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2020年03月24日

【世界の各部族の婚姻形態シリーズ】「勇士婚」の風習を持つ部族

前回の「ボス集中婚の風習を残す部族」に続いて、今回は「勇士婚」の風習を持つ部族についてです。
主な部族は・・・
●インディアン 40 部族(セネカ・イロコイ族等)
●マサイ族:南東アフリカケニア
●ヘヤー・インディアン
リンクより詳しく紹介します。

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■勇士婚の風習を持つ部族
●インディアン 40 部族(セネカ・イロコイ族等)
発見当初には既に短偶婚に移行していたが、「長女と結婚する者は、その妹たち全てを妻にする権利を有する」という慣習を残存させている。未婚男女間の社会的交際はほとんどなく、婚姻の取り決めは母に委ねられ、当事
者の事前の承諾を必要としない。男が娘の氏族的親族に贈り物をすることが、婚姻取引における特色。夫婦は妻の親族と一家屋内で共同生活を営み、一般的に妻には貞節が求められるが、夫にはその義務はない。
セネカ・イロコイ族の場合には、家庭内において、妻が権力を持ち、夫が充分な生活物資を得られなければ、直ちに離縁を申し渡す。さらに女は氏族内でも、強大な権力を握っており、酋長の最初の任命権は女たちに属して
いた。
※集団婚解体の過程で、生殖過程の全権を握る母系氏族の女ボスが勇士を選び婿に迎える(従って氏族の姉妹は共同の妻になるという風習を残しており)、勇士婿入婚の系譜と見なすことができる。
生活力のない夫を追い出すというのも、強者選択本能の一つの表れかもしれない。

●マサイ族:南東アフリカケニア  ※「我らマサイ族」S.S.オレ・サンカンより
・生活形態-ケニア南部~タンザニア北部の高原乾燥地帯に住む生粋の牧畜民。(マサイ=牛に生きる人)
・集団-部族連合体であるが、各部族は自立性の高い自治組織で、固有の年齢体系に基づく制度によって統制をはかり、自前の武力組織を保有する。マサイは、火と剣で全てを滅ぼす戦士として恐れられており、牛が不足す ると牛群を持つ他民族を襲撃する。飽くなき蓄財欲から、内部でも部族間の抗争が絶えず、部族の消滅や吸収を繰り返してきた。大きな闘いに際しては、預言者の指示が強い影響力を持つ。敵の集落では、男を殺すことはあ っても、女や割礼を受けたばかりの若い男を殺すことはない。戦利品は、偵察要員・入社組の役職者・より多く敵を殺した者・青年集落リーダー・その他の順で参加者全員に分配される。
・社会制度-戦闘能力を持つ少年がある一定の数に達すると、長老達によって割礼式の挙行が決定され、各地域から集まった少年たちは、儀式用の小屋で4日間踊りを踊り、最後に牛が屠殺される。この期間中に選任される 入社組(エイジグループ)長は、以降入社組を指導する役目を担い、同輩に対して強い拘束力を持つ。1~2年後、第二の儀礼として、素手で去勢牛の角をつかみ、引き倒して力を誇示する儀礼を行った後、自分たちの集落 に戻って実際の割礼を受ける。その後剃髪の儀礼を契機に、“下級青年”になり、槍と楯の携帯を許される。下級青年たちは、青年村と呼ばれる新しい集落で、外敵から土地を守る自衛戦士として何年かを過ごす。次世代の 者にその役割を引き継ぐ時期になると、“青年昇級式”が行われ、この儀式で選任される“植樹役”が、入社組の同輩を代表して最初に結婚する役割を担う。儀礼の最後に、植樹役が妻にする女を選ぶが、別の男と既に婚約 している等の婚姻上の諸慣習は無視される。以降、同輩たちの結婚も正式に許可され、飲乳式の儀式を経て、制度上は長老の身分となる。
時期をずらして組織される2つの入社組は、ある時期になると1つの年令組(エイジセット)として編成され、成員は対等の権利と資格を有し、住居、妻を共有することができる。
・婚姻-一夫多妻。女性は結婚に際して割礼を受ける。氏族内通婚は禁止。他民族との通婚は、男性のみ許される。第一夫人を迎える手続は――男が見初めると、首飾りを贈り、娘の両親に結婚の意思表明として少量の蜂蜜を送った後に、大量の蜂蜜と牛乳を送る。結婚の申し入れが受け入れられると、男は娘の両親に心付けの品物を贈り、式の当日、2頭の牝牛と1頭の去勢牛、2頭の牝牛と 1頭の仔羊、1頭の牝山羊を婚資として持ってくる。正式な手続を踏んだ結婚では、妻側の離婚要求は認められず、話し合いによって離婚成立の場合も、妻は婚資の牛や羊を返却する。
・相続-父親が死んだ場合、長男が遺産と債務を全て引き継ぎ、その後弟に分配。母親の老後の面倒は、末息子の義務で、母の遺産は全て末子が相続。
・罰則-家畜泥棒は、同種のものを5~9頭支払う。但し女は直接制裁を科せられることはない。殺人罪は 49 頭の牛で償う。伝統的にマサイが女を殺すことはないとされているので、女を殺した場合の罰則は定められていない。誤って殺した場合には、贖罪の儀礼を行い、死者の呪いが乗り移らないように身を清める。
※母系制では末子相続が一般的で、元々は母系制・勇士婿入婚であったと推定される。同類闘争圧力の上昇以降、あるいはさらに時代が進んで遊牧が始まって以降、父系制へ転換。既に私有意識が相当強いことを考えると、 勇士婿入婚から直線的に一夫多妻制へ移行しつつある過渡期と見られる。遊牧であるにも関わらず、上記のような結婚資格制度を持っていることは、勇士婚の時代の勇士の資格が、いかに凄まじいものであったかをうかがわ せる。

●ヘヤー・インディアン
・生活形態-カナダ北西部マッケンジー川流域で、狩猟生産を営む。タイガとツンドラの境界に接し植生は極めて貧弱で、採集できるのは7~9月のベリー類程度。ムースやカリブのような大型獣が少なく、兎の罠猟に強く 依存している。(推定では人と犬の食糧の 40%を狩猟、55%を漁労、5% を採集に依存。)1904 年の神父の記録によれば、息子と娘を殺し、その肉を飽食して過ごした壮年の男に罪の意識を呼び起こそうと努力したところ、彼曰く「祖先の例にならって、私が自分の生命を保とうとしたことのどこが悪いのか?」人に食 べられて死ぬことは「良い死」とされ、再生が保証されている。
・婚姻制度-カソリック教会が入ってくるまでは、一対婚規定はなく、多くは一夫一妻であったが、有能な猟師は2~3人の妻を持ち、重婚も珍しくなかった。妻同士が姉妹や従姉妹である場合もよくある。兄弟姉妹・イト コ間の通婚はタブー。幼児婚もあるが、一般的には男が父や父方のオジもしくは父方のイトコに求婚交渉をしてもらい、娘方の両親やオジ・オバが参考意見を述べるという手順を踏む。(拘束力は弱い。)なかでも母親の意 見が重要で、良い猟師であるかどうかが重視される。結婚当初は妻方の両親のキャンプに2人のテントを張り、夫は妻の父 ・兄弟と協力して猟に出かける。その後夫の両親のキャンプに合流する場合もある。(婚資の記述はない。)
・性規範-男女ともに婚前は頻繁に、婚後もかなりの頻度で複数の相手と性交渉を持つ。夫婦関係の永続性の観念はなく、離婚・一時別居が頻繁に行われている。男女とも最大7~8人の恋人をもつが、長期的には男女の労 働力=男がとる獲物の量と女の皮なめしの速さのバランスにより最適な相手に落ち着いている。
・男女の役割-男は狩猟、女は皮なめしの作業に加え、ウサギやライチョウを罠で取る。女が毛皮を動物から剥ぐ作業を行うようになったのは、1940 年頃からであるが、現在でもムースとカリブの皮剥ぎは男だけの仕事となっている。(南東に分布するチペワイアン・インディアンでは、女は絶対に狩りはしないものとされているが、ヘヤー・インディアンは、月経時を除 いて女に狩猟のタブーはなく、役割規範が柔軟で、見つけた獲物は逃さないのが第一。)
・家族形態-家族は同居するものという観念は薄く、獲物の状況や皮なめしの都合で臨機応変に夫婦親子が分散、従って、テント仲間は必ずしも家族ではなく、メンバーも流動的で、時には男だけ、女だけのテントも生まれ る。
・私有意識-“所有者”という意識はあるが、テントやストーブ、鋸、そり等、多くの物の使用は共同的で、他人の物も気軽に借りて返却など気にしない。個人の専用は衣類と猟の道具、犬や犬ぞりの曳き網に限られている。
※母親の意見が尊重され、良い猟師であるかどうかが重視される、或いは、有能な猟師は複数の妻をもつ等、母系制・勇士婿入婚の慣習を残している。しかし、厳しい自然圧力の下にも拘わらず、食糧は女の手による小動物 の罠猟に負うところが大きいため、女の力が強く、かなりルーズな婿入短偶婚に移行している。
獲物の分布に合わせた流動的テント居住であり、加えて、婚姻関係は乱交に近いものであるため、私有意識は薄く、婚資もほとんど存在しない可能性が高い。

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