2006年09月28日
遊牧の発生と気候変動
人類の婚姻形態の変化には外圧の変化⇒生産様式の転換が根幹に関わっています。中でも農耕・狩猟生産から遊牧生産への転換が、その後の人類の婚姻形態に大きな影響を与えています。9/24のなんでや劇場64~遊牧の発生と私権集団化~では、その焦点である遊牧の発生と婚姻形態の変化について詳細に扱われました。その中から、遊牧の発生の大きな要因となった気候変動について。
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約1万年前ヴュルム氷河期が終わり、西アジアではそれまでの農耕に加え、牧畜が開始されます。しかし、ほどなくミニ氷河期(8200~7800年)が訪れ、一時期寒冷化→乾燥化が進みます。このため、この地域で家畜を飼いながら農耕を営んでいた集団は(ごく一部の恵まれた地域を除いて)流浪民と化し、家畜の餌場と水場を求めて移動する“遊牧”という全く新たな生産様式に転換せざるを得なくなりました。この約8000年前の気候変動=外圧の変化に適応するために、農耕・牧畜民の中から遊牧集団は発生したのです。
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その後、再び2000年ほどの緩やかな温暖期を経て、5800年前にはじまる西アジアの急激な乾燥化によって、一気にこの地域の遊牧民は拡大・拡散し、やがて人類最初の掠奪闘争の幕が切って落とされます。
父系への転換は移動を常とする遊牧生産規範の継承のため に続く。(by笠)
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