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2010年02月16日

日本婚姻史1~その2:日本人の原型を形作った縄文人を取り巻く環境

 シリーズ『日本婚姻史1』では、縄文時代にまで遡って婚姻の歴史を探り、その構造を明らかにして、社会秩序の崩壊⇒新秩序形成にむけての足がかりにしたいと考えています。
第1回「日本婚姻史1~その1:縄文の婚姻性の根底部にあるもの~期待応合」 では、肢の指の先祖返りによって、樹の上に棲めるというサル時代の最大の武器を失い、想像を絶する逆境に陥った人類が、性闘争本能を完全に封印し、「なんとかして」という期待に応える「期待応合の共認圧力」を、男と女の紐帯として、婚姻関係や集団を形成してきたことを示しました。
joumon_hito.jpg
画像はこちらよりお借りしました。
これから数回に渡って、縄文時代の婚姻様式を探る予定ですが、「実現論 前史」には、採取時代の婚姻様式について次のように書かれています。
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観念機能(事実認識=洞窟・貯蔵・火・調理具・戦闘具・舟・栽培・飼育)の進化によって生存力を強化した人類は、約1万年前、弓矢によって外敵と互角以上に闘えるようになった頃から洞窟を出て地上に進出する。そして地上に進出した人類は、忽ち外敵を駆逐して、繁殖していった。その結果、繁殖による集団の拡大→分化を繰り返した人類に、ようやく同類闘争の潜在的な緊張圧力が働き始める。とは言え採集部族や狩猟部族は、互いに贈物etc.を通じて友好関係の構築に努め、闘争を回避していた。  
しかし、外圧が低下すると集団統合力が低下し、規範収束力も低下してゆく。同時に、外圧の低下につれて解脱収束(中心は性充足の欠乏)が強まってゆく。更に、集団規模が拡大したこともあいまって、原モグラ以来1億年に亙って踏襲してきた首雄集中婚を維持することが困難になっていった。こうして約1万年前、人類の雌雄(婚姻)関係は劇的に変化してゆくことになったが、豊かな山野や海辺に進出して木の実などの採集や漁労に転じた採集生産の部族と、従来通り獲物の豊かな森林で狩猟を続けた狩猟生産の部族では、全く異なる婚姻規範を形成する。  
東アジアの黄色人(モンゴロイド)をはじめとして、世界人口の過半を占めていた採集・漁労部族は、仲間の解脱収束→性欠乏の上昇に対して、皆が心を開いた期待・応望の充足を更に高める方向を目指し、部族内を血縁分割した単位集団(氏族)ごとの男(兄たち)と女(妹たち)が分け隔てなく交わり合う、総偶婚規範を形成した(但し、氏族を統合している部族レベルでは首雄集中婚が踏襲されている事例が多いので、正確には上部集中婚・下部総偶婚と呼ぶべきだろう)。なお、その後同類闘争の緊張圧力が高まると、再び集団統合力を強化する必要から、氏族ごとの閉鎖性を強め分散力を強める兄妹総偶婚は廃止され、部族内で定められた他の氏族の異性たちと交わり合う交叉総偶婚に移行してゆく。何れにしても、期待・応望充足を最大の活力源とする採集部族は、総偶婚によって期待・応望(=共認)充足を破壊する性闘争を完璧に解消して終うと共に、総偶婚によって一段と期待・応望充足を強めたことによって、その充足を妨げる自我回路もほぼ完全に封印していった。 「実現論 前史」より

 日本人も東アジアのモンゴロイドですが、その普遍的な特徴と縄文人の特殊性を踏まえて、婚姻様式を理解するために、まず縄文時代の日本を取り巻く環境を抑えておきたいと思います。
1)年代 
縄文時代は、年代でいうと今から約16,500年前(紀元前145世紀)から約3,000年前(紀元前10世紀)、地質年代では更新世末期から完新世にかけて日本列島で発展した時代
2)気候
最終氷期の約2万年前の最盛期が過ぎると地球規模で温暖化に向かった。しかし、最後の氷期である晩氷期と呼ばれる約1万3000から1万年前の気候は、数百年で寒冷期と温暖期が入れ替わるほどで、急激な厳しい環境変化が短期間のうちに起こった。
それまでは、針葉樹林が列島を覆っていたが、西南日本から太平洋沿岸伝いに落葉広葉樹林が増加し拡がっていき、北海道を除いて列島の多くが落葉広葉樹林と照葉樹林で覆われた。コナラ亜属やブナ属、クリ属など堅果類が繁茂するようになった。また、温暖化による植生の変化は、マンモスやトナカイ、あるいはナウマンゾウやオオツノジカなどの大型哺乳動物の生息環境を悪化させ、約1万年前までには、日本列島から、これらの大型哺乳動物がほぼ絶滅してしまった
ウィキペディア より
3)地理的状況
このころ(洪積世初期およそ1万年まえ)の日本の地にはすでに大陸とつながりはきれて四方を海にかこまれた列島になっていた。この海を渡って大陸と往来することは、当時の列島とその周辺の社会の生産力では、まったく不可能でないまでも、きわめて困難であった。
かくて日本列島の社会は、1万年ほども周辺の社会からほとんど孤立した形で独自の道を歩まねばならなかった。そして8千年ほど前に四国と九州からきれた形となり、その後も太平洋がわの海岸線が後退し、5千~6千年前から日本列島は地形も気候も動植物相も、現在と基本的には同じになっていた。(ブログ「縄文と古代文明を探求しよう!」 より)
joumon_mura.jpg
この一万年あまりの縄文時代に日本人の特質が形作られ、日本の歴史が始まったと考えられます。それは次の2つの理由によります。

第一に、この時代に日本人種の原型が成立したと考えられる。
縄文時代人は、日本列島が大陸からきりはなされてからは、日本列島の自然の諸条件に適応し、独自の人種的および文化的特徴をうみだした。
彼らの遠い祖先が、大陸方面か東南アジアか、そのいずれに住んでいたか断定はできないが、数千年から一万年も違った自然的および文化的条件のもとで生活しているうちに、縄文時代人はその遠い祖先のなかまとは違った人種になり、現代日本人の原型となった、と考えられる。
第二に、日本語の核心が縄文時代に成立していたと考えられる。
言語年代学によれば、いまの日本の本州等の言語と沖縄の言語とは、共通の祖語から、紀元前後に分かれて、それぞれ独自の発達をしたものと推定される。
そうだとすれば、両語に共通の核心部をもった日本祖語は縄文時代に存在していたとせねばならない。
日本周辺の諸民族語で、日本語と親族関係を見出す事のできる可能性が多いのは、朝鮮語のみである。そこで、もし日・朝両語が親族であると仮定して、両語がその共通の祖語から分かれた時期を、言語年代学で推定すれば、それはいまから少なくとも3千5百年ないし、5千年以上も前、すなわち縄文中期以前であるという。
こうして縄文時代には、現在の日本人の固有の生活領域である日本列島が形成されており、そこにまわりの諸種族とは違った独自の一人種とその言語、すなわち日本人と日本語の原型が成長し、その人々が未開を突き抜け、文明への道をきりひらいていった。まさに日本人の歴史がはじまったのである。(以上が井上清氏からの引用です。) ブログ「縄文と古代文明を探求しよう!」より

 およそ1万年の歳月を掛けて、日本人の原型を形作った縄文時代を探求することで、現代の日本人の意識の底流にある構造が理解できるようになり、これからの新秩序形成に必要な条件を明らかに出来るのではと考えています。
第3回は、縄文人の集団の有り様(規模や住居など)を明らかにして行く予定です。

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「通い婚」が新しい婚姻形態となっていくと言うのは面白いですねー。実は私の家でも、妻の子育てを手伝いに週に4日ぐらい女の子の友人が通ってくれており、泊まっていくのでほとんど女集団化してます(笑)
やっぱり女性は女集団があると、凄く安心・安定するみたいです。
そういう意味で、子育て不安→子育て課題を通して女集団が作られていくと言う可能性は非常に高いだろうと思います。

  • KAZUMA
  • 2010年6月12日 19:32

>①自我、私権の衰弱(男女共に草食化)=一夫一婦制絶対という意識の衰弱
若者が草食化傾向にある中、巷では草食をマイナス視し可能性がまったく無いかのような風潮ですが、むしろ草食化が今後の可能性に繋がると言うのは面白い視点ですね。

  • mrran
  • 2010年6月12日 19:34

確かに、子育てを自分ひとりの課題ではなくてみんなの共通の課題として捉えようとしている傾向は強まっているように思います。
例えば、mama’s cafe(http://www.geocities.jp/mamascafe2005/)の事例なんかもそのひとつだと思います。
みんなで助けあいながら子育てをするような場はもっと増えていきそうだし、その方がうまくいくだろうという感じもします。今後も注目して見ていきたいですね。

  • doUob
  • 2010年6月12日 19:36

つまり、子育て課題を上手くクリアできれば、仲間婚=集団婚の可能性があるということでしょうか?確かに村落共同体で培われてきた日本婚姻史を振り返ると、成立する可能性は高そうです。また制度含め、最初は難しい課題もあると思いますが、1世代、2世代と進むにつれ、浸透していく可能性はありそうです。引き続きの追求、楽しみにしています。

  • tani
  • 2010年6月12日 19:39

最近は結婚しない人が激増しており、出生率も低下しており、明治以降本格的に日本に導入された一夫一婦制が限界にきていると感じています。
このような状況下においては新しい婚姻形態の可能性の探索はきわめて重要な社会課題だと思います。このブログで提案された「通い婚」など、男と女が1対1の関係にとらわれない婚姻が今後必要になると思います。

  • daisuke
  • 2010年6月12日 19:40

シングルマザーを支援する男の通い婚、面白いですね。
現代の40~50代の女性でも若い頃に離婚し、結局母親一人で子供を育ててきた人は多い。実質、一対婚関係は崩れています。
母親一人で無理をして子供を育てる中で、血縁関係が無くても安心できる女集団があったり、父親的な役割を持った男達が支えてくれたりすれば、本人も精神的にも安定するのだと思います。
この通い婚が発展し、生産も一体となった集団へと発展すると、男女の役割も子育てから生産活動を含めた役割となり、男女関係も更に深まっていくと思います。

  • yooten
  • 2010年6月12日 19:41

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