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2020年3月17日

2020年03月17日

【世界の各部族の婚姻形態シリーズ】ボス集中婚

婚姻形態は、時代や社会背景、環境や民族、部族により異なります。
いずれにしても男女関係・婚姻形態は、社会の最基底部に位置する重要な問題です。
今回から数回に分けて、世界の各部族の婚姻形態について形態毎にシリーズでお伝えしていきます。
第一弾は、ボス集中婚の風習を残す部族です。
参考:リンクより

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■ボス集中婚の風習を残す部族

●バクツ族:中央アフリカザイール
・生活形態-探検隊以外に白人の入っていないコンゴ奥地の大密林で狩猟。食糧に乏しく、一日一回
の食事で、主食はヤシ油、草木の根、蛆など。酷熱の日中は木陰で昼寝をし、日が傾くと男が狩り
に出かけ、一日が始まる。夜は広場で男が叩く太鼓に合わせて女がダンスした後、乱交。
・集団-酋長が率いる数戸の小部落単位で移動。
・男女関係-女性は生産面での大きな貢献に加え、子供を産むことでより生産性を高める部族繁栄の
源であり、いかに男性を惹きつけて受胎率を高め、たくさんの子供を産むかが価値基準となる。従
って結婚適齢期の12 才頃までには、ほとんどの女性が性体験を持ち、結婚前に出産経験のある者ほ
ど価値が高く、結婚の代償として男が娘の両親に渡す家畜の数も多くなる。婚姻は一夫多妻制で、
酋長になると30 人もの妻を持つが、大陰唇、小陰唇にまで傷をつける割礼と結婚後につける20 ㌕
の足輪によって性感覚が発達した女性は、性的満足を求めることに貪欲で、好意を感じれば他部族
の男性であっても、サルのプレゼンティングと同じ要領で、ヒップを相手の目の前に突き出し挑発
する。男女とも自慰行為をする数少ない未開種族のひとつ。
※旧〈狩〉=集中婚→乱交への過渡期。1日1回の食事、蛆を食う等、極限時代に準じる厳しい自然
圧力(貧困)の下にあり、男主導のボス集中婚規範を温存させている。女の役割規範として、性役
と従役が貫徹されているが、貧困圧力故に、女は自らの存在をより性役にかけ性機能を発達させる。
その結果、性の需給バランスは保たれ、性権力は登場しない。
女が行うサルのプレゼンティングに近い挑発行為は、密猟生産時代の人類が、さらにサルに近かっ
たであろうことを示す貴重な事例である。なお、多産は、貧しさ→産めよ増やせよの本能的法則で
あろう。

●アポリジニー(オーストラリア原住民)
・生活形態-旧石器時代の終わり頃オーストラリアに移住。以後1606 年にオランダ人がやって来るま
で他の大陸や島との交流がなく、弓矢を用いず長槍やブーメランで狩猟。灼熱の砂漠地帯故に食糧
事情は厳しく、空腹に耐えきれなくなると同じ群れの仲間を殺して食べることもあり、その際は犠
牲者が乳幼児だと成人男子のみ、若い娘なら友人の男だけが食事に参加できる。
・集団-20~50 人の群れ(ホルド)でカンガルーやエミューを追って移動。酋長や族長はいない(?)
が、厳しい年齢的秩序規範によって支えられている。
(集団指導者の有無-記載内容が一貫しておらず、“指導的立場にある者”や“長老”といった表現
もあり、さらに戦争シーンを描いた文章では“酋長”が登場しているので、指導者は存在するもの
と思われる。)
・男女関係-一夫多妻。但し若い娘は老人と結婚し、若い男(といっても女より晩婚)は出産年齢を
過ぎた女を妻帯する傾向が強い。

●アランタ族(白人を嫌って奥地に住み、ほとんど白人文明との接触がない最も原始的なアポリジニ
ー)は、男女が思春期に達すると、親族の取り決めで男はその娘が産む娘と婚約、従って結婚は15
~20 年先になるが、結婚前の女は、婚約者の父、兄弟、血縁者であれば性交は自由に許されるので、
禁欲生活にはならない。既婚女性は、概して身持ちが堅い。他の種族では、男の友人が謝礼付きで
妻を借りたいと申し出れば、断ってはならないとするものもある。但し夫の許可なく関係すれば、
重大な犯罪行為で妻は殺されることもあり、相手の男はたくさんの償いの贈り物をした上で、夫の
攻撃を無手で受けなくてはならない。さらに夫が、その妻を要らないと宣言すれば、生涯自分の妻
とする義務を負う。姦通に関しては種族によって対処方法が異なり、他人の妻を盗んだ男は処刑さ
れる種族もあれば、夫と決闘をして、勝者が妻の所有権を得る種族もある。
※下からの要求によるボス集中婚の一部解体過程。集中婚・老若交代型と呼ぶ。旧〈狩〉の段階に近
く、空腹に耐え切れず、喰人まで行うという厳しい貧困圧力の下、集団統合圧力が維持され、ボス
集中婚規範を温存させている。一部に見られる半集団婚的関係は、ボスの老齢化に伴って徐々に高
まった下からの要求(「女をよこせ」)に対する、ボスの妥協策と見れば全体が整合する。例えば、
若い男と年増女の結婚は、ボスが古手女房たちを女の当たらない若者に分配するという妥協策、女
房達の娘を15 年先に与えるという取り決めは「若い女を」という若者の要求に対する妥協策、兄弟
に限り自分の女房を貸してやるという方策も兄弟に対する妥協策である。
なお、この部族の喰人習慣は、弓矢の発明の直前まで、人類が非常手段として喰人を行っていた(つ
まり、それくらい飢えていた)という有力な証拠となる。

●ヤップ島:ミクロネシア
娘は初潮を迎えると、酋長による破瓜の儀式を受けることになっており、それまでは処女を守らね
ばならない。儀式後は一人前の女性として扱われ、結婚することが許される。結婚の際は、夫が妻
の内股に刺青をほどこして生涯の所有権を手に入れる。
※首長による破瓜の儀式は、明らかにボス集中婚の名残と見られ、乱交を通過していないと考えられ
るが、豊かな土地、周辺部族が乱交を経ているという点で疑問が生じる。ヤップ語はミクロネシア
諸島の他の部族とは異なる言語体系を持つことから、周辺の乱交を経た部族とは全く別の部族がた
どり着いたという仮説に立つ。即ち、一旦は規範が緩み、他部族に攻められ滅亡の危機を経験、そ
こから脱出した小集団が、総括を行って厳格な集中婚規範により再建をはかったという、言わば滅
亡総括型部族の一つである。その後生活の安定によって規範が緩み、私有意識の増大を背景に短偶
婚・固定婚にまで解体されていったものと考えられる。

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