2022年01月07日
極限時代の人類は、どのように集団を存続させていったのか~多産化による生き残り戦略~
前回までの記事「一体充足に可能性収束した人類」シリーズでは、洞窟で生活するようになった始原人類が、圧倒的な外圧状況に対する不全解消期待に対してサル時代に獲得した共感機能(同一視回路)に全面収束し、より仲間・オスメス間の一体化充足を高めていったことについて扱ってきました。
さて、人類が直面した極限時代の外圧状況に加え、踊りによるトランス状態やチャネリング回路の開放により一体化充足を高めた結果、家族集団・子育て関係はどのように変わっていったのでしょうか。
まず想定されるのは、一体化回路を高めたとはいえ、まだまだ外圧は極限状態。洞窟の外に出れば大型肉食獣などに食べられる可能性もあり、食料も乏しい。
そうした環境下では、人類の子どもも生き残るのは僅かで、ほとんどは死んでいったのではないでしょうか。こうして、人類のメスはなんとか子孫を残すべく、多産化の方向へと舵を切ったと思われます。
ここで注目したいのが、人類の出産間隔です。
我々を見ても分かる通り、人類の授乳期間は2~3年。授乳期間が短いだけでなく、授乳期間中も排卵し、次の子を産むことが可能です。現代の人類の場合、一般には産後2か月以上経ってから、早い人は 45 日ほどで排卵が起こります。
そのため、年子の兄弟がいることも珍しくありません。日本でも少し前までは、兄弟姉妹が10人いるなんてことも多かったのではないでしょうか。
参考に、類人猿の出産間隔も見てみましょう。
・チンパンジー:授乳期間4~5年、出産間隔5~7年。寿命は50年程で、死ぬ間際まで子どもをつくることができる。生涯で6匹程出産が可能。
・ゴリラ:出産間隔約4年
・オランウータン:出産間隔7~9年
・ボノボ:出産間隔3~4年だが、発情だけは出産の約1年後に再開。※性交渉の目的が、子づくりのためだけではなくなっている。
これらを見ても分かる通り、類人猿の出産間隔は人類と違い数年間隔になっています。また、類人猿の場合、子育てするのは母親のみ。なので、子どもが乳離れするまで世話をするのは、一匹が限界となっているのです。
対して人類はどうか。洞窟内で隠れ棲んでいたため、近親の家族集団(オスメス複数)で暮らしていたと想定されます。かつ性闘争も弱め集団内の一体化を高めていったことから、祖父母やその他の親族も共同して子育てしたと考えられます。
ちなみにこの共同で子育てという点について、「おばあさん仮説」という興味深い説があります。
>多くの霊長類のメスは、死ぬまで閉経しないで子どもを産み続ける。しかしヒトだけは、閉経して子どもが産めなくなってからも、長く生き続ける。これは、ヒトが共同で子育てをしてきたために、進化した形質だというのである。母親だけでは子どもの世話ができないので、祖母が子育てを手伝うことにより、子どもの生存率が高くなった。その結果、女性が閉経後も長く生きること(おばあさんという時期が存在すること)が進化したというわけだ。(「絶滅の人類史」NHK出版)
このようにして、人類の集団形態は生き残り戦略をかけた多産化、それを可能にする共同での子育てへと変化していったと考えられます。
次回の記事では、始原人類の婚姻・子育て関係について、一体充足の高度化との関係性から、より掘り下げていきたいと思います。
- posted by matu-kei at : 2022年01月07日 | コメント (0件)| トラックバック (0)
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