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2007年03月28日

カナダ先住民族「ハイダ族」は全滅の危機に立たされていた。

前回、太平洋沿岸地域のカナダ先住民族(ファーストネーションズ)を紹介しました。http://www.jinruisi.net/blog/2007/03/000139.html
その先住民族「ハイダ族」には伝染病による死滅の危機に立たされていた事が新たに分かったので紹介します。
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1770年代にヨーロッパの探検家が訪れて以来、カナダ西海岸に住む先住民は毛皮交易商人、宣教師などとの接触の中で、(白人が持ち込んだ伝染病の免疫を持たなかったため)、徐々に人口を減らしてゆきましたが19世紀半ばに決定的な事件が起こりました。 1858年にフレーザー河の下流で金が発見されたことによって起こったゴールドラッシュは、その9年前のカリフォルニアで幸運を掴み損ねた人達の多くをカナダに引き寄せました。 彼らの多くが長い間風呂にも入らず、着替えもせずといった不潔な輩だったろうことは容易に想像できます。 当時サンフランシスコからカナダ西海岸に向かう船はビクトリアに到着していました。 1862年にカリフォルニアで大流行した天然痘がビクトリアに持ち込まれ、たまたまこの土地に集まっていた先住民の部族の代表達が次々に感染し死にはじめると、現在のブリティッシュ・コロンビア州を統治していたハドソンベイカンパニーは、先住民に自分達の土地に帰るよう命じました。
しかしながら彼らの中には既に天然痘に感染した者も多く混じっていました。 こうして太平洋岸の先住民部落に天然痘が蔓延していったのでした。 ほとんどの部族が人口を数分の一に減らしましたが、一番大きな被害をこうむったのがハイダ族でした。 大陸と切り離された島で暮らしで、他の部族との通婚がまれだったハイダ族は、海峡を隔てた大陸側に住むシムシァン族などを襲うことも多かったことから、その剽悍さを怖れられていましたが、純血なるがゆえに伝染病には弱かったのです。 ある資料には伝染病によってハイダ族は人口の95%以上を失ったと書かれています。 部族のまとめ役や働き手を失って村を維持できなくなった人々はグレアム島(北島)のオールドマセットとスキッドゲートに移動し、20世紀初頭にはモレスビー島(南島)の全ての先住民部落は廃村になってしまいました。

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村に残されたカヌー
「BC州の自然と先住民文化」 第5回 提供者名: 川端 雅章
上記の通り、「ハイダ族」は純血ゆえ、伝染病(天然痘)には感染しやすい人種であり、その殆ど(9割以上)が亡くなったという惨劇だった様です。
また前回紹介の通り、ハイダ族は母系家族制ゆえ「通い婚」がまれな部族である事は想像が付きますが、上記述の通りその対象となる部族は同じ母系家族制集団の「シ(ティ)ムシァン族」であった事から、伝染病(天然痘)の感染を恐れられた様子が良く分かりました。
それにしても、金をむさぼる白人達の横で、たまたま居合わせた先住民「ハイダ族」がその犠牲になるとは、想像も付きませんでした。

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