2020年03月08日
性と踊りのエクスタシーが観念機能の母胎
前稿「人類の観念機能の駆動物質ドーパミン」では、人類では快感物質ドーパミン回路が発達し、それが人類の探求機能~観念機能の土台となったことを紹介した。
樹上機能を失い、絶望的な状況下に置かれたカタワのサル=人類は、性と踊りをはじめとする強力な充足回路を形成した。それが人類がドーパミン回路を発達させた理由であり、それがなければ、人類は生きる希望を失って早々に絶滅していたであろう。
『実現論』「前史ト.人類の雌雄分化と人類の弱点」
その名残りが、古代のシャーマン(巫女)の性と踊りのエクスタシーである。
以下は、『皇統と鵺の影人検索キーワードダイジェスト集』「巫女(みこ/シャーマン)」を要約したもの。
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シャーマニズムにおいて「神懸り」とは、巫女の身体に神が降臨し、巫女の行動や言葉を通して神が「御託宣」を下す事である。巫女舞の「神懸り」とは、巫女に過激な舞踏をさせてドーパミンを発生させ、エクスタシー状態となる事である。それによって、神が巫女に降臨し「神懸り」状態となる。
現代でも、夜通し踊ればベータ・エンドロフィンが脳内に作用してダンシング・ハイの興奮状態になるが、陰陽修験に伝わる呪詛行為の術では、巫女に過激な性交をさせてドーパミンを発生させ、脳内麻薬のベーター・エンドロフィンを大量に発生させる。巫女がオーガズム・ハイの状態になれば、その巫女の様子から周囲が神の降臨を認め、「神懸り」と成る。
日本には古来から女神が多いが、女神の資格は性交の儀式を執り行う事であった。
大和合の国(日本列島)黎明期の女神は、神の言葉を天上から受け取り、御託宣として下界の民に伝えるのが役目、つまり巫女(シャーマン)だった。そこに介在したのが、神事として奉納する性交の儀式である。五穀豊穣や子孫繁栄の願いを込める名目の呪詛として、巫女の神前性交行事が神殿で執り行われていた。
弥生時代~古墳時代まで、日本列島は縄文原住民族と多数の渡来部族が混在する人種の坩堝(るつぼ)だった。
そこで、部族間の争い事を回避する呪術が、性交に拠る人種的和合の「誓約儀式(うけいぎしき)」である。それによって次代が混血し部族が和合する。異部族間の性交が人種的和合の呪術だったからこそ、巫女に拠る神前性交儀式や神前娼婦などの文化が残った。
弥生期初期の頃は、本来の先住民・蝦夷族(縄文人)、加羅族(農耕山岳民族系渡来人、呉族(海洋民族)系渡来人の三系統に分かれ、その三系統も部族集団に分かれていた。最大の政治(まつりごと)は、それらの勢力の争いを回避する手段として始まった。そこで和解手段として最も実効があったのが誓約(うけい)の性交に拠る血の融合なのである。
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ここで注目すべきは、原始人類の性充足が、ドーパミン回路を発達させ探求機能~観念機能の土台となっただけでなく、その後の採集部族に至っては、性充足が部族間の同類闘争を回避し、部族和合を実現する最強の手段となったという点である。
採集部族は平和友好を維持するために様々な贈与をしたが、とりわけ性充足こそが部族社会を統合する最強の贈与だったのである。
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2020年03月08日
人類の観念機能の駆動物質ドーパミン
幻覚の原因は、様々な神経伝達物質の過剰や不足による神経回路の異常である。
各種の神経伝達物質の多くは相互に抑制し合う関係にあり、抑制し合うことで脳を安定させているが、特定の神経伝達物質の過多によって安定関係が壊れると神経回路が暴走し、幻覚をみることになる。
幻覚の原因となる代表物質がドーパミンである。
ドーパミンが過剰に増えた場合、神経回路が興奮し感覚過敏となり、ちょっとした刺激にも反応する。感覚が鋭くなると、外界刺激と経験記憶や本能記憶が反応して幻覚をみると考えられる。
以下、「生物史から、自然の摂理を読み解く~人類の観念(創造性)はドーパミンによってつくられた」を要約したもの。
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他の哺乳類では発現しなかった観念を、人類が獲得した理由は何か?
脳が自発的に活動する現象が幻覚と観念であり、その点で幻覚と観念は共通している。
そして、ドーパミンは幻覚だけではなく、観念機能にも関わっていると考えられる。
ドーパミンが人類で特徴的に発達した脳内物質だからである。
まず、ドーパミンの基本的な機能である。
ドーパミンは脳を覚醒させ、ストレスの解消や楽しさ・心地よさを生み出し、集中力・やる気を高める。子供が些細な事にも夢中になるのは、ドーパミンが脳内で十分に放出されているからである。
一方、ドーパミン濃度の低下すると、物事への関心が薄らぐなど精神機能や運動機能、性機能が低下する。
ドーパミンの神経にはA9神経系(黒質緻密部)とA10神経系(腹側被蓋野)があり、さらにA10神経系は2つの経路に分かれる。一つは大脳辺縁系を通る経路(中脳辺縁系路)で、扁桃体の興奮(情動)によって活性化する。もう一つは前頭葉を通る経路で、ストレスや不安等で活性化する。
このうち、前頭葉を通るA10神経系にはオートレセプター(自己受容体)がないので、前頭葉はドーパミン優位になっている。
オートレセプター(自己受容体)とは、自分で放出した神経伝達物質を神経細胞自身の受容体で取り込むことで伝達物質の放出量を調整(抑制)する仕組み(下図参照)。
このA10神経系はサルにもあるが、とりわけ人類に特徴的な神経系である。
大脳が発達した人類の脳には大量のドーパミンが分泌されている。特に大脳皮質の前頭連合野とその周辺で、ドーパミンが過剰に分泌される。人間が創造性を発揮できるのはこのドーパミンによるものとされる。また、大脳皮質では約8割を興奮性細胞が占めているので抑制が弱く、過去の経験や記憶に捉われない創造性が発揮される。
他の動物でも大脳基底核ではドーパミンが使用されるが、大脳皮質や側頭葉ではドーパミンはほとんど使われない。代わりに使われるのは覚醒性のノルアドレナリンである。
化学的にはノルアドレナリンの前駆物質がドーパミンで、「チロシン」→「L-ドパ」→「ドーパミン」→「ノルアドレナリン」の順に生成される。つまり、原始人類の前頭前野にドーパミンが大量に使われる素地は、それ以前の動物段階で整っていた。
ノルアドレナリンの生成にはビタミン類(特にビタミンC)が必要であり、果物が豊富な樹上生活を失ってビタミンC不足となった人類の脳では、ドーパミンからノルアドレナリンに転換できずに、ドーパミン過剰の状態に陥った。このビタミンC不足によるドーパミンの過剰が、ドーパミンを主体とした大脳、特に前頭葉と大脳皮質を発達させたと考えられる。
サルの脳と人類の脳の違いは、大脳、特に前頭葉における興奮系の神経伝達物質ドーパミンにある。木から落ちた人類は、ビタミンC不足に陥った結果、ドーパミン優位の大脳を発達させ、それが人類の創造性や観念機能の土台となったと考えられる。
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この投稿では、その理由としてビタミン不足を挙げている。それは間違いではないとしても、他にも理由があるのではないか?
ノルアドレナリンが生成できるのであれば、その前駆物質ドーパミンを生成するのは簡単にできるはず。だからビタミン不足でなくても可能なはずである。
いずれにしても、サル以前の動物で使われていたノルアドレナリンから、人類はその前駆物質ドーパミンに切り替えた。それが人類の探求機能→観念機能の形成によってなされたことは、間違いないだろう。
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