤・青・緑の三色の可視光線があり、この三光線が物体に当たってどのように跳ね返ったかで色が決まります。
「人間はもっと沢山の色を認識できる」と思うかもしれませんが、実は我々が認識している全ての色は赤・青・緑の三色の組み合わせでしかありません。 この三色があれば100万色を表現することが可能であり、絵具などでも赤・青・緑の三色さえあれば混ぜて色を作ることができます。

それではなぜ三種の光を色のある可視光線として人間の目が認識できるか。それは網膜にある「錐体(すいたい)」という細胞が、長波長の光を赤く・中波長の光を緑に・短波長の光を青く認識し、それらの組み合わせによって我々は色を認識しているのです。

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◆動物の進化と色覚
およそ5億4千万年前に三葉虫が生命で初めて「眼」を獲得しました。 それから生物は様々な進化を遂げ、それに伴って色を認識する能力も変わっていきました。全ての動物がまだ海中にいた頃、魚は進化の過程で色覚を得ました。 魚は視力はそれほどでもありませんが色覚はとても優れており、赤青緑の三色の他に紫外線を認識することも可能です。
魚は長い時間の中で進化を重ねて、中には陸上へと進出する動物も出てきました。 そこから派生した昆虫、爬虫類、両性類、鳥類も基本三色に加えて紫外線を認識できる四色色覚のものが多いです。

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しかし哺乳類は少し事情が変わって二色色覚のものが多いです。 これは哺乳類の共通の祖先が完全な夜行性となり、赤い光と紫外線を認識する必要がなくなったのが理由のようです。しかし哺乳類は進化するうちに、夜行性から昼行性へと行動様式を変える種が出てきました。 その中でも最初に昼行性へと適応したと考えられているのが我々の祖でもある霊長類です。

◆霊長類の色覚は、顔色を見分けるために進化した
ヒトを含む多くの霊長類は、前述の通り3色型色覚で世界を見ています。3色型色覚は、赤い果実や若葉を緑の葉の背景から見つけることに適しているため、祖先型である2色型色覚から進化したと考えられています。しかし、果実を見つけること以外でも3色型色覚が有効な場面が考えられ、その候補として顔色変化などの社会的シグナルの検出が挙げられていました。

九州大学大学院芸術工学研究院の平松千尋助教、カルガリー大学人類考古学部Amanda Melin助教、ニューヨーク大学人類学部James Higham助教らの共同研究グループは、霊長類の3色型色覚が、顔色変化の検出に有効であることを初めて実験的に証明しました。繁殖期に顔が赤くなるアカゲザルの写真を用い、様々な色覚の見え方を模擬して、ヒト参加者にメスの繁殖期と非繁殖期の顔を見分けてもらいました。その結果、霊長類が持っているL錐体とM錐体の波長感度が長波長域に偏った3色型の色覚は、3種類の錐体の波長感度が均等に分布した3色型や、2種類の錐体により色弁別を行う2色型よりも顔色の変化をよく検出できることが分かりました。

この結果は、社会的シグナルの検出が3色型色覚の適応的意義の一つであることを裏付けるものです。ヒトが顔色から感情を読みとり、健康状態を察知できるのも、霊長類が持つこのような色覚特性のおかげであると考えられます。今後、霊長類進化のどの段階において、顔色変化が社会的シグナルとして使われはじめたかなど、霊長類の色覚の適応進化の過程に迫ることが期待されます。

九州大学 研究成果

【参考】
・るいネット「動物が認識できる色(色覚)は?」(リンク
・キャノンサイエンスラボ・キッズ「光のなぞ」(リンク
・九州大学 研究成果「霊長類の色覚が、顔色を見分けるのに適していることを証明」(リンク

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