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2022年02月25日

一体充足に全面収束した人類~生殖器も変化している~その②

前回は、哺乳類~原猿~類人猿の陰茎を概観しました。

生物界ではヒトの陰茎のように滑らかな形は少数派で、多くの種で陰茎にトゲがあるのは驚きでしたね。進化生物学の世界においては、むしろヒトの陰茎棘を失った方が謎とされているのです。

 

今回は、

ヒトになり陰茎はどのように変化したのか?

なぜその変化がおきたのか?

に迫ってみたいと思います。

 

以下の図は、類人猿の身体の大きさ(Body size)、睾丸の大きさ(Testical size)、胸の大きさ(Breast size)生殖器の大きさ(Male/Female genetalia)を比較したものです。

こちらからお借りしました

このように、類人猿でもかなりの差がみられます

 

ヒト(オス)の陰茎においては、以下が特徴的です。

・陰茎はなめらかで形状が単純化している

・陰茎サイズが類人猿最大になっている

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生物界ではヒトの陰茎のように滑らかな形は少数派です。多くの種では陰茎にトゲがあります。簡単に交尾を終わらせたいオスと、簡単に交尾をされたら困るメスとの生殖をめぐるせめぎ合いが、オスメスともに複雑な形状に進化していきました。形状の複雑さについては、前回のその①の図を確認ください。

 

■ではなぜヒトの陰茎はなめらかで単純な形状になったのか?

それは、1978年6月に発刊された医学書medicina15巻6号に、以下の記載があります。

相変わらず新聞紙上で過激派の内ゲバが伝えられている.このようなニュースを見聞するたびに私は動物園の檻の中でお互いに争っている原猿類のことが思い出される.原猿類,たとえばキツネザルなどは,ヒトと同じように霊長類に分類されているが,生活に好適な場所があり余るほどある環境でも,わざわざ集まって内ゲバを行い,オスとメスの間にさえ敵対関係がみられるということだ.それで種族維持が可能なのであろうか.これに関連して京都大学名誉教授の宮地伝三郎氏は大変興味ある意見を述べられている.同類の動物についてみると,愛情の発達が悪いほど,ペニスの構造が複雑になっており,これが種族維持のために重要な意味があるという説である.

 原猿類のペニスにはトゲが密生し,しかもその先端がペニスの基部に向かっており,膣への挿入は容易であるが,勃起している間はなかなか引き抜くのが不可能らしいということである原猿類では愛情も乏しく,メスの合意が不十分なままで性交が行われるため,性器にひっかかりが必要だというのである.それが,真猿類になるにつれてペニスの外形もだんだん単純になり,オランウータンではほとんど人類と同じようになっている.真猿類では愛情の表現も豊かになり,性交中親愛的でさえあるから性器にひっかかりを必要とせず,ペニスの表面からトゲが消えたのであろう.

 

このように、ヒトは陰茎の表面からトゲを無くし滑らかな形状に進化させ、より一体充足を高めたのです

 

文中にある「オランウータンはヒトとほとんど同じ」というのは、ヒト・オランウータンが際立って性収束が強い事実とも整合します。これもオランウータンが人類の祖先である根拠になりそうです。

 

■もう一つ、なぜ陰茎サイズが類人猿最大になったのか?

オスメスの生殖器は共進化しています。オスの陰茎サイズが大きくなったということは、それを受け入れるメス側も受け入れる柔軟性を獲得しています。

よりスキンシップによる一体充足(快の追求)を高めるために、お互いの皮膚の表面積を増やし密着度を上げる方向で陰茎サイズを太く長くしたのではないでしょうか

 

ほかにも、

・性淘汰のためにメスの生殖管を長くしたために、オスも長くした

・2足歩行になりメスを挑発するため、誇示するため

・体温調節のため

など諸説ありますが「一体充足を得るため」が根源的な理由ではないかと考えられます。

こちらからお借りしました

 

メスの合意が不十分なままで性交が行われるため,性器にひっかかりをつくったり、排卵させるためにトゲをつくったりと、様々に進化適応させてきた生殖器。オスメスでせめぎ合っているのが多くの生物で行われている生殖行為(交尾)なんですね。今回の追求で、

強い種を残すための進化適応させてきた生殖器を、ヒトは一体充足に全面収束する方向に変化(進化)させていることが分かりました。

 

人類にとって、この一体充足、性充足が進化の源泉であり不可欠なものだと改めて実感しました。なかなか性の追求は奥が深いですね。次回は、観念の発達から言語に至るまでを追求していきます。

お楽しみに!

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