2008年10月05日
ネアンデルタール人も骨を食べていた!?
「初期人類は骨を食べていた!」、「洞窟に隠れ住んでいた初期人類たち」と、興味深い投稿が続いていますね。
洞窟といえばネアンデルタール人。
今回は、ネアンデルタール人にまつわる研究状況を紹介したいと思います。
ネアンデルタール人 その絶滅の謎 より
応援よろしくお願いします 🙄
人間の骨を二つ見つけた――1994年3月、スペイン北部ビスケー湾のすぐ南にある洞窟(どうくつ)を踏査していた探検家たちから、地元の警察にこんな連絡が舞い込んだ。エル・シドロンと呼ばれるその洞窟は、人里離れた森にあり、スペイン内戦のとき、人民戦線の兵士たちがフランコ軍の攻撃を逃れて隠れていた場所だ。当時の人骨ではないか。そう考えての通報だった。だが、駆けつけた警官が発見したのは、それよりもはるかに古い時代に起きた、悲劇の現場の跡だった。
警察は数日間でざっと140の骨を掘り出し、首都マドリードの科学捜査研究所に分析を依頼。6年近い歳月を費やして調べた結果、意外な事実が浮かび上がった。なんとその骨は、約4万3000年前にこの地域で暮らしていたネアンデルタール人の集団の化石骨だったのだ。
その後、エル・シドロン洞窟の古人骨の調査は、マドリードの国立自然科学博物館の学芸員アントニオ・ロサスに引き継がれた。2000年以降、彼のチームは、少なくとも9人のネアンデルタール人のものとみられる、1500の骨のかけらを発掘した。ロサスは、最近見つけた頭部や腕の骨の破片を見せてくれた。どちらも端がぎざぎざになっている。 「これは誰かにたたき割られた跡です。脳や骨髄が目当てだったのでしょう」。骨には石器で肉をそぎとった跡もあり、骨の持ち主が人肉食の犠牲になったことを物語っている。飢えを満たすためか、それとも儀式のためか – 誰が何の目的で食べたのかは定かでない。わかっているのは、死後まもなく(おそらく数日以内に)、骨の下の地面が突然崩れたことだ。骨は動物に荒らされることもなく、土砂もろとも地下20メートルの鍾乳洞に落下し、温度の安定した洞窟で砂と粘土にそっと包まれた。そのため、ネアンデルタール人の謎を秘めた貴重な遺伝子が、現代まで保たれてきたのだった。
ネアンデルタール人は、私たちに最も近かった人類の仲間で、ほぼ20万年間にわたって、ユーラシア大陸に散らばって暮らしていた。その分布域は今の欧州全域から中東やアジアにまで及び、南は地中海沿岸からジブラルタル海峡、ギリシャ、イラク、北はロシア、西は英国、東はモンゴルの近くまで達していた。西ヨーロッパで最も多かった時期でも、その数はせいぜい1万5000人程度だったと推定されている。
現生人類の進出以前に、欧州にほかの人類がいた痕跡が初めて注目されたのは、150年ほど前のこと。1856年8月、ドイツの都市デュッセルドルフからほど近いネアンデル渓谷( タール )で、石灰岩を切り出していた労働者が骨を発見した。まゆの部分が極端に張り出した頭骨(とう こつ)の一部と、数本の太い手足の骨だった。
洞窟に住む、知能の低い粗暴な原始人 – ネアンデルタール人については発見当初から、そんなイメージが広がり、長いこと信じられてきた。確かに、化石の大きさや形から、体型は筋肉質でずんぐりしていて(男の平均は身長約160センチ、体重約84キロ)、大きな肺をもっていたと推測される。ネアンデルタール人の男が寒い地域でその体を維持するには、1日5000キロカロリーのエネルギーが必要だったという試算もある。これは、3000キロ以上の道のりを走り抜く過酷な自転車レース、ツール・ド・フランスの出場選手並みの消費カロリーだ。
とはいえ、低いドーム状の頭骨に収まった彼らの脳は、私たちの脳の平均をわずかながら上回る大きさだ。道具や武器は、欧州に住みついた現生人類のものと比べると原始的だったが、その頃アフリカや中東にいた現生人類の技術レベルには決して劣らなかった。
エル・シドロン洞窟の悲劇が起きた4万3000年前には、気候が一段と寒くなり、ネアンデルタール人は欧州のイベリア半島と中欧、地中海沿岸の限られた地域に追い込まれていた。加えて、アフリカから中東、さらにその西へと向かう現生人類の進出も、分布域の縮小に追い打ちをかけた。それから1万5000年ほどで姿を消し、あとにはわずかな骨と多くの謎が残された。
ネアンデルタール人と現生人類の分布域が重なっていた約4万5000~3万年前に、いったい何が起きたのか。なぜ一方だけが生き残ったのか。エル・シドロン洞窟に眠っていた骨に、その手がかりが残されているのかもしれない。
ネアンデルタール人でさえ、最盛期の推定人口1万5千人にすぎないようですね。
彼らがおかれていた、過酷な状況が目に浮かんでくるようです。
「何故、ネアンデルタール人だけが滅亡したのか?」
このテーマについても、明らかにしていきたいですね!
- posted by naoto at : 2008年10月05日 | コメント (4件)| トラックバック (0)
trackbacks
trackbackURL:
comments
こんにちは。
最近は禁忌的領域もこうしてデータ化されるようになってきたんですね。
そのデータを見る限り、なんだか極東とそれ以外の地域で性に関する認識に相違があるみたいですね。
儒教・仏教文化が性交を抑制すべきものと捉えてきたことが影響しているのでしょうか。
他にはカトリック圏で活発ですね。
イスラム文化圏はデータに乏しいですね。
現代の日本に関して言えば、男権の弱体化や性コンテンツの多様化によって性交の代替が普及したことが影響しているのではないでしょうか。
でもそれは、新たな可能性とかではなくむしろ性を弱体化させているようにも思いますが。とくに男性は精子も減少してきてますし。
確かに、このデータは、判断基準が曖昧だと思います。
セックスの回数に対する判断基準は明確でしょうが、セックスの満足度は個人の判断に委ねられるものです。どの程度で満足したかは共通の見解として評価しづらい面が多分にあると思います。
とはいえ、日本のぶっちぎり(最下位)度合いは、無視できないですよね。
これには、仰るように、男権の弱体化は大きく影響しているでしょう。性交の代替手段が発達したというのもあると思います。
しかし、たとえば、性交の代替手段については、(かつて欧米を訪問した経験から)先進国においては、日本とほぼ同等に発達していると思われます。したがって、それがそのまま日本のぶっちぎり(最下位)度合いには直結しないでしょう。
あるとすれば、男権の弱体化あたりにあるのではないかと見ています。
世間では「草食男子と肉食女子」などといわれていますが、これは、男性が「女どころではない」と、女性関係以外の部分で可能性を模索しはじめた流れと解釈できないでしょうか。
一見すると性の弱体化と評価できるかもしれませんが、その奥に潜む構造を理解することが重要と思いこの記事を投稿した次第です。
なお、精子の減少自体は、セックスの回数および満足度には関係しないものと考えます
hermes kelly usa 共同体社会と人類婚姻史 | 日本の現代の「性」について~世界で抜きん出た傾向~
共同体社会と人類婚姻史 | 日本の現代の「性」について~世界で抜きん出た傾向~
comment form