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2020年02月27日

農耕・牧畜によって現生人類の脳容量が縮小した1

農耕・牧畜によって現生人類の脳容量が縮小したという説が、複数の研究者から指摘されている。

【1】島泰三氏「ヒトー異端のサルの1億年」(島泰三氏)の第9章「最後の漁労採集民 日本人」

 ホモ・サピエンスの社会は、その発生のところから少しゆがんでいて、採集を過剰に行って大型魚貝や獣たちも絶滅させる傾向を持っていた。南アフリカの海岸では、カサガイの直径を測るだけでホモ・サピエンスが出現したかどうか推定できる。ホモ・サピエンスが採集を始めると、カサガイの直径は小さくなる。 

農耕社会はこのひずみを決定的に大きくした。漁労・狩猟と採集の社会では、身の回りの生き物についての長いリストこそ、生きのびるためにどうしても必要な知識だったのだが、農耕社会ではそのリストは決定的に短くなった。

 農耕社会以来、ホモ・サピエンスは栽培植物と飼育動物の知識を第一とし、それ以外の周囲の生命をすべて害虫獣と雑草として区分した。有用かどうかを基準とする世界観は、人の評価に拡張され、人を有用か無用かで分別するようになった。こうして、ホモ・サピエンスは「現代人」となり、みずからの回りの世界を単一の心の色に染めはじめたのである。それは、「現代人」の魂をやせ細らせる道だった。このやせ細った魂たちが、現代人の社会構造である階級社会を形成し、「文明化」を起こした。そこでは、支配と被支配を永続化しようとする悪辣なたくらみが日常となり、富の蓄積とその分配の不公平、富の防衛のための戦争と憎悪の拡大が毎日の仕事となり、現代人たちのお互いの関係は悪意に満ちたものとなった。 

現代人が「魂を細らせた」とは、形容や修飾ではない。現代人の脳容量は、ネアンデルタールはもとより、彼らと同世代のホモ・サピエンスよりも明らかに減少している。 

穀物は、もともと類人猿の食物リストの中にはない。イネ科植物の種子である穀物は、小鳥やネズミの主食で、類人猿は利用してこなかった。 

小麦や穀物には問題がある。穀物は脳で直接使える脂肪を含んでいない。小麦のタンパク質の一種グルテンは未消化の残存物が消化管を損ない、正常な脳機能を阻害することがある。食物に対する不耐性を調べるELISAテスト(酵素リンク免疫吸着分析評価)では、グルテン不耐性の現代人は珍しいことではない。さらに、穀粒に含まれるフィチン酸塩は、カルシウム、亜鉛、鉄などと結びついて不溶性複合体を作り、それら必須ミネラルの体内への吸収を阻害し、心筋梗塞などを引き起こす要因となる。

 ホモ・サピエンスが魂を細らせたのは、農耕・牧畜による心に映る環境世界の単純化と穀物食による脳障害のためだったかもしれない。

 日本列島住民は、近代後期に至るまで米を主食とすることがなかったので、穀物のフィチン酸塩に由来する疾患から逃れることができたし、その主食として魚介類、海藻類が豊富だったので、脳の正常な発達に必要な必須脂肪酸やエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキエン酸(DHA)、アラキドン酸(AA)を食物から摂ることができた。このために、日本人の脳容量はヨーロッパ人男性(1400cc)のような減少を示すことなく、現代人の中では例外的にホモ・サピエンス最大時の脳容量(男性1500cc)を維持しているのだろう。

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