RANKING
にほんブログ村 歴史ブログへ
NEW ENTRIES
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK

2007年05月04日

日本婚姻史3 族外婚

日本婚姻史2 族内婚 に続いて、もう一つの群婚である族外婚です。(高群逸枝著『日本婚姻史』より)
群の定着と族外婚
縄文前期ごろから群は定着し、生産力の増大、人口の増大から、かつては別れ去った分枝群もいまは隣り合って集落を作るようになる。この段階で群は族内婚から、隣群との族外婚に進む。(筆者注:氏族単位で集団分割した上で集団統合力強化のため、氏族間で交じり合う婚姻制に転換する。交叉婚ともいう。)
族外婚の典型はオーストラリアに見られ、A群の全男子はB群の全女子と夫婦、B群の全男子はA群の全女子と夫婦というもの。有名なカミラロイのように四群からなるもの、八群からなるものなどいろいろあるが、基本的には二群式が原則。
ところが日本では、二群単位とは限らず、二群でも三群でもが集落をなし、その中央に祭祀施設のあるヒロバをもち、そこをクナド(神前の公開婚所)とし、集落の全男女が相あつまって共婚行事をもつことによって、族外婚段階を経過したと考えられる。(筆者注:拡大族内婚とでもいうべき世界史的にも非常に希な形態です。「日本の交叉婚の特殊性」参照。)

にほんブログ村 歴史ブログへ


通婚関係にある男女は、各自別群に所属している。だから子は当然母の群に生まれ育ち母の族員になることにより、母系氏族制がはじまる。群は氏族になり、氏族は母系によって継承されることになる。そして族員たちは互いにハラカラ(同母族)と呼び合うようになった。
クナド方式
クナグという古語は性交を意味する。(『トツグ、マク、クナグ』参照)
「允恭紀」にマクナギ、「霊異記」に婚合をクナガヒ、「今昔」にクナグ、「続古事談」に「妻をば人にクナガレて」などとみえる。だからクナドとはクナギドコロ、すなわち婚所の意味。
クナドの神なるものは、数ヵ村共有のヒロバや入会山や交通の要路(いわゆるヤチマタや物々交換の市場)や村の入口に祭ってある石神であるが、その性格は一面が交通の神、他面が性の神という複雑さをもっている。
クナドは文字通り神前共婚の場所であるが、そのことによって他群と交通し結びつくことになる場所でもある。原始段階では性交は同族化を意味する。排他的な異族の間では性の交歓だけが(ときには性器の見せ合いだけでも)和平への道であり、理解への道であり、村つくり、国つくりの道でもあった。大国主神の国つくり神話が、同時に妻問い神話になっているのもこの理由に他ならない(後日詳解の予定)。
・猿田彦神話では、国堺のヤチマタに異国人の猿田彦が立ちはだかっていると、ウズメという女神が乳房と陰部を露出してこれに立ち向かい、両者唱和して交通がひらけたとある。だから猿田彦は交通の神でもあり性の神でもあり、ウズメは雄取式舞踏(カグラ踊り)の祖神となった。
・女が性器を出して先駆すれば必ず敵軍を軟化させ得るという俗言から、沖縄の軍陣ではサキパリ(先張り?)というウズメ式巫女が用いられたという。

交通の要所に立つチマタの神や、道祖神や、村境にあって外からの害悪を防ぐサヘの神、これらが複合して同時にクナドの神とされ、いまも性の神とされているのは、その場所で神前集団婚が行われたからで、市場における定期的な集団婚カガヒ(歌垣)のことは、「万葉」にも謡われている。
CAO4KP4V.jpgカガヒは掛け合いの義。歌を掛け合うという意味で歌垣ともよばれる。カガヒは筑波(右の写真)や杵島などの入会山でも行われた。歌垣山という名の山も各地にみられる。歌を掛け合い踊りを踊ってそれを婚交の前奏曲としたことは、つぎの招婿婚(婿入婚)段階にもひきつがれて、ヨバヒの場合の唱和や相聞歌となり、平安期には文使いの儀式となったりした(文の方式は、村には明治ごろまで遺存して、若者たちの通い婚の序曲となっていた)。和歌など文学の起源はここにある。(筆者注:歌垣は、東南アジアや中国南部の雲南地方など、照葉樹林文化圏に広くみられる。)
クナドでの族外婚では、それが集落婚姻圏を超えて広域的なものとなればなるほど、男性略奪(雄取り)と同じ観念、つまり子ダネをとるという観念が第一義となったろうが、それだけでなく外族との和平や政治的、経済的ブロックの拡大への動機がからんでいた。原始部落の女性たちは、胸乳をあらわしホトを露出したウズメ式の身振りの尻振り踊りによって他部族の男性を誘惑した。
・この段階が過ぎて個別婚の時代になると、この雄取式形態は、神社の巫女によって相続者をうる手段とされ、または娼婦によって歪曲化されて受け継がれた。
・平安時代には遊女(アソビメ)という娼婦がいたが、外来者とみれば取り囲んで歌舞し男客を誘惑した。
・沖縄の娼婦ズリの起源も外来者との婚交にあり、まれ人(客人)に仕える神の妻(め)にあるようだ。
・人妻と処女の別なく、外客を迎えて枕席にはべった鎌倉期の俗、とくに長者制の俗(長者の家での外客への饗応にはじまった娼婦制)も同じ原始の雄取婚からの遺制にちがいない。

読んでもらってありがとう(^_^) by岡 
次回、群婚の崩壊をお楽しみに

> List 

trackbacks

trackbackURL:

comments

誰が真実を語っているのか?

資本主義という経済メカニズムは、
ロックフェラーやロスチャイルドといった
ユダヤ系の国際金融財閥が普及させたマネーゲームです。
それは、

未開部族の性を調べてみると、「規制」と捉えられるものが多いですよね。
以前の記事にあったアボリジニの交叉婚も、我々から見るとえらく「規制」されていると見えます。
でも、それはあくまで“個人”を中心に婚姻様式を捉えているから。見方を変えて、“皆”とか“集団”を中心に捉えなおしてみると、それは「規範」ということになるでしょうね。
全く交流のない他民族を知るとき、私たちは、自分たちの立ち位置を不動のものとしていては何も見えないと思います。

  • 2007年6月5日 21:04

集団存続(外圧適応)が集団の第一課題であることは言うまでもありませんね。
性肯定も性否定(性規制)も、いずれも(各部族がおかれた外圧条件に対して)、部族(集団)が存続(適応)するために作り出した性・婚姻規範なのだと思います。
性・婚姻はまさに集団にとって存続に係わる最重要課題であることが伺えます。

  • echo
  • 2007年6月6日 01:27

国民を不幸にする消費税!

またまた税の仕組みにおける矛盾を
解き明かしてみたいと思います。
今回はいつも以上に長くなっていますが、
我々国民生活に直結する大事な話なの…

人権抑圧大統領ジョージ!

アメリカが、
世界有数の人権抑圧国家であることは
ご案内の通りです。
例えば、
キューバに不法占拠状態で設営されている
グアンタナモ強制…

何故日本人は怒らないのか?

皆さん御案内の通り、
日本人は国際的に稀に見るお人好しです。
国際法に違反して
日本の占領政策を押し進めたアメリカですら、
日本人がここま…

女性は何故宝石を欲しがるのか?

ブラッド・ダイヤモンド、
或いは、
「紛争ダイヤモンド」
という言葉をご存知でしょうか?
このダイヤモンドは普通の宝石とは違って、
シエ…

moncler outlet sale 共同体社会と人類婚姻史 | 性を集団で規制する社会

共同体社会と人類婚姻史 | 性を集団で規制する社会

comment form
comment form