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2019年07月21日

運動中は無酸素呼吸の変温動物(両生類・爬虫類)と、運動中でも酸素呼吸する恒温動物(哺乳類)

未解明だが、恒温動物が統合系の電磁波エネルギーを分散系の赤外線エネルギーの転換する仕組みがあるはずである。
その仕組みと関連しているかもしれないが、変温動物(両生類・爬虫類)は運動中は呼吸できないので解糖系の無酸素呼吸によってATPを産生しているが、恒温動物(哺乳類)は運動中でも酸素呼吸によってATPを産生できるらしい。
解糖系無酸素呼吸ではブドウ糖1からATP2しかできないのに対して、酸素呼吸ではATP38ができる。ATPの産生効率が19倍も高いので哺乳類は長時間の運動が可能になったという説である。

「脊椎動物の陸上移動とエネルギー代謝」山岸 弦記、朴 民根(東京大学 生体情報学研究室)より転載。

両生類と爬虫類は陸上を生活空間として活用するが、そこでの移動能力は決して高くない。これらの動物群は最大でも10 km程度しか移動せず、同じ陸生脊椎動物でありながら数千kmを移動する哺乳類や鳥類とは対照的である。この理由の少なくとも一部は、脚の構造にあるようだ。両生類や爬虫類は上腕と前腕、大腿と下腿がそれぞれ90度で関節し、「がに股」の姿勢をとる。この姿勢では運動中に体幹がくねって肺を圧迫するため、呼吸を続けることができない。

そのため、「がに股」動物は運動中のATP供給を無酸素下で反応が進行する解糖系に頼っている。しかし、解糖系はATP産生効率が低く、短時間で基質(グルコース)を使い果たすため、運動の持続性に乏しい。

ただし、現生の両生類のうち無尾類にはこの状況への挑戦がみられる。無尾類の多くは強力な後肢で跳躍し、一動作あたりの移動距離を稼いでいる(跳躍型)。このため、跳躍型の後肢は解糖系酵素の活性が高く、収縮速度が大きい骨格筋繊維で占められている。また、ヒキガエルなどは呼吸に干渉しない速度で歩き続ける(歩行型)。このような種の後肢はクエン酸回路の酵素活性が高く、持続性に優れた骨格筋で構成されている。

「がに股」動物とは対照的に、直立姿勢をとる哺乳類と鳥類は運動中も体幹をまっすぐに保つ。そのため運動と呼吸が両立し、好気呼吸によるATP産生を利用できる。好気呼吸のATP産生効率は解糖系の15倍以上に達するため、長時間の運動が可能となる。運動の持続性をさらに向上する仕組みとして、哺乳類には乳酸シャトルが存在する。解糖系の副産物である乳酸は、骨格筋に蓄積するとATP産生を阻害する。そこで哺乳類は、骨格筋(特に解糖系の活性が高い繊維)から乳酸を血中に放出し、遅筋や心臓、肝臓でピルビン酸に変換する。遅筋と心臓はピルビン酸を自身の好気呼吸に用いる。一方、肝臓はピルビン酸を基質として糖新生を行い、グルコースに変換して血中放出する。放出されたグルコースを骨格筋が取り込み、ATP産生に利用することで運動の持続性が確保される。

興味深いことに、哺乳類では血中の乳酸が情報伝達物質としてはたらき、ホルモン分泌やエネルギー代謝を制御することが報告されている。この仕組みは、乳酸シャトルにより血中の乳酸濃度が生理状態を反映するようになったことで獲得されたのかもしれない。そうであれば、歩行姿勢という「外側」の変化が、運動能力の向上を通じて内分泌制御という「内側」の変革を迫った例として、生物の進化・適応に内分泌現象からアプローチするうえで興味深いテーマである。残念ながら、乳酸による情報伝達が脊椎動物でどのように獲得されたのかは定かでない。今後このテーマに迫るには、「がに股」動物で乳酸の生理作用を検証する必要があるだろう。

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