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2020年2月27日

2020年02月27日

農耕・牧畜によって現生人類の脳容量が縮小した2

農耕・牧畜によって現生人類の脳容量が縮小したという説が、複数の識者から指摘されている。

【2】1万年前以降、人類の家畜化によって低脳化したという説
『大摩邇(おおまに)』「人類の第2次低脳化現象(1)人類は過去に一度“低脳化”している」の要約。

人類は今、“第2次低脳化”の過程に入っている。人類は“総体”としては今リアルタイムで “より低脳化” しつつある。“第2次”と言っているのは、第1次”低脳化がすでにあったからである。

実は「人類の低脳化」についての指摘は10年以上前から出てきている。それらはほとんどが、人類が農耕生活に移行した頃に起きたというものである。

過去20万年間のヨーロッパ、アフリカ、アジアで発見された人類の骨と頭蓋骨の大きさと構造に重点を置いた調査が行われた。

その研究チームによると、最大のホモサピエンスが生きていたのは、今から2万年~3万年前であり、その種族の体重は79.83kg~85.28kgで、脳の容積は1,500 ccであった。ところが、1万年ほど前に人類の体格と脳の大きさが小さくなり始めた。

        2年~3万年前       西暦 2000- 2010

体重      79.83~85.28 kg     69.85~79.83 kg

脳の容積比率   1,500 cc          1,350 cc

翻って、2000年~2010年の10年間における人類の体重は69.85kg~79.83kg、脳の容積は1,350cc。2万年~3万年前の最大級の人類の脳の1,500ccと比べると、およそ10%の減少。

20万年近くほぼ変わらなかった人類が 急に小型化したのはなぜか?研究者たちは、9,000年前の、狩猟採集生活→農耕生活への移行に関係があるとみている。

 牛でも、羊でも、ブタでも、ヤギでも、馬でも、そして犬でも猫でも、家畜化した動物は一般的に脳が縮小し、“低脳化”していることは否定しがたい。いちばんの理由は、家畜化された動物は人間に保護されることによって、他の肉食獣(オオカミ、トラ、ライオン、クマなど)によって襲われて食べられる危険が劇的に低下したために、警戒心が不要になり、脳の負担が大きく軽減したためと考えられる。

人間が特に知能の高い個体を淘汰(排除)することによって、家畜の“低脳化”を加速してきたのである。

 人間も“家畜化”されたために脳が縮小化した。かつて人間を襲っていた大型肉食獣は、弓矢や槍といった飛び道具を集団で使いだした人間から逃げるようになり、形勢が逆転した。人間は農耕生活に移行したために定期的な安定した収穫により “食べる心配”が劇的に少なくなった。

 狩猟採集時代は家族や部族のメンバーは、食糧の供給、危険の回避といった生存の為の知識や技能を全員が身に付けなければならなかった。石器の作り方、弓矢の使い方、獣の習性や追い方や避け方、食べられる植物や木の実の見分け方、薬草の見つけ方や使い方、生活圏についての地理や植物相、動物相についての知識などなどの大自然でのサバイバルのためのありとあらゆる知識を身につけなくてはならなかった。

 しかし、農耕時代に入ると、まず食料の供給が安定した。農耕は基本的には単純な作業の繰り返しなので、頭を集中的に使わなければならない切迫した状況に直面する場面がずっと少なくなった。

穀物主体の食糧供給体制によって、飢えるリスクは大幅に減り、人口も増えたが、構造的で慢性的な人類の栄養失調の時代が始まり、発育不全や病気のため身体も小柄になった。人口密度の高い集団生活によって、疫病が繰り返し発生した。農耕によって食糧の貯えができ、飢えのリスクから解放されることによって、脳に対する“淘汰圧”が低下し、人間の一人ひとりの“生物学的な脳”という器官は退化した。

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2020年02月27日

農耕・牧畜によって現生人類の脳容量が縮小した1

農耕・牧畜によって現生人類の脳容量が縮小したという説が、複数の研究者から指摘されている。

【1】島泰三氏「ヒトー異端のサルの1億年」(島泰三氏)の第9章「最後の漁労採集民 日本人」

 ホモ・サピエンスの社会は、その発生のところから少しゆがんでいて、採集を過剰に行って大型魚貝や獣たちも絶滅させる傾向を持っていた。南アフリカの海岸では、カサガイの直径を測るだけでホモ・サピエンスが出現したかどうか推定できる。ホモ・サピエンスが採集を始めると、カサガイの直径は小さくなる。 

農耕社会はこのひずみを決定的に大きくした。漁労・狩猟と採集の社会では、身の回りの生き物についての長いリストこそ、生きのびるためにどうしても必要な知識だったのだが、農耕社会ではそのリストは決定的に短くなった。

 農耕社会以来、ホモ・サピエンスは栽培植物と飼育動物の知識を第一とし、それ以外の周囲の生命をすべて害虫獣と雑草として区分した。有用かどうかを基準とする世界観は、人の評価に拡張され、人を有用か無用かで分別するようになった。こうして、ホモ・サピエンスは「現代人」となり、みずからの回りの世界を単一の心の色に染めはじめたのである。それは、「現代人」の魂をやせ細らせる道だった。このやせ細った魂たちが、現代人の社会構造である階級社会を形成し、「文明化」を起こした。そこでは、支配と被支配を永続化しようとする悪辣なたくらみが日常となり、富の蓄積とその分配の不公平、富の防衛のための戦争と憎悪の拡大が毎日の仕事となり、現代人たちのお互いの関係は悪意に満ちたものとなった。 

現代人が「魂を細らせた」とは、形容や修飾ではない。現代人の脳容量は、ネアンデルタールはもとより、彼らと同世代のホモ・サピエンスよりも明らかに減少している。 

穀物は、もともと類人猿の食物リストの中にはない。イネ科植物の種子である穀物は、小鳥やネズミの主食で、類人猿は利用してこなかった。 

小麦や穀物には問題がある。穀物は脳で直接使える脂肪を含んでいない。小麦のタンパク質の一種グルテンは未消化の残存物が消化管を損ない、正常な脳機能を阻害することがある。食物に対する不耐性を調べるELISAテスト(酵素リンク免疫吸着分析評価)では、グルテン不耐性の現代人は珍しいことではない。さらに、穀粒に含まれるフィチン酸塩は、カルシウム、亜鉛、鉄などと結びついて不溶性複合体を作り、それら必須ミネラルの体内への吸収を阻害し、心筋梗塞などを引き起こす要因となる。

 ホモ・サピエンスが魂を細らせたのは、農耕・牧畜による心に映る環境世界の単純化と穀物食による脳障害のためだったかもしれない。

 日本列島住民は、近代後期に至るまで米を主食とすることがなかったので、穀物のフィチン酸塩に由来する疾患から逃れることができたし、その主食として魚介類、海藻類が豊富だったので、脳の正常な発達に必要な必須脂肪酸やエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキエン酸(DHA)、アラキドン酸(AA)を食物から摂ることができた。このために、日本人の脳容量はヨーロッパ人男性(1400cc)のような減少を示すことなく、現代人の中では例外的にホモ・サピエンス最大時の脳容量(男性1500cc)を維持しているのだろう。

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