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2015年2月12日

2015年02月12日

地域づくりの事例に学ぶ~全国に広がる「地域の茶の間」

地域コミュニティの事例を調べていたら、新潟市にある「地域の茶の間・うちの実家」に行き着いた。
全国に30,000箇所はあると言われているコミュニティカフェの先駆けとして注目されており、
今なお全国に広がりをみせつつある「地域の茶の間」について紹介してみたい。リンク

 

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■□■活動のきっかけ・経緯
・代表者の河田さんは、大阪で特養に勤務ののちに義父母介護のために新潟に帰郷し、会員制で有償による市民相互の助け合いの住民参加型の在宅福祉サービス「まごころヘルプ」を1990年に設立した。しかし、活動するなかで家族といても孤独な高齢者が多いことに気づき、子どもからお年寄りまで1時間でも1日でもいられ更に泊まることができるところが必要と感じ、「地域の茶の間」を開催した。

・活動は、1997年7 月から地域の山二ツ会館で毎月1回第3日曜日に「地域の茶の間」を開催したことから始まり、やがて新潟県の長期総合計画で県内各地に広がった。その後、地域外の参加者が増えたことや、参加者のいつでも利用したいなど新たなニーズを受けて、発展的にこれを解消して、2001年3月に常設型の「うちの実家」を任意団体として設立した。2003年3月には空き家を借りて整備し、オープンな憩いの場所として利用されており、公的援助無しで採算の合う運営がされている。

・現在、河田さんは、「うちの実家」を代表として運営すると共に、同様の居場所作りやコミュニティカフェなどの普及のために全国でセミナーや講演の講師として積極的に推進活動を行っている。 またこの「うちの実家」は全国に30,000 箇所あると言われているコミュニティカフェの先駆けとして、その手法を学ぼうと、全国の福祉や地域活性化を担う関係者の視察が訪れる注目の場所となっている。

 

■□■活動内容
・誰かに会いたい、誰かと話したい、誰かと一緒にお茶を飲みたい、行くところが欲しいと言う人々の願いに応えた常設型の地域の茶の間で、子どもからお年寄り、障がいの有無に関わらず、誰でも、いつ来ても、いつ帰ってもいい居場所で、男性の参加者や外国から来て日本に暮らす親子もいる。

・この場所ではみんなで行う特別なプログラムはなく、何をしてもいい。得意なことや、やりたいことをする、何もしなくてもいい。参加者が自分の実家ですごすように、思い思いの時間を過ごす。いろいろな人がお互い様の関係の中で一緒の時間を過ごすことで、相手の不自由さを知り、いつの間にか自然に助け合うようになっている。

・利用できる日は、火・金曜日と第1・第2土曜日の 10~15 時。実家のように泊まることも出来る。
・利用料金は、参加費が1日300 円、食事が300円、宿泊が2,000 円(光熱費、リネン洗濯代)、会員の年会費は2,000 円である。

 

■□■ポイント・工夫している点
■運営経費の収支状況
・参加者からは会員会費とその都度参加費や食事代を頂き、バザー、寄付、で運営し当番1名のみ小額有償して、参加者が出来ることを当たり前に助け合っており、ぎりぎりだが赤字は出していない

■地元自治会の協力を得る
・設立時は、地元自治会の協力を得て自治会に入り回覧板で周知した、バザー・除雪・庭木の手入れ・来客時に近所の家などの空き駐車場を借りるなど地域の協力を得ており、正式に自治会に入り会費を払って日常回覧板やゴミ当番にも対応し実施している。

■地元の小学校の子供たちも利用
地元の小学校の子供たちが授業の一貫として訪れたり、夏休みなどに誘い合って遊びに来ている。
研修、視察なども多く、その説明はうちの実家の参加者の活躍の場ともなっている。
・みんなの決まりごとがあり、利用者が上下関係なく和やかに静かに過ごせるようにしている。

■「夜の茶の間」として異業種交流の場に利用
・金曜日の夜は、「夜の茶の間」として異業種交流の場にしており、会社員、公務員、医者、社会福祉協議会、NPO、事業者、自治会、民生委員等々誰でも参加できる。この日のみ名刺交換があり、情報交換の場になっている。

■多様なネットワークを活かしたイベント利用
・個々のネットワークとしての活用だけでなく、この多様なネットワークを活かして講演会なども企画実施している。
・石山地区公民館、東区社会福祉協議会、地元コミュニテイ協議会、およびうちの実家が毎年共催している講座では、地域住民を対象に、不便な家でも暮らせるように、実践的な実技研修をバリアだらけのうちの実家の中で行っている。

男性のグループも継続して活動
・男性の料理教室に通っていたグループ(八浪会)から年3回食事作りを担当してもらっている。
退職者の男性たちが立ち上げた農園「にいがた・夢農園」の連絡場所として活用してもらうと同時に昼食食材の野菜を届けてもらっている。

災害時の避難所として利用
・7.13 水害の時(2004年7月)は、避難所にいた 5 人の要介護者の9日間の生活の場となった。
また、中越地震(2007年7月)の際は、川口町の仮設住宅に暮らしている人の実家として活用された。

■部屋の貸出など広く利用
・要望に応じて、町内会役員会や、生き辛さを感じている人達のグループに部屋の貸し出しや、知的障がい者作業所や精神障がい者作業所の焙煎コーヒー、トイレットペーパー、豆腐などを日常的に使用している。

 

■□■課題と今後の展開
・課題は特にないが、今は新潟市でも施策として取り組み、歩いていける範囲に「地域の茶の間」が出来てきているところから、うちの実家の継続に固執する必要はなくなってきている。
・居場所づくりを目的にするだけでなく、お互いの不自由を知り、できることを進んでやり、自然に助け合いがなされる地域づくりが大切だと考えている。そして自ら「助けて!」といえる地域づくりにつながることを願っている。

 

 

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