2021年11月19日
人類と類人猿の違い~技術獲得編~
前回の記事では、人類進化の身体的特徴について扱いました。
今回は、人類の進化(とりわけ知能進化)と、道具を使えるようになった過程について、学説とされている内容を整理します。
まず、初期人類から、新人までの進化と道具の発生は、次のようになっています。
■アウストラロピテクス・アファレンシス(390~300万年前)
脳の大きさは小さく、道具の使用まではしていなかった。
■ホモ・ハビリスの登場(220万年~150万年前)
250年前にエチオピアの遺跡で、自然石の一部をうち割って作った石器(礫石器)の使用跡が見つかっている。
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■ホモ・エレクトスの登場(180万年~5万年前)
・石材のまわりを全面的に打ち掻いて、手で握ることの出来る形に整形したハンドアックス(握斧)を使用。
・最古の火の使用跡として、150万年前の、焼けた骨、高温に熱せられた石がアフリカで見つかった。80万年前のイスラエルの遺跡では、火炉の痕跡として、焼けた種(オリーブ、大麦、ブドウ)、木、火打ち石が発見された。
・30万年前には、木槍や、石を削って工作した鋭利な石器(剥片石器)を使用。
■ホモ・サピエンス(20万年前~)
・日常的な火の使用、壁画で抽象模様、装飾を行うようになる。
・5万年前から、洞窟壁画の使用
・4万年前から、針や糸による衣服の発明
・2万年前から弓矢の使用
・1万年前から農耕・牧畜を開始
次に、道具を使う能力の獲得と知能進化の関係について、一般的な学説を紹介します。
脳の肥大化は、類人猿(350~400cc)→アウストラロピテクス(450cc)→ホモ・ハビルス(650cc)、→ホモ・エレクトス初期(750cc)→後期(1200cc、)→ホモ・サピエンス(1350cc)
と変化していきました。
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これを見ると、何段階かで脳が大きくなっていますが、理由として以下が挙げられています。
①2足歩行により、重量がある頭を背骨で支えることが可能になり、脳を大きくできるようになった。
②火の使用により、肉食を始めたことで、草食に比べて腸を短くすることができた。長い腸で消化するために使うエネルギーを脳に使えるようになり、それが脳の肥大を可能にした。
火の痕跡年代と照らし合わせて、ホモ・エレクトスたちが、火を使うことで脳を大きくしたと考えられている。
③肉を食べるためには、石器で狩りを行う必要があり、より複雑な石器をつくるために、脳は肥大化していった。
それ以外では、水辺に暮らして魚を食べるようになったことが、脳の成長に必要だった栄養(DHA)を得ることにつながり、脳が大きくなった、という説もあるようです。
* * *
火の使用は、たしかに脳の進化と大きく関係していそうですが、肉食になり、消化エネルギーを脳にまわすことができたというのは、追求ポイントになりそうです。消化を行っているのは腸内細菌であり、その中で人間に必要な消化エネルギーというのはそれほど大きなものなのでしょうか。
あるいは、なんらかの別の要因(オスメスの性関係や集団化、言葉の獲得等)があり、脳の肥大化はその結果として起こった可能性も考えられます。
次回は、観念(言葉)の発生と人類進化について、扱いたいと思います。
- posted by matu-syo at : 2021年11月19日 | コメント (0件)| トラックバック (0)