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2019年12月10日

2019年12月10日

人類のアフリカ起源説も覆されている

人類史の定説であったチンパンジー起源説だけではなく、アフリカ起源説も揺らいでいる。
以下、「今、ホモ・サピエンスのアフリカ起源説など 人類史の常識が次々と覆されている」の要約。この論考はデイヴィッド・ライク『交雑する人類 古代DNAが解き明かす新サピエンス史』(NHK出版)の知見を紹介したもの。

【1】全ゲノム解析によりホモ・サピエンス(現生人類)のアフリカ起源説が揺らいできた。
多地域進化説では、180万年ほど前にユーラシアに拡散したホモ・エレクトス(原人)が各地で進化し、アフリカ・ヨーロッパ・アジアの異なる地域で並行的に現生人類に進化したとする。それに対してアフリカ起源説では、現生人類の祖先はアフリカで誕生し、その後、ユーラシア大陸に広がっていったとする。

1980年代後半、ミトコンドリアDNA解析によるミトコンドリア・イブ説が登場。現生人類は約16万年(±4万年)アフリカにいた1人の女性から分岐したとされ、それ以降、アフリカ起源説が常識となっているが、だからと言って現生人類が10~20万年前のアフリカで誕生したとは言えない。
ライクによれば、この誤解はミトコンドリアのDNAしか解析できなかった技術的な制約によるもので、全ゲノム解析によると、ネアンデルタール人の系統とサピエンスの系統が分岐したのは約77万~55万年前へと遡る。サピエンスの起源は、従来の説より50万年も古くなった。

そうなると、アフリカ起源説では、77万年前~16万年前までの約60万年間、現生人類はずっとアフリカで暮らしていたということになるが、アフリカ起源説を揺るがす化石が北アフリカのモロッコで発見された。この現生人類の最古の化石は約33万~30万年前のものとされた。アフリカ起源説では、現生人類はサハラ以南のアフリカのサバンナで誕生し、約5万年前に東アフリカの大地溝帯から紅海を渡ってアフリカを出たとされていたが、30万年前に北アフリカに現生人類が棲息していたとなれば、アフリカ起源説は覆される。

【2】遺伝学的には、現生人類はアフリカ系統とユーラシア系統に分かれる。ユーラシア系統は5万年前にアフリカを出て世界中に広がり、アフリカ系統はそのままアフリカに残った。
ユーラシア系統はネアンデルタール人と交雑したためネアンデルタール人のDNAを保有しているが、ネアンデルタール人はユーラシアにしかいなかったのでアフリカ系統の現代人にネアンデルタール人のDNAの痕跡はない。
従来の説では、出アフリカ後に北に向かった現生人類がヨーロッパのネアンデルタール人と交雑したとされていたが、現代人のDNAを解析すると、非アフリカ系(ユーラシア系)はゲノムの1.5~2.1%ほどがネアンデルタール人に由来するが、東アジア系の割合はヨーロッパ系より若干高いことがわかった。

【3】その後も、単純な「出アフリカ説」では説明できない発見が相次いだ。
2008年、ロシアのデ二ソワ地方の洞窟で約4万年前の人類の骨が発見された(デニソワ人)。DNA解析でニューギニアやメラネシアでデニソワ人との交雑が行われていたことがわかった。ライクは、これをシベリア(北方)のデニソワ人とは別系統としてアウストラロ(南方)デニソワ人と呼んでいる。

さらに、アフリカ系と非アフリカ系のDNAを比較すると、ネアンデルタール人、デニソワ人とは別系統のDNAをもつ集団がいたと考えないと整合性がとれないこともわかった。ライクはこの幻の古代人を「超旧人類」と名づけ、サピエンス、ネアンデルタール人、デ二ソワ人の共通祖先(約77万~55万年前)よりもさらに古い140万~90万年前に分岐したと推定した。超旧人類はデニソワ人と交雑し、その後、絶滅したとされる。

約5万年前にサピエンスがアフリカを出た時、ユーラシアには少なくともネアンデルタール人とデニソワ人という人類がおり、サピエンスは彼らと各地で遭遇し、交雑した。しかし、交雑は極めて近い血統でなければ起こらない(性交によって子を作れなくなった時点で分類学上は別の種になったと見做される)。
ということは、サピエンス、ネアンデルタール人、デニソワ人は(あるいは超旧人類も)「同種」ということになる。ネアンデルタール人とデニソワ人は同じユーラシアに住み、47万~38万年前に分岐したとされるから「同種」なのもわかるが、それより前の77万~55万年前に分岐し、地理的に隔絶したアフリカ大陸で70万年も独自の進化をとげてきたはずのサピエンスが突然ユーラシアに現われ、彼らと交雑できるとは考えられない。

そこでライクは、現生人類もユーラシアで誕生したという説を唱えた。
従来の人類学では、人類はアフリカで誕生し、約180万年前にホモ・エレクトス(原人)がユーラシア大陸に進出した後も、ネアンデルタール人の祖先やサピエンスなど、さまざまな人類がアフリカで誕生しては繰り返し「出アフリカ」したことになっている。
だが、新しい人類はアフリカでしか生まれないのか。ユーラシア大陸にも180万年前から多くの人類が暮らしていたのだから、そこで進化したと考えることもできるはずである。

ライクは古代人のDNA解析にもとづいて、ユーラシアに進出したホモ・エレクトスから超旧人類が分岐し、さらに現生人類(サピエンス)、ネアンデルタール人、デニソワ人と分岐したと考える。
デニソワ人は東ユーラシアから南ユーラシアに広がり、ネアンデルタール人はヨーロッパを中心に西ユーラシアに分布した。
現生人類は脆弱でネアンデルタール人に圧迫され中東に押し込められていたが、その後、ネアンデルタール人が中東に進出したことで、約30万年前には北アフリカや東アフリカまで撤退した。だからモロッコで現生人類の化石が発見される。

ところが5万年前に、脆弱だった現生人類が北アフリカや東アフリカを出て、ユーラシア中に広がる。中東でネアンデルタール人と交雑した現生人類の一部は東に向かい、北ユーラシアでデニソワ人と、南ユーラシアでアウストラロ・デニソワ人と遭遇して交雑。こう考えると、アフリカ系にネアンデルタール人のDNAがなく、東アジア系がヨーロッパ系と同程度にネアンデルタール人と交雑していることが説明できる。
その後、彼らはベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸へ、海を越えてオーストラリア大陸へ、そして千島列島から北海道、本州へと渡り縄文人の先祖になった。

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2019年12月10日

人間とチンパンジーのDNAが99%一致するという話はウソだった

人類はチンパンジーからと分岐したという定説は怪しい。

この説の根拠として両者のDNAが99%一致するとされているが、この「99%一致」はデータ改竄の産物であることが、『gigazine』2015年07月21日「人間とチンパンジーのDNAは99%一致するというのは本当なのか?」で指摘されている。以下、要約する。
人類とチンパンジーの遺伝情報のうち、比較できない人間の25%とチンパンジーの18%を除いた、57%だけを比較して、人類とチンパンジーのDNAが99%と一致すると、科学者は唱えているということだ。
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「人間とチンパンジーではDNAの違いはわずかに1%しかない」という「99%一致説」。しかし、それは間違いであることが指摘されている。
公開動画「Are We Really 99% Chimp?」

実際、人間とチンパンジーでは、DNAの遺伝子情報はかなり違っている。
染色体に至っては、人間23対に対してチンパンジー24対と、本数そのものが違っている。

遺伝子情報を文字に書き起こして比べると、人間にあるがチンパンジーにはない遺伝子情報やその逆もある。
塩基配列のごく一部が違うだけで、ほとんどは同じという場合は、塩基配列のわずかな違いを一つずつ数え上げることができる。
しかし、まったく違う部分が存在する。例えば、人間とチンパンジーとで記述自体は共通しているけれど、人間では2回繰り返す場合がある。
同じパラグラフでも異なる場所に現れている場合や、文字列の順序が反対の場合、文を区切れば一致する場合など、判断が難しい場合がたくさんある。
このように数えるだけでは済まない場合は科学者はどうしたのか?
科学者たちは、大きく異なる部分は切り捨てたのである。切り捨てた文字数は13億文字。そして、残った24億文字だけで比較した結果が「98.77%一致した。つまり、人間の25%のゲノムとチンパンジーの18%のゲノムを無視して、残りの部分だけを比較したのが「人間とチンパンジーのDNA99%一致説」なのである。

もっと根本的な問題として、DNA情報の異なる程度は、単純な文字列の違いでは計れない。わずかなDNA情報の違いで、姿かたちがまったく異なることがあるし、逆にDNA情報がかなり違うのに、ほとんど同じ形の場合もある。つまり、DNAの情報がほとんど同じであることをもって、生物学的に近いとは言えないのである。
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実際、人類とチンパンジーの遺伝子は8割以上違うという研究結果さえ発表されている。「遺伝子:チンパンジーとヒト、違い8割以上(毎日新聞)」 ― 研究チーム「違いは想像以上に大きい」【元村有希子】毎日新聞 2004年5月27日 2時00分
人類とチンパンジーの塩基配列の違いは5%だが、その遺伝情報によって作られたタンパク質では83%で違いがあるということだ。以下、転載する。
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理化学研究所などでつくる国際共同研究チームがチンパンジーの22番染色体とヒトの染色体を比較した結果を、27日付の英科学誌ネイチャーに発表した。生命の設計図と呼ばれるゲノム(全遺伝情報)の暗号文字(塩基配列)の違いは約5%だったが、それを基に作られる遺伝子は8割以上で違いが見つかった。研究チームは「両者は進化の隣人と呼ばれるが違いは想像以上に大きい。ヒトへの進化をもたらした遺伝子の解明は簡単ではない」と話している。

チンパンジーとヒトの祖先は共通で、チンパンジーの22番染色体はヒトの21番染色体にあたる。研究チームは、チンパンジーの22番(3350万塩基)の配列を昨年夏に決定し、既に解読済みだったヒトの21番と精密に比較した。

これまで、ヒトとチンパンジーの塩基配列の違いは1%余りとされていた。しかし、今回の研究では、両者で塩基の種類が変わっている部分が1.44%あったほか、塩基配列が加わったり、逆に欠けている部分が約6万8000カ所も見つかった。合わせた違いは5.3%になるという。

また、染色体上の遺伝子231個を両者で詳しく比べた結果、192個(全体の83%)で、遺伝子が作り出すたんぱく質に違いがあった。

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