2007年05月05日
無文字社会の思春期(1)
現存する伝統的な採集生産、狩猟生産、農耕や牧畜を生業とする先住民の社会には通過儀礼とりわけ「成人式」がきわめて厳しく実行される社会と、それとは反対に、成人式があっても非常にしまりのない儀礼にとどまるか、あるいはほとんど存在しないような社会もあります。
「成人式」がきわめて厳しく実行される社会は、狩猟生産・農耕・牧畜などを生業とする父系社会に多く見られ、一方、ゆるやかな形の方では、概して性にたいする態度がおおらかな、採集生産を生業とする母系社会に多く見られるようです。
無文字社会の思春期はなぜこれほど多様なのでしょうか?それは、集団の統合様式(母系、父系)、婚姻規範(総遇婚、勇士婚など)と密接に関係していると思われます。
●「社会化」過程としての思春期
無文字社会では、子供は早くから小さな大人としての生活を送りますが、真の大人となるには、肉体的成長や生産技術習得などの他、共同体全体に関わる課題・役割・規範を共認することが何より必要です。
その節目が「思春期」であり「成人式」などの通過儀礼です。現代社会では、「成人式」というと個々人の成長の節目、個人的な課題と考えられていますが、無文字社会では重要な集団課題として位置づけられています。
また、どんな無文字社会でも、『性』は集団での生活におけるもっとも基底的なものとして位置づけれています。少年少女が思春期に入ると、さまざまの成熟儀礼が親族や共同体によって念入りに実行されますが、それらの儀礼は『性』を象徴するもの(割礼など)が多く見られます。
この『性』に関わる規範は、男女間の婚姻規範の他、男同士の規範・女同士の規範などさまざまで、その内容は母系社会と父系社会では大きく異なるようです。
このような無文字社会の「社会化」過程としての思春期には、その集団の集団統合様式や婚姻規範が色濃く現れるのではないかと思います。そこで、さまざまな無文字社会の思春期の様相から、その集団統合のありようや婚姻規範を見てみたいと思います。
(次回に続く・・・)@さいこう
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- posted by sachiare at : 2007年05月05日 | コメント (5件)| トラックバック (0)
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comments
女人禁制というと何となく女性を差別しているようで、強くなる一方の解禁圧力に対して、よく頑張って伝統を守っておられるなと感心していました。
この解禁圧力って、男女同権思想から来ているんですね。
一方、男子禁制はあまり槍玉に挙げられることがないですね。これも男女同権思想の都合のよさを感じます。逆に男子禁制文化さえ、何で女性だけが、と女性の反発が予想されるところに、伝統文化の解体過程を感じます。
男女の役割分担を基にした伝統は解体され、今や“何にもない”状態のように思います。これでは貧しくなる一方ですね。
かつての共同体は、よく男女の役割を考えていたんだなと、改めて思い知りました。
>「穢れ」として女を隔離するのも、出産や月経で体力的に弱っている女を、過酷な労働から守るという意味合いの方が大きいように思います。
なるほど。すごく納得です。
昔は、「穢れ」といっても、女性を低く見たり、女性自身の自己否定に結びつくことはなかったようです。
「穢れ」や「不浄」という言葉には、男と女の役割を明確にし、同時に世界は男と女が対になって成立していることを誰もが意識するような働きがあったのかもしれません。
出産や月経が個人の課題となり、社会から隠蔽されてしまっている現在とは大きな違いですね。
岡さん、さいこうさん、コメントありがとうございます♪
男と女それぞれの役割がみんなに認められていたからこそ、昔の人々は性を肯定的にとらえられたんだと思います。精神的にも肉体的にも理にかなった本来の男女の役割分担を、もっともっと知りたいですね。他にも色々知っている方、投稿よろしくお願いします~☆
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