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2023年01月07日

【縄文人の特性】自然との共生がもたらした縄文人の融合力

前回の記事では、縄文人が、火山のそばを生活の拠点としてきたことを扱いました。今回は、そのような自然の恵みや災害と隣り合わせの環境がもたらした、縄文人の力・特性とは何かを見ていきたいと思います。

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常に自然と共に生活していた縄文人に根付くことになった意識としては、大きく2つあると思います。

ひとつは、日本人のもっている自然へのしめやかさ、したたかさです。厳しい自然外圧を受けながら生活する中で、自然をありのままに受け入れるような精神性がはぐくまれました。ひとつの事例ですが、例えば、江戸時代の治水事業は、水害を抑え込むのではなく、被害を受けることを前提として、町や生態系が復活できるように計画されていました。現代の日本人にも、自然は到底克服できるものではなく、災害が起こるのは常であり仕方のないこと、というような意識が深く根付いていると思います。

それからもうひとつが、自然に対する精霊観です。「八百万の神」という言葉があるように、自然には無数の神様がいて、それらは身近な存在であり、自然と人間が不可分のものであると考えられてきました。

その中では、「自分も自然の一部である」という自然観を日本人は持つようになったのではないでしょうか。

 

これらは、言葉やことわざにも表れている気がします。

「なるようになる」 :自分の意思と関係なく、自然に任せた方が上手くいく。

「他力本願」 :他人任せで自分の意思がない、悪い意味で使われる。本来、浄土宗の教えで、自力では極楽浄土できなくとも、南無阿弥陀仏さえ唱えれば、仏様が救ってくれる、が由来。

「おかげさまです」:日本人の「お元気ですか」に対する返事。「お蔭~」は、自然の神仏、ご先祖様の霊を意味する。日本人は、神仏、周囲の人々の助けに感謝の気持ちを自然と共有する。

また、ことわざでは、「地震、雷、火事、親父」という言葉がありますが、災害も家族も、怖いものを同じ地平で捉えているのは、日本人特有の自然観が生み出しているようにも感じられます。

 

このような、自然観がもたらしたものとして、日本人の融合力があると思います。

 

以前の記事【縄文人の特性】土偶に見る世界観と追求の方向性②で、縄文人がつくっていた土偶の特徴を扱いましたが、その中で、縄文人の能力として、融合する力が非常に高かったことが見えてきました。人と植物の特徴をどちらに偏らせるでもなく抽象化し、人と植物の境界を絶妙にぼやかし、融合させて土偶を形づくっていたのです。

 

縄文以降も日本人は、漢字や英語、仏教、洋食など、海外の文化をすぐに受け入れ、改良して取り入れてきました。これらの日本人(縄文人)が得意とする融合力の根底には、自分が自然の一部であり、外部からきた良いものも悪いものも、受け入れて捉える自然観・体質が、要因として大きかったのではないか。そしてその融合力が、縄文人の観念進化の起点となっていたのではないでしょうか。

 

次回からは、縄文時代の集団や婚姻関係はどのようなものだったか?について扱っていきたいと思います。

 

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