2008年03月09日
人類拡散の謎~なぜ原人・旧人は死に絶えたか?
前回、人類の進化系統について「アウストラロピテクス(猿人)から枝分かれ進化した種の大半が途中で死に絶え、その中で奇跡的に生き延びたホモ・ハビリス(旧人)から枝分かれ進化した種の大半も絶滅し、さらに奇跡的に生き延びたホモ・サピエンス(新人)という種だけが現在まで生き延びてきた」=「人類は極限的な淘汰圧力に晒されながら、猿人⇒原人⇒旧人⇒新人と大きく3段階で進化してきた」ことについて書きましたが、この大きな進化は、“全てアフリカで起こった”ようです。
『ミッシングリンクの意味=奇跡的に生き延びた人類』参照
今回は、この大進化のたびに繰り返された「人類の拡散」について、なんでや劇場やなんでやサロンで追求してきた内容を紹介します。
←各年代の人類分布(別冊日経サイエンス151より)
上図から(猿人の化石はアフリカ大陸でしか発見されていないようですが)、原人以降は【その都度、アフリカ⇒各地に拡散を繰り返した】ことが読み取れます。
このことは、「拡散した後の(ジャワや北京で発掘された)原人と、現在のアジア人は遺伝的に繋がっていない」という人骨化石やDNAの解析結果によって裏付けられたそうです。
その結果、従来の『多地域(並行)進化説』は否定され、現在では「新人は8.5万年前にアフリカを出て7.5万年前にはスンダランドに到着した」という『アフリカ起源説』が定説になっています。
「各地に拡散した原人(や旧人)が、そのまま各地で進化しなかったのはどうしてか?」不思議ですね
原人段階で各地に拡散=いったん適応できたのだから、そのまま各地=多地域でおのおの別々に⇒旧人⇒新人と進化し、適応度高めてからさらに拡散~各地で混血⇒今の地域ごとの人種差につながっているのが自然!?この現代的感覚から、以前は『多地域進化説』のほうが優勢だったのでしょう。
「各地に散らばった原人や旧人は死に絶え、アフリカだけで進化できたのはなんで?」
次回は、なんでや劇場で解明した人類拡散の原理構造について明らかにしたいと思います。
- posted by nandeyanen at : 2008年03月09日 | コメント (8件)| トラックバック (0)
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comments
おぉ~っ!すごく分かりやすくまとめくださってありがとうございます。
古い時代の婚姻や集団の形態についての研究でも、その時々の社会情勢等にすごく影響されてるんですね。その辺りを考慮して、何が事実かを見極める必要がありますね。。
へぇ~!!!
学者さんの追求の流れってこんな感じになっているんですね。
各時代の人類学説の詳細も楽しみにしています。
まりも☆さん、マニマックさん、コメントありがとうございます。人類学の系譜を、駆け足で(半ば強引に)まとめましたので、もうすこし概念や論理の整理が必要だと感じています。
次回以降の詳細版では、その当たりを念頭においてまとめてみたいと思います。
分かりやすい紹介ですね。
初期の文化人類学が「家族・婚姻」を歴史構造として解明しようとしていたのにくらべ、時代を追うごとに捉え方が一面的というか部分的になっていく感じでしょうか。
次回以降の詳細版に期待してしまいます。モルガンの説がどのような理由で批判されていったのか興味あるところです。
とても分かりやすい紹介ですね!
一口に「家族論」と言っても、様々な視点による研究があるんですね。
人間社会だけを扱っていたのが、霊長類にさかのぼって研究するようになったというのは、より根本的な内容が期待できるので、今後注目度大!だと思いました。
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