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2015年02月13日

【女主導の原理と現代への適応】母系社会の適応原理

女主導の原理を探る上で、改めて押さえておきたいたい点が、母系社会の在り方。
今回は、現代にも残っている母系民族から「女主導の原理」の具体的な中身をみていきたいと思います。

『生命の根源は女。母系社会をめざせ』(リンク)より
中国の少数民族、モソ族は1500年以上前から四川省南部の辺境で暮らしてきた人口約5万の民族で、現存する世界最後の母系社会といわれています。
この母系大家族制度は、祖母が家庭の中心で、一族の資産を管理します(家長と財産は、代々女性に引き継がれていきます)。家族全員が祖母の血を引き、結婚という制度をとらず、男は、妻を娶らず、女は嫁がず(お嫁にいかず)、生まれた家で、母親、兄弟、姉妹と、生涯を一緒に暮らす女の国です。
モソの風景
■四川省南部の風景

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女の子は13歳で成人し、離れの2階に個室(花楼・かろう)が与えられ、18歳から20歳頃に、男性が夜、部屋に訪れる通い婚が始まります。女性にとって男性は、アーシャ(阿夏)とよばれるパートナーで、必要なときだけ特別に造られた花楼に通い婚(夜這い)に訪れる存在です。アーシャは必ずしも一人に限らず、その相手と一緒に生活せず、子どもの養育義務も無く、父というよび方も無い存在です。

源氏物語の光源氏を想像しますが、女性遍歴を重ねるような男性はいなくて、別れはあっても頻繁に女性を替える行為は、恥ずべき事だと思われています。生まれた子どもは、母親の家族が育て、父親には責任は生じません。少数民族ゆえか、子どもは3人までです。
母系社会では、男と女の愛は、はかなく不確実なもので、母と子の絆こそが永遠だと信じられています。男も女も、時の経過とともに、異性を求めるものなのです。それを受け入れるには、母系社会が最適です。

モソ人の民族衣装
■モソ族の民族衣装

ここでは、犯罪は、おろかケンカもありません。みんな仲良しで、行政は、トップの数人のみが男性で、あとは女性が取り仕切っています。
みんな、一夫一妻制度を知りませんが、この地に住むものにとって、何の疑いも無く女系社会は最高に良いといいます。女は自立するし、好きな母親、家族と生涯助け合って過ごすことが出来るし、子どもも全員で育てるから素直で良い子になるといいます。

生活を競争する事もなく、みんな仲良く、「核家族」にならないのも特長です。子どもたちもこの生活に満足し、テレビに刺激されても、都会に住みたくないと伝統的に思っているようです。

生活の基本は、「自給自足」の自然循環型・不耕起農業と、必要以上に収奪しない漁業ですので、収穫の歓びも味わえますし、なによりも自然からの十分な癒し効果が得られます。田畑や湖や海に出かけての労働は厳しいのですが、その分、身体は鍛えられ、健康になります。なにもスポーツジムにおカネを払ってまで通うことはありませんし、病気や病院も半減してしまうでしょう。

男は、おカネの心配や資産の管理をしなくてもいいし、結婚の煩わしさもなく、子どもの養育の義務もありません。いちいち「誰が父親か」を問われることもありません。むやみな競争に疲れることもなく、ゆったりと流れる時間に身をゆだねて、「田」の「力」=「男」として、食糧の生産・供給と女や子どもたちの安全に気をつけていればいいだけです。

SEXもフリーですので、男女に負担がなく、現在のような、ヘビーでダーティなイメージも払しょくされるでしょう。自然に沿った、つつましい生き方(ライフスタイル)は、男女にとって大きな恵みを与えてくれるでしょう。豊かな母系大家族制度は、我々に人間らしい生き方とは何かを教えてくれる一例なのかもしれません。

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