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2016年3月8日

2016年03月08日

人類の祖先は、近縁種と交配し続けてきた

現生人類(ホモ・サピエンス)は、約20万円前にアフリカで誕生したことが化石記録から示されています。この現生人類は、アフリカ内や、アフリカを出てヨーロッパやアジアに移住していったときに、出会った旧人類と交配していたことが最近のDNA研究からわかっています。本ブログ『現生人類はネアンデルタール人と交わっていた』参照。

このDNA研究に取組んだのが、ドイツのマックスプランク人類進化研究所のスバンテ・ペーボ博士のグループ。

ヒトはアフリカの共通の祖先から分化したと言う見方を取ると、それが起こったのは約10万年前のことですが、その頃地球上では、ヒトが唯一の人類ではなかったのです。他の人類も同時に存在したのです。おそらく最も有名なのはネアンデルタール人でしょう。数十万年前 西アジアとヨーロッパに棲んでいました。興味深い疑問は、我々が出会った時どうなったかです。ネアンデルタール人はどうしたのでしょう?

この疑問に答えようとして、私の研究チームは25年以上かけて、ネアンデルタール人や数万年前に絶滅した動物の遺骸から、DNAを抽出する方法を研究しています。大量のDNA分子の配列を超高速に解読する技術のおかげで、昨年私たちはネアンデルタール人のゲノム配列の第一版を公表しました。

そこから生まれる疑問は、我々が出会ったとき何が起こったか?ということです。

交配しあったのでしょうか? この疑問に答えるには、ネアンデルタール人と現代人のゲノムとを比較することです。その手始めとして、2人のアフリカ人のゲノムを調べ、互いに異なる点やネアンデルタール人に類似している点はどこかを調べました。統計的に見てネアンデルタール人は、いずれのアフリカ人にも類似性がありませんでした。しかしヨーロッパ人やアジア人を見ると、結果は違うのです。明らかに高い頻度でネアンデルタール人は、アフリカ人よりもヨーロッパ人に近いのです。中国人とアフリカ人を比較しても同様です。ネアンデルタール人は中国人に、より近いのです。これもまた驚きです。ネアンデルタール人は、一度も中国に棲んでいません。
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これの説明として我々が提唱するのは、約10万年前現代人はアフリカから旅立った後に、ネアンデルタール人に出会ったのです。最初は、ネアンデルタール人が棲んでいた中東で出会ったと思われます。もしそこで交配が起こったなら、その現代人がアフリカ以外の人全ての祖先となり、世界中の子孫にネアンデルタール人の部分のゲノムを広げたのです。このようにして、今日アフリカ以外の人はDNAの約2.5%を、ネアンデルタール人から受け継いでいるのです。

古代人の遺骸を調べてDNAを抽出する技術を活用して、ネアンデルタール人のゲノムを比較対照することができます。これを我々が初めて行ったのが、南シベリアのアルタイ山脈にあるデニソワという場所です。2008年に考古学者が山の洞窟で、とても小さなヒトの骨を発見しました。この骨は保存状態がよかったので、我々はこの人物のDNAを解析することができ、このゲノムをネアンデルタール人や現代人と比較してみました。その結果約64万年前、この個体はネアンデルタール人と共通のDNA配列を持つ祖先を共有していたことが分かりました。さらに80万年前まで遡ると、現代人とも共通の祖先につながるのです。

従ってこの個体の属していた集団は、ネアンデルタール人と共通の祖先を持ち、それよりはるか以前から独自の歴史があったのです。この人類の集団を、初めて発見された場所にちなんで「デニソワ人」と呼びます。デニソワ人についても、ネアンデルタール人と同じ質問ができます。現代人の祖先との間で交配したのだろうか? この問いかけに対して、デニソワ人のゲノムを世界中の人と比較すると、驚くことに、パプア・ニューギニアを始めとした メラネシアや太平洋の島々の人は持っているのです。これが意味するのは、デニソワ人は以前はより広く分布していたということです。メラネシア人の祖先がシベリアに棲んでいたとは考え難いからです。

絶滅した人種のゲノムを研究することで、現代人がアフリカから外へ旅立ち始めた頃の、世界の様子が分かり始めているのです。西にはネアンデルタール人が棲み、東にはデニソワ人が棲んで、おそらく他にも未知の人種が 棲んでいたことでしょう。これらの人種の居住地域の境界線はよく分かりませんが、南シベリアには少なくとも過去のある時期、ネアンデルタール人とデニソワ人の両方が棲んでいたことが分かっています。その後アフリカのどこかで現代人が現われ、アフリカを出ておそらく中東に行きました。そこでネアンデルタール人に出会い交配し、世界中に広がり続け、東南アジアのどこかでデニソワ人と出会い交配し、太平洋へと向かって行ったのです。の後これらの古代人は絶滅しましたが、特定の現代人の中で、その一部が生き続けているのです。アフリカ以外の人のDNAの2.5%は、ネアンデルタール人に由来します。メラネシアの人はこれに加え、約5%のDNAをデニソワ人から受け継いでいます。

最後にまとめると、現代人と絶滅した人種との比較ゲノム研究から、何が分かったのでしょう。多くのことが分かりましたが、一つ大事な点と思い申し上げるのは、我々は常に交配してきたということです。我々の祖先は古代人と出会うたびに交配し、それ以降は現代人同士で交配を続けているのです。

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