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2020年03月01日

サル・人類の変異を促進するジャンクDNA(ALU配列)

ヒトをはじめとする霊長類のDNAにはALU配列と呼ばれる文字列(ジャンクDNA)が何十万と繰り返し存在する。
ALU配列は真猿以降急増したらしいが、その役割は未だ解明されていない。

以下、2004/6/9付け朝日新聞「動くDNA 進化のカギ」の要約。

DNAの変化を起こす一つに「動くDNA」がある。
遺伝情報を記す文字にあたる4種類の塩基が複数つながったDNAの断片が、ある場所から別の場所に移って遺伝子の働きを変えたり、入った場所で複製を繰り返したりする。
動くDNAが進化に及ぼす役割は大きい。塩基1個が突然、変化する。DNA断片が入ったり欠落したりして遺伝情報が少し変わる。動くDNAには、いったんRNAに変わるレトロトランスポゾンと、DNAのままのトランスポゾンがある。哺乳類ではレトロトランスポゾンが大半を占める。ALU配列もレトロトランスポゾンの一つである。

レトロトランスポゾンの多くはDNAを複製する機能を持ち、ほかのDNAのコピーを作る。動くときに周囲のDNAを一緒に連れて行くこともある。こうして生物の遺伝情報が多様化される。 動くDNAは重要な遺伝子の働きを止めてしまう場所に飛び込めば病気を引き起こす。一方で遺伝子の働きを多様に変化させ、進化の原動力にもなっている。
東京工業大学岡田典弘教授らの研究では、レトロトランスポゾンは、哺乳類が登場した2.5億年前ごろに爆発的に増加。ALUは人やチンパンジーといった真猿類が、メガネザルなど原猿類から分かれた後の約4千万年前に急増したとのこと。

日本を中心とする国際チームは、人とチンパンジーで、たんぱく質の8割の構成が異なっていたと発表。対応する染色体1本を解析して比べた所、DNA断片が欠落したり、挿入したりした結果、異なる部分が6万8千ヶ所もあった。調べたDNAはゲノムの約1%で、塩基数はチンパンジーでは3280万個。4割以上が動くDNA由来とみられ、人での比率と似通っていたが、ALU配列は人の方が8倍多かった。

ジャンクDNAは単なるがらくたでは無かった?!~ヒトゲノムに散在するAlu配列~

ヒトゲノムには、容姿や体質など、ヒトとヒトとの違いに関わる様々な遺伝情報が刻み込まれている。約30億塩基対からなるヒトゲノムでは、タンパク質に翻訳される遺伝子のエキソン領域は2 %程度で、その他の領域は、イントロンなどの遺伝子間領域と反復配列で構成されている。反復配列の中でも、レトロトランスポゾンであるSINEの一種として知られるAlu配列は、霊長類に特異的な反復配列で、ヒトゲノムの約10%を占める。その数は100万コピーとも言われているが、Alu配列の機能や生物学的な意義は明らかになっていない。ゲノム解析技術の進歩に伴い、数千人規模の個人ゲノム解読や、反復配列領域の個人間比較ができるようになってきた。これらの解析から、Alu配列の位置や分布に個人差があることや、Alu配列がプロモーター領域やエキソンまたはイントロンに挿入されることで、近傍に位置する遺伝子の機能を変化させ、病気を引き起こすことなどが明らかになってきている。かつてジャンクDNAと呼ばれ、これまで重視されなかったAluを含む反復配列が、ヒトの表現型に及ぼす影響や、ヒトゲノムにおける反復配列の生物学的意義の解明が進められている。
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レトロトランスポゾンは、哺乳類が登場した2.5億年前ごろに爆発的に増加。ALUは人やチンパンジーといった真猿類が、メガネザルなど原猿類から分かれた後の約4千万年前に急増したとのこと。

レトロトランスポゾンは変異の促進機能をもっていると考えられる。その一つであるALU配列は共認動物(サル・人類)の変異を促す役割を果たしていると考えられる。サル・人類においてはALU配列が、遺伝子の働きを変異させ、それが生み出すアミノ酸・たんぱく質が他のたんぱく質に多様に連鎖し、進化を加速したのではないだろうか。
例えば、類人猿では、体重6kgのテナガザル→80kgのオランウータンや150kgのゴリラに急速に大型化したのも、脳容量400CCのオランウータン→1000CCのジャワ原人に200~100万年で進化したのも、現生人類の言語機能や道具が7万年前に突如進化したのも、レトロトランスポゾンALU配列の成せる業ではないだろうか。人類の足の指が先祖返りして枝を掴むことが出来なくなったのも、レトロトランスポゾンALU配列などが、足の指が曲がる遺伝子の働きを止めてしまった結果なのかもしれない。

あるいは、共認機能・観念機能(の進化を促した外圧)が、ALU配列という変異促進機能を発達させたとも考えられる。

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