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2020年01月27日

オナガザルとテナガザル3~半地上生活をしていたオナガザル

「アフリカの中新世旧世界ザルの進化:現生ヒト上科進化への影響」(中務真人、國松豊 京都大学自然人類学研究室)から転載。

中新世(2350万~530万年前)アフリカ狭鼻類の化石記録から、初期のオナガザル上科であるビクトリアピテクス科は,北アフリカ(エジプト,リビア)と東アフリカ(ケニア,ウガンダ)の地理的に離れた2地域から知られている。
ビクトリアピテクス属に地上運動に関連した四肢骨の特徴があることは古くから知られていた。後方に屈曲した尺骨肘頭や後方を向く上腕骨内側上顆は現生の半地上性オナガザル亜科と類似している。
コロブス亜科の体幹,四肢骨格の特徴はオナガザル亜科的状態から進化した事を示唆している。

オナガザル科の確実な最古の化石記録は,約1000万年前,コロブス亜科マイクロコロブス・トゥゲネンシス)である。
現生のコロブス亜族は手の母指を完全に失い,プレスビティス亜族は退化しているものの機能する母指をもつ。マイクロコロブスは全く退化していない母指をもつ。

マイクロコロブスに次いで古いオナガザル科はメソピテクスである。メソピテクスはアフリカからは知られていないが,東はアフガニスタン,西はイタリアまでユーラシアの広域から知られている。850万~300万年前の長い棲息年代をもち,3~4種が認められている。メソピテクス属の資料には,数多くの四肢骨が含まれ,種によってある程度の変異はあるものの,一定の地上性適応をしていたことが知られている。

半地上性に適応した過程で,オナガザル上科は四肢走行型の筋骨格系を獲得し,それらは,多かれ少なかれ今日でも維持されている。例えば,前腕の日常的な回内,肩,肘関節の運動範囲の制限,指骨の短縮と中手・中足骨の伸長,比較的可動性の低い中手・中足関節などがある。その結果,樹上では,枝の上での俊敏な運動を得意とし,優れた跳躍運動を行う事ができる。一方で,枝下での運動(懸垂運動など)は余り得意ではない。
そのため,樹上性オナガザル科の体サイズの上限が低めに制限されている。小型の体,高い移動速度と跳躍力は,変形しやすく非連続的な枝上での移動能力を高める。

現生の樹上性オナガザル科が半地上性祖先から進化したという考えは,現在では定説となっている。

オナガザル科の俊敏性は,半地上生活を送った時代にそうであったように,捕食者の攻撃から逃れることに,より役立っていると考えられる。体サイズの小さなオナガザル科は,相対的に高い捕食圧にさらされている。また,移動能力の高さは,遊動域を広げるため,大きな群サイズをもつことを可能にしているかもしれない。大きな群サイズは捕食者対策として効果的だが,十分な食料を手に入れるため広い遊動域が必要となる。

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