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2020年01月27日

オナガザルとテナガザル2~葉食適応したオナガザル(コロブス)

「アフリカの中新世旧世界ザルの進化:現生ヒト上科進化への影響」(中務真人、國松豊 京都大学自然人類学研究室)から転載。

コロブス亜科はオナガザル亜科に比べ葉食傾向が強い。果実と比べると,葉は安定して大量に手に入れやすいため,森林におけるバイオマスは,オナガザル亜科やヒト上科を上回る。コロブス亜科は葉に含まれるセルロースを利用するため,特殊な消化管をもっている。胃は 4 つにくびれ,その中のバクテリアによって前腸発酵を行う。特に,第一胃(前盲嚢部)が葉の分解に役立っているとされている。セルロースが分解されて生成される揮発性脂肪酸(酢酸,プロピオン酸,酪酸など)は容易にエネルギー源として利用でき,死んだバクテリアもタンパク源として利用される。ちなみに,オナガザル亜科は,それほど特殊化した消化管をもたないが,後腸(盲結腸)発酵によってセルロースを分解する。食物の消化管通過時間が,体サイズに比較して長いという特徴が,効率よい発酵に関係していると考えられている。

現生コロブス亜科は,森林環境に依存する程度が強く,オナガザル亜科ほどには広い分布域をもたない。骨格には樹上運動,特に跳躍運動に関連した特徴が発達している。コロブス亜科もオナガザル亜科同様にアフリカとアジアに分布する。

化石産地の動物相から,漸新世(3400万~2350万年前)の初期狭鼻類も前期中新世(2350万~1650万年前)の非オナガザル狭鼻類も,森林に棲息していたと推測される。食性については,歯牙の形態から初期狭鼻類は果実食性であったと考えられ,中新世の非オナガザル狭鼻類も,例外的な葉食者を除けば,大半は歯牙特徴に葉食適応が認められない果実食者だった。
つまり,現生類人猿に見られる森林性果実食(ゴリラ,フクロテナガザルのように例外的に一定の葉食適応を示すものもいるが)という特徴は,初期狭鼻類以来の祖先的状態の維持である。

前期中新世(2350万~1650万年前)のオナガザル上科(= ビクトリアピテクス科)の化石記録は相対的に乏しいものの,その産地の一つであるワジ・モガラ(エジプト)の古環境を動物相から推定すると,疎開林である。中期中新世(1650万~1160万年前)始めのマボコ(ケニア)では比較的樹木の多い疎開林,中期中新世終わり近くのトゥゲン丘陵(ケニア)では開けた疎開林だったと考えられる。
さらに現生種と化石種についての環境適応から系統群の祖先的適応状態を推定すると,オナガザル亜科とコロブス亜科の祖先的適応環境は,ともにサバンナ的であったと考えられる。これらの事は,オナガザル科,ひいてはオナガザル上科も,サバンナ適応した祖先種から進化したことを示唆する。
サバンナあるいは疎開林のような,季節性の影響を受けやすい環境に,純粋な果実食者が適応することは難しいと考えられるため,初期オナガザル上科(= ビクトリアピテクス科)は果実以外の食物も利用したと考えられる。
現生群ではコロブス亜科は主として葉食であり,オナガザル亜科の食性はそれに比べれば幅が広い。しかし,オナガザル亜科の中にも葉食傾向の強い種が存在する。

前・中期中新世(2350万~1160万年前)のビクトリアピテクス科に地上運動適応が認められること,後期中新世~鮮新世(1160万~260万年前)のオナガザル科の中に地上性傾向の強いオナガザル亜科やコロブス亜科が認められること,現生のオナガザル科がその骨格特徴に共通して地上性適応(あるいは,その名残り)を留めていることから支持される。まとめると,祖先的オナガザル上科は,森林の外縁へ適応することによって派生的に進化した葉食者であった。

野外研究から,オナガザル科は基本的に植物食者だが,果実以外の部位の利用が高いことが明らかにされている。
一方,現生類人猿は,果実の不足期をどのように乗り越えるかにおいて,種間の違いが見られるものの,基本的には果実に依存した食性をもっている。
チンパンジーと複数のオナガザル亜科が同所的に棲息するキバレ(ウガンダ)の調査によれば,現生オナガザル亜科は,年間を通してほぼ一定割合の果実を消費し,チンパンジーと重複して利用する果実が多い。

小型種では,体重当たりの基礎代謝率が高いため,速やかに利用できる熱源を必要とする。したがって,分解に時間がかかるセルロースに強く依存するのは効率的ではない。その場合,種子食に依存する割合が高かったか,せいぜい選択的に未成熟葉を利用していたと推測される。基礎代謝率の制約から 7 キロ以下では真の葉食者にはなれないといわれている。初期のコロブス亜科が現生コロブス亜科に比べ劣った消化能力をもっていたことは,消化酵素の研究からも示唆される。コロブス亜科は,発酵により急増した細菌の RNA を分解し,窒素を効率的に回収するため,膵臓から大量の RNA 分解酵素を分泌する。コロブス亜科では遺伝子重複によって,霊長類が共通にもっている RNA 分解酵素以外に,より低い pH 値に酵素活性のピークをもつ RNA 分解酵素をもち,発酵によって作られた脂肪酸により,小腸内の pH が下がっても,効率的に RNA の分解を行うことが可能である。

小型種では,体重当たりの基礎代謝率が高いため,速やかに利用できる熱源を必要とする。したがって,分解に時間がかかるセルロースに強く依存するのは効率的ではない。その場合,種子食に依存する割合が高かったか,せいぜい選択的に未成熟葉を利用していたと推測される。基礎代謝率の制約から 7 キロ以下では真の葉食者にはなれないと言われている。

初期のコロブス亜科が現生コロブス亜科に比べ劣った消化能力をもっていたことは,消化酵素の研究からも示唆される。コロブス亜科は,発酵により急増した細菌の RNA を分解し,窒素を効率的に回収するため,膵臓から大量の RNA 分解酵素を分泌する。コロブス亜科では遺伝子重複によって,霊長類が共通にもっている RNA 分解酵素以外に,より低い pH 値に酵素活性のピークをもつ RNA 分解酵素をもち,発酵によって作られた脂肪酸により,小腸内の pH が下がっても,効率的に RNA の分解を行うことが可能である。

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