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2006年12月11日

セム系部族社会(1) マルトゥの結婚

bam-3-300.jpgシュメール語文学の中でも、「マルトゥの結婚」や「スドの結婚」などは婚約や婚姻に関する手続きを詳細に記述した物語となっている。

「ウル・ナンム法典」「ハムラビ法典」など私権統合を進めるためには観念統合が不可欠であったこと、一対婚を確立するためには上記のような説話が不可欠であったことが伺える。

(by石野)


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マルトゥの結婚」のプロット

1. イナブ(ないしはニナブ)の町への称揚 (1~14)。
2. イナブ(ないしニナブ)町の郊外では、人々は網を広げ、ガゼル狩猟にあけくれている。ある夕刻、神の前での(?)獲物の「分配」(?)の場で、「分配」(?)の量が定められる。独身者の量を1とすれば、妻子ある男は3、妻を持つ男は2であったが、独身者マルトゥ神は、2と定められる(15-25)。
3. 不満を抱いたマルトゥは、母親に訴える。友人たちはすでに妻子をもっているが、自分だけが独身だ。独身の自分の「分配」(?)の量は友人の量より多い(26-33)。
4. 肉の量決定が同じ原理で繰りかえされ、マルトゥはふたたび母親に訴える。結婚させてほしい。そうすれば、「分配」(?)をあなたのところへもってくる、と(34~43)。
5. 母親はマルトゥに助言を与える。結婚しなさい。けれども市外に家を持ち、果樹園(?)をもって、仲間と暮らせ。そこで井戸を掘って暮らしなさい(44~52)。
6. ちょうどその時、イナブ(ニナブ)の町は祝祭ではなやいでいた。マルトゥは(友人たちとともに?)、イナブ(ニナブ)にでかける。マルトゥは広場で開かれていた格闘技コンテストに参加して、つぎつぎに相手を殺していく(53~75)。
7. 格闘技の主催者(?)ヌムシュダ神はマルトゥの勝利を喜び、褒賞として財宝を与えることを提案するが、マルトゥはそれを拒否して、かわりにヌムシュダ神の娘を所望する(76~83)。
8. ヌムシュダは、婚資として大量の家畜をマルトゥに要求する(84~111:セクション前半ではかなりの部分が欠落しているが、とりあえずこれらの行を、ヌムシュダの発言として復元してみた)。
9. マルトゥ(?)は、イナブ(ニナブ)の町の有力者たちだけでなく、奴隷女たちにまで貴金属の贈り物を気前よく与える(112~125)。
10. 結婚が決まると、ヌムシュダの娘にたいして、女友達が忠告する。マルトゥと結婚してはなりません。あんな野蛮な、テント住まいの、かずかずの禁忌を犯し、神を敬うことをしない人と結婚してはなりません(126~139)。
11. 娘による結婚宣言。ニナブ(イナブ)への賞揚(140~142)。

勇者としての分配の多さよりも一対婚願望を、勇者としての評価よりも安泰な家庭を、マルトゥや母親を通じて語られていく。

一対婚規範の浸透にはそのような、幻想共認が不可欠だったのだろう。その幻想価値は莫大な婚資として購われ、貴金属に勝る最高価値となっている。

しかし、その女の幻想価値を抑止する力は父権しかなく、決定権にかんしては女たちの評価は2の次であるという規範を外していないのが、現代の小説と違うところである。

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ウィキペディアによると、マルトゥは
>マルトゥの手は破壊的であり、その特徴は猿のものである。…敬意を表す事を知らず、神殿を憎悪する…麦を知らず、家も町も知らぬ山の住人であり、神域の丘でキノコを掘り起こし、膝を曲げること(耕作)を知らず、生涯家に住むこともなく、死者を埋葬する事も知らない。…

ヌムシュダの娘がこのようなマルトゥと結婚するというのは、どういう理由からなのか。何か無理矢理作られたような……
この物語は不思議ですね。

  • 北村
  • 2006年12月11日 13:44
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