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2007年12月08日

ボルネオ:プナン族の「夜這い」~ポーカカップ

『「>『ボルネオ:プナン族~熱帯雨林の採集・狩猟民族』に続いて、今回はプナン族の「ポーカカップ」を紹介します。
「ポーカカップ」って何??? ですよね。実は「ポーカカップ」とはプナン族の「夜這い」です。
このブログでは、たびたび「夜這い」が取上げられますが、日本では昭和30年代頃まで、残っていた村もあったといわれ、かつての共同体の若者たちにとっての婚姻規範(性規範)でした。「夜這い」は、日本だけでのもでなく『「摩梭人走婚」(モソ人の妻問い婚)2』『チベットでは夜這いも・・・』などもこれまで紹介されています。
プナン族の夜這い「ポーカカップ」について、ブログ【たんなるエスノグラファーの日記】さんの記事を紹介します。(文化人類学の奥野克巳氏のブログです。フィールドワークの話題たくさん。カテゴリー「性の人類学」もあり!)
このブログで紹介されているプナン族(西プナン)は、いまから40年ほど前に、ジャングルのなかで移動しながら、動物を狩り、植物を採集して生きるという暮らしから、部分的に、川沿いの村に住所をもち、稲作によって、米を生産するという生業を取り入れるようになった人々です。

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●ポーカカップとは?

プナン人の家々では、夜になると、部屋のなかに、いくつかの蚊帳(kulabu)が吊り下げられる。夫婦と小さな子どもたちは、ひとつの蚊帳のなかに眠る。10歳を越える年ごろになると、少年たちは、父母の蚊帳から出て、新しい蚊帳を吊って、少年たちだけで寝るようになる。娘たちも、またしかりである。
プナン人たちは、マラリア対策用に、衛生局によって蚊帳が配布される以前から、布を縫い合わせて、蚊帳をつくって、寒さ対策に用いていたという。ジャングルの夜は、思いのほか冷え込む。
ポーカカップ(pekakap)とは、男が、あらかじめ約束しておいた女の蚊帳のなかに忍び込むことを含む、「通い婚」のことである。蚊帳に入るさいに、中腰から這う格好になるという意味で、日本語の「夜這い」と、イメージ的には似ているのかもしれない。
ポーカカップは、プナン社会で、あらゆることが、ほぼそうであるように、とりわけ、初回から、女の家族たちは、その「事実」を知っている。なぜならば、男が、その日の昼間に、その家にやって来て、女を含む人たちと談笑した後に、女は、その夜、その男がポーカカップにやって来ることを、なかば公然と承諾するからである。
日ごろ、その女と蚊帳を共にしている姉妹たちは、その夜は、父母やすでに結婚している兄弟姉妹たちの蚊帳のなかに入って、眠ることになる。 ポーカカップは、それがおこなわれる時点において、女の家族たちが、その一組の男女の性愛関係のなりゆきを、見守ることを含んでいるということができるのかもしれない。ポーカカップを繰り返すうちに、やがて、その男女の間柄は、周辺に広く知られるものとなる。

確かに、ブナン族の「ポーカカップ」は「夜這い」ですね。家族だけでなく、集団全体が認める性規範といえそうです。
●ブナン族の婚姻

プナン語に、<彼女>(あるいはガールフレンド)と<妻>の間の線引きはない。「結婚(peteu)」しているか、していないかにかかわらず、性的な関係にある相手は、男にとっては、ロゥドゥ(redu)であり、女にとっては、ラケ(lake)と呼ばれる。<わたしのロゥドゥ(redu kie>>、<わたしのラケ(lake kie)>は、その関係が公然化するにつれて、<彼のロゥドゥ(redu na)><彼女のラケ(lake na)>として知られるようになる。くりかえしになるが、そのような呼称は、「結婚」しているか、していないのかにかかわらず用いられるのである。
プナンの「結婚」は、必ずしも、(結婚式や役所への届出などのような)儀礼によって、印づけられているわけではない。男から女へ、贈り物(指輪など)が送られることが(場合によっては、お披露目の会が)、どうやらあるようだが。
子どもができることは、「結婚」を印づけることになる。プナンの男女は、子どもが生まれると、お互いを、子どもの性別によって、「女の子のお父さん(tamen itung)」「女の子のお母さん(tinen itung)」(あるいは、「男の子のお父さん(teman uket)」「男の子のお母さん(tinen uket))と呼ぶ)。そのことは、とりわけ、ポーカカップの結果、子どもができたときに、夫婦が結婚状態にあり、家族を持っていることを、自らに確認し、公に示すことになるのではないだろうか。
ところで、ふたたび、ポーカカップについて。いわゆる「結婚」する前の女は、<彼女のラケ>以外の男に、ポーカカップされてもよいとされる。いいかえれば、「結婚」前の女は、複数の男と性愛関係を持つことも可能である。ポーカカップする場合、男は、女が誰の<彼のロゥドゥ>であるのかを、たいていの場合知っているのであるが。しかし、子どもができた場合、どうするのか?誰がいったい子どもの父親なのか?プナン社会では、<彼女のラケ>が、父親であるとされるようである。

プナン社会が、大人になるための制度や儀礼といったものを用意していないということであった。ボルネオの他の民族のように、首狩りに出かけて首を手に入れたり、なんらかの成果をもちかえってはじめて、求愛・求婚が許されるということにはなっていない。プナン社会は、性に自由な社会であり、少年少女は、10代から、まずはおおらかなかたちで、性交をつうじて、子どもを設け、その後に、家族のかたちを整えてゆく。それがために、ある個人には、たくさんの異父母兄弟姉妹がいることになる。家族のありかたは、彼らの性行動の結果

プナン族(西プナン)は、かつてのキャンプしながら移動するバンド社会ではありませんが、その当時の婚姻制度が色く残っているようです。そのような社会では、“結婚”といっても現代の「一夫一婦制(一対婚)」とは違ったものであり、“家族”もまた現代の「核家族」とは違ったあり様なのだと思います。
伝統的社会のブナン族は「ポーカカップ(夜這い)」が継続し、一方の日本の「夜這い」は衰退しました。こうしてみると、日本での「夜這い婚」は衰退過程とは、『近代国家=都市の市場社会が、農村共同体を解体・組み込んでいく過程』(【何で「夜這い婚」は衰退したの?①~③】)であることが、改めて浮かび上がってきます。
マレーシア・サラワク州に住む7,000人ほどのプナンのうち、400人ほどのプナン族(東プナン)が、ジャングルのなかを遊動して暮らしているそうです。その人々の社会はどんな社会なのでしょうか?ますますプナンの人々に興味が湧いてきたところです。(@さいこう)
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人々を最も効率よく支配する方法は人々に「生へ感謝の気持ちを持たせる」ことではないでしょうか。生かしておくだけで良いのですから。

  • kodaimoso_hahe
  • 2010年3月14日 04:40

hermes heiligenhaus 共同体社会と人類婚姻史 | 鏡餅は神と人々を繋ぐものだった。

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