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2021年09月23日

哺乳類の集団構造とは?

原猿のその進化を追求していく前に、哺乳類の集団構造についておさえておきたいと思います。

哺乳類をの集団構造を見ていく上での重要ポイント

哺乳類というと、ゾウやライオンのような動物園で見ることができるような動物を思い浮かべると思います。しかし、哺乳類の種類のうち2/3~3/4はげっ歯類(例えばネズミ、リス)であると言われています。そして哺乳類の原点は土の中に住む原モグラです。したがって、哺乳類の集団構造を考えるときには、まずこのモグラやげっ歯類をイメージしながら、集団構造の進化を見ていくことが、ひとつ重要なポイントになります。

それから、哺乳類においては、繁殖期以外は多くの種が、オスはメスに近づけません。したがって集団構造を捉えるには、繁殖期を中心に見ていくことになりますが、一方で繁殖期以外はそれぞれ別に生きているということも念頭に入れておく必要があります。

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モグラ(画像はこちらからお借りしました。)

最初の哺乳類=原モグラはオスメスとも単体だった

原モグラは、はじめ、オスメスとも単独で縄張りを持っています。(繁殖期になるとオスは行動圏が広がり、メスの3倍の縄張りを持ちます。)原モグラはなぜ単独の縄張りを持ったのでしょうか。それは、原モグラが、土の中に隠れ住んでいたため外敵が少なく、また胎生となったことで、子どもが受ける淘汰圧力が小さくなったことに起因します。淘汰圧力が小さくなると生物としての適応力が下がるため、代わりに同類の個間闘争を激化させ、適応力をあげていく必要がでてきます。そこで性闘争本能を強化し、同類の縄張り闘争を激化させ適応力を高めていったのが、現哺乳類の祖先である原モグラなのです。

哺乳類の集団の共通構造は?

その後、哺乳類の集団形態は、母子集団がくっつき、共同して巣を防衛したり、血縁関係のある複数のメスが一体になり集団を形成したりするなど、母系集団(メスとその子による集団で、成体となったオスは放逐される集団)を形成していきます。

哺乳類の集団構造

繁殖期は、数匹のオスがこの母系集団に引き寄せられ、そこでの性闘争の勝者がメスの母系集団を包摂する形でなわばりをつくり、敗者のオスはその縄張りを追い出され周辺に散らばることになります。すると、必然的に、敗けオスも含めてメスの縄張りの外側をオスがうろつく形になり、オスが外敵と遭遇して追い払ったり犠牲になったりすることで、結果的に、母系集団を守ることになります。(男が女や子どもを守るような庇護意識はまだないと思われます。)

上記のように、哺乳類の集団の共通構造として、メスが母系集団を形成し、集団を安定させる存在となり、オスは強オスであろうと、弱オスであろうと、外圧にさらされることで、変異可能性を広げていくという共通構造がありそうです。

何故集団になった?何故集団化できた?

集団となった理由は、弱者である哺乳類にとって、敵を察知できるかどうかが生き残る鍵だからです。それでは、性闘争を強化した結果、集団でいることが難しくなった哺乳類が、再び集団の必要性が生じたとき、どうやって集団を作ることができたのか。そのカギは、メスの親和機能の強化にあります。哺乳類のメスは、胎内保育と授乳を通じて、強力な性闘争本能を上回るだけの親和機能を発達させました。そして、その親和力によって、メス同士の関係を融和させ集団を形成していったのです。

つまり、メスの親和力があってはじめて、哺乳類は集団を成り立たせることが出来るということ。これは、現代人も忘れてはならない視点です。

一方、その分、おそらくオスが性闘争をさらに強化したのではないでしょうか。この段階で、メスは親和、オスは闘争という役割分担がさらに強化されたと思われます。

 

以上、哺乳類の集団構造が明らかになってきたので、次回はここから原猿について、深めていきたいと思います。

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