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2015年02月17日

地域づくりの事例に学ぶ~全国に広がる「地域の茶の間」、その思い

前回紹介した「地域の茶の間」ですが、創設者の河田氏のインタビュー記事がありましたので、紹介します。
全国30,000のコミュニティカフェの先駆けで、お手本として注目されている「地域の茶の間~うちの実家」ですが、
一体どのような思いから始め、どのような志をお持ちなのでしょうか。

 

いくつかのポイントを挙げると、
・現在、地域で一番足りなくなっているのは、隣近所同士の絆
隣近所同士で何かあったときに「ちょっと助けに来て」って言えるような関係性を再構築していく時期

・人を放っておけないとか、これは見過ごせないってところに自分の生きがいや存在などを重ね合わせて動き始める

・肩肘張って組織を作って何かしようってことではなくて、誰かの何かしてほしいという呟きとかを形にしてきただけ。

・人が切望するもの、本当に必要なもので、いろんな人が共感するものであれば、皆が協力してくれる

・制度の枠外の部分で「市民だから」「家族だから」「友人だから」「知人だから」という関係性の中で助け合う

・一番大事にしているのは、参加される方が主役ってところ、、、

 

地域活動の原点なんでしょうね。
組織を作って、さあ始めるぞ~というような形ではなくて、
誰かが必要としていることに真摯に応えていくことで、自然と同じような思いを共有する人が集まってくる。
そして、みんなで力を合わせて、ひとつずつ形になり、大きな輪になっていく。
このようにして出来た地域の繋がりは、きっと代々と受け継がれていくんだろうなと感じます。

 

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「地域づくりの広場」より
今回は、新潟市の住民参加型の在宅介護の助け合い「まごころヘルプ」の創設者であり、空き家を活用した交流拠点「うちの実家」の運営に携わりながら、地域の福祉の質の向上のために人材育成や研修、講演活動を続けている河田珪子さん(新潟市在住)にお話を伺いました。

インタビュアー:
「うちの実家」代表、支え合いの仕組みづくりアドバイザー 河田 珪子さん「うちの実家」は前身の「地域の茶の間」の毎日型・常設型とのことですが、「地域の茶の間」を始めたきっかけなどを教えてください。
河田さん:
「まごころヘルプ」という有償の助け合い活動を行っていたとき、ひとり暮らしのお年寄りや、小さい子どもを抱えているお母さん、退院して間もない方など、とにかく誰かと話をしたい、話を聞いてもらいたいという想いがある人がたくさんいらしたので、歩いて行ける範囲に誰でも集まれる茶の間のようなところがあったらどんなに良いだろうって思っていました。
そして、近所の敬老会に呼んでもらってお話をさせてもらったときに、集まっていた人たちといつも自分が訪問していたお年寄たちが重なって見えて、思わず「第3日曜日に私の家を開放します」って言ってしまったんです。そうしたら自治会長さんが「こんなにたくさんの人では入りきれないでしょうから、自治会館を使ったら良いですよ」と言ってくださったのが始まりです。 


インタビュアー:
誰かの協力を得ながら始めていこうと考えたのでしょうか。
河田さん:
思い付きのように言い出したことがきっかけで、誰かの協力があるからやり始めたわけではありません。初回は誰も来てくれないかもしれないと思っていたところ、自治会長さんが回覧板で周知してくださったので50人も集まってくれました。主人がゴザを引いてくれていたら、それを見ていたお年寄りたちを送りに来ていたご家族が手伝い始めてくれましたね。
そして、「地域の茶の間」に来ていたお年寄りが、「このまま帰らないでここに泊まりたいね」って言い出したときに、「じゃあ泊まれるところを作ろうか」ってことですぐに空き家を借りてできたのが「うちの実家」なんです。
肩肘張って組織を作って何かしようってことではなくて、ニーズというか、誰かの何かしてほしいという呟きとかを形にしてきただけで、まず誰かに手伝ってくださいとか皆が手伝うから一緒にやりましょうとか言わなくても、自然に協力者ができていったんです。
 

インタビュアー:
協力者が増えていったのは河田さんの人柄もあると思います。
河田さん:
そう言ってくれる方もいますが、そうではないんです。

人が切望するもの、本当に必要なもので、いろんな人が共感するものであれば、皆が協力してくれると思うんです。協力というより、皆で一緒に楽しくやってるって感じですね。 

インタビュアー:
「うちの実家」の運営など、河田さんの活動は行政に頼らない姿勢が感じられます。
河田さん:
頑なに頼らないってことではないんですよ。
私は新潟に来る前は、大阪府立の特別養護老人ホームで仕事をしていました。(※河田さんは平成元年に親の介護のために仕事を辞め、大阪から新潟に帰ってきました。)その頃は、人の暮しの中には制度の枠からはみ出した部分がたくさんあるのに、その部分に対して何もできないつらさを強く感じていました。だから新潟に来てからは、制度の枠外の部分で「市民だから」「家族だから」「友人だから」「知人だから」という関係性の中で助け合うことに徹してみようと思っているんです。
新潟に来た頃は、スウェーデンのような先進的な福祉を行政がやるべきだと言われていた時代でしたが、それはちょっと違うんじゃないかっていうのが私の気持ちでした。行政サービスで必要なことはきっちりされるべきですが、全ては無理だと思うんですね。だから、行政がやれない隙間には、私たち自身が皆で優しい気持ちをちょっとづつ出し合えば解決できることがたくさんあるので、行政とともにひとつの幸せを作るという目的の下に歩いて行けば、必ずうまく行くものだと思っています。
 


インタビュアー:
活動において苦心されてきたことはどんなことでしょうか。
河田さん:
新潟で「まごころヘルプ」を作った平成2年頃は、現在のようなヘルパー養成等の研修体制がなかったので、大阪府が私を育ててくれたように、今度は自分と関わる人たちが勉強できる機会を私が作れたらいいなと思って、「まごころヘルプ」の活動をする会員向けの研修を行いました。
「まごころヘルプ」はボランティア活動ですが、現場の体験を理論付けしながら成長していくための研修を行いました。また、やっていることの意味を理解し、誇りを持って活動できるように、「人の家庭に入る」「人の生き方に係わる」ことの重要性等を認識するための研修を行いました。
 


インタビュアー:
「うちの実家」の運営で苦労していることはありますか。
河田さん:
ないんですよね。
お金の面も参加費と年会費でうまく回ってます。人が来て居心地の良い場所、また来たいと思う場所を作るっていう以上の目的はないから、贅沢もしませんし。
あと、一番大事にしているのは、参加される方が主役ってところですね。お客様扱いはしませんけど(笑)。
 


インタビュアー:
「うちの実家」は地域と支え合う良い関係ができてきて、少しづつ認知されてきているようですね。
河田さん:
「うちの実家」は最初に地域に回覧板を回すことから始めました。どういう目的で何をしたいところなのかってことを理解してもらって、自由に中を見てもらいました。地域の宝になろうっていう考えを大事にしてきて、ようやく地域の方から「うちの実家」があって良かったと言ってもらえるようになりつつあります。
現在、地域で一番足りなくなっているのは、隣近所同士の絆だと思うんです。ですから、たとえば地域内の道路なんかは複合施設の中の廊下だと思うようにしています。今、公的な制度や「まごころヘルプ」のようなインフォーマルな仕組みと組み合わせてもまだ足りなくて、隣近所同士で何かあったときに「ちょっと助けに来て」って言えるような関係性を再構築していく時期に入っているので、「うちの実家」もそれをやり始めているんです。昔のようにベタベタした関係、プライバシーを侵すような関係ではない隣近所との関係性を地域に作っていく、複合施設の廊下なんて考えが必要なかった人たちも含めて、この地域で生きて死にたいって思えるまちづくりをする時代に入ってきていると思います。
 


インタビュアー:
「うちの実家」がその起点になっていきますね。
河田さん:
起点というのは難しいですが、少し前に石山地区公民館と共同で行った研修で、支え合える地域ができそうな手応えを感じました。
「うちの実家」は、地域のどういう役に立っていけるか、また優しさとか方法論などを地域全体に広げていくにはどうするのかと考えるところに入ってきてるんですね。こうだったら良いなっていうものを具体的な形にしていくのは可能だと信じて、それを皆と楽しんでやっていこうと思っています。
 


インタビュアー:
ホームページを閲覧している地域づくりを志している人へのメッセージをお願いします。
河田さん:
何かを始めるときっていうのは、人を放っておけないとか、これは見過ごせないってところに自分の生きがいや存在などを重ね合わせて動き始めるはずですが、活動している間に「こんなにしてあげてるのに何で分かってくれないの」とか、「これはそもそも行政がやるべきだ」って気持ちになることがあると思うんですね。駄目になってしまう活動というのは、自分は一生懸命やってるつもりだけど、いつのまにか最初の原点を忘れてしまっているのではないかなって気がします。
活動が20年間継続しているのは、私自身が一番嬉しいと思うところにいつも軸足を置いてるからかもしれませんね。いろんな人たちと知り合えて仲間もできて、「良いことしたかな」なんて気分にさせてもらえることが一番嬉しいんです。そういうことを忘れないようにしていけば、活動は継続すると思います。
 


○「地域の茶の間」について
子どもからお年寄りまで、障害の有無を問わず、誰でも好きな時に立ち寄って好きなことをし、誰が来ても「あの人、だれ?」という目で見ない、エプロンは台所以外ではしない、といった決まりごとの下、「お世話する人・される人」という関係をなくし、誰もが生涯現役でいられることを理念に掲げている。同様なシステムは県内だけでなく、全国にも広がりつつある。
 

 

 

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