2014年12月01日
高齢者が先導する新たな共同体! ~シリーズ5:地域共同体構想の実現基盤と実現手法 その1~
これまで私たちは、将来のミニ共同体のイメージ作りからはじめ(プロローグ)、動き始めた高齢者たちの事例やデータ収集、高齢者の可能性などを探索してきましたが、本日から5回にわたって、新しい地域共同体構想の実現基盤を、歴史構造や意識潮流からひも解き、その実現手法を検討してゆきます。
「その1」の今回はまず、『新しい地域共同体とはどのようなものか?』を固定し、『新しい地域共同体構築の機運と実現基盤』を記します。
「その2」では、地域共同体構想の起点となる「未知収束」の構造を押さえます。
「その3」では、現代の先端にある意識潮流と「地域の現状」を分析します。
「その4」では、企業と地域と社会の関係性を捉え「同時一体的な共同体の実現」の可能性を探ります。
「その5」では、具体的な「運動論」について検討し、現時点での全体構想をまとめさせていただく予定です。
※これまでの記事はこちら↓
~シリーズ1:プロローグ~
~シリーズ2:事例編:社会問題に高齢者が動き始めている~
~シリーズ3:背景の意識潮流「不整合な現実社会から、新たな地域共同体の構築に向けて」~
~シリーズ4:高齢者の意識潮流を探る~
まず最初にお伝えしますが、私たちは、かつての村落共同体のような、過去の集団のあり様に、そのまま回帰しようとしているわけではありません。
私たちは、歴史をとことん遡り、社会を構造的に把握し、人々の意識がどこに向かうのか?を分析、追及するなかで、可能性はどこにあるのか?を探り続けてきました。そして何より、自分たちで共同体企業を設立~運営してきました(設立42年の「類グループ」)。この共同体経営の実践を基礎にして、次代の新しい地域共同体の構想を練ってきたわけです。
新しい地域共同体は、これまでの歴史構造に塗り重なる形で、現在芽生えている次代の「可能性」を実現基盤として形成されてゆくでしょう。
例えば、江戸の村落共同体は、古来の原始共同体の延長線上に形成されました。
一定秩序立った封建社会の中で、日本人特有の共同性を軸に、生産をはじめとした生活のほとんどを自給し支えあうという「相互扶助」を最大の特徴として、自立性が高く、充足性豊かな集団を形成しました。(※共同性・自給・充足性などは、新しい地域共同体でも継承されるべき内容)
しかし一方で、ムラは自閉的な性格を色濃く漂わせており(※明治以降の「封建時代は閉鎖的」という洗脳の影響もあり)、ムラを超えた社会全体の事は、お上任せで捨象される傾向が強かったといえます。
翻って現在は、かつての秩序立った社会とは異なり、国を動かしている連中(官僚、学者、マスコミ、政治家等(昔なら「お上」)が暴走し、今やまったく頼りにならない、信用できない時代。→私たちは、安穏と目先的な身の回りのことを考えているだけでは、生きてゆけない時代に突入しているのです。(詳細は後述) この様な状況で生まれる新しい地域共同体は、地域独自の課題に加えて「新しい社会形成」といった広い視座を持つ集団であることが不可欠になります。
・・・『自立的でありながら、他地域とも連携し、社会収束している集団』 このような姿が、新しい地域共同体に望まれる姿として、まず固定しておきたいと思います。
それでは、近年の動きを押さえたうえで、新しい地域共同体の実現基盤を探っていきましょう。
現在は、これまで封印されてきた人類本来の『本源回帰』の大潮流のただ中にあります。私たちは、この大潮流こそが、地域共同体を構築する基盤だと考えていますが、まず、ここに至った背景を、近40~50年の社会構造の変化を中心に押さえておきましょう。
‘70年「豊かさの実現」により、市場は実質的に拡大停止し、私権の強制圧力に基づく家父長権や序列体制(肩書きや指揮系統)も機能不全に陥り、至る所でミスが多発する等、従来の私権体制はガタガタ→ついに社会のいたるところで不全が噴出する時代に突入しました。そして「お上」は、この不全状況を立て直すどころか、逆に自らの私権確保に邁進し暴走をはじめます。この様な状況から、これまで大衆を駆り立ててきた私権追求の活力は衰弱の一途をたどり(私権の終焉)、活力源を見失い、一旦は「収束不全」に陥ります。
しかし、この‘70年「豊かさの実現」は、人類史(生物史)を貫く生存圧力から脱したというパラダイムの「大転換」でもあったのです。ついに貧困から脱し、序列圧力が無効化したことを転機として、人々は原始共同体で培われた本源性を発揮し、自然回帰や健康志向、節約志向に加え、仲間との充足や人に役立つことが、お金や地位や名誉などの私的欲求よりも最大の活力源となる「共認充足」に収束してゆきます。
これら「お上の暴走」→秩序崩壊を感取した人々の本源回帰の潮流は、この3.11原発事故を契機として一段と勢いを増し、遂に「何かやりたい」という実現期待が、学生・主婦・老人の間から広範に生起してきました。震災復興における地域、仲間との絆の再生を目指す動きを筆頭にして、被災地に限らず集団再生や自らが担える役割を探し、課題を発掘しようとする姿が見られるようになりました。
人々の意識の深層には、自給自足のイメージに近い自給志向(自分で賄う)や自考志向(自分で答えを出す)が間違いなく生起してきているのです。
そして今、彼らは具体的な行動としてまず、それぞれに保育や介護や環境など様々な事業に取り組んでいます。これらは草の根からの地域作りであり、またミニ共同体作りそのものと言えるでしょう。
この彼らの意識には、「命を守る」「地域を守る」という志が結実しています。さらに「社会を守る」必要性を感取した意識の高い層から、お上に都合の良い教科書やマスコミが伝える常識を超える「事実構造の追求」が加速しています。現在はまだバラバラに見える身近な活動(事業)もミニ共同体作りも、この誰もが認める事ができる事実認識を軸に統合され、同時に、次代の新しい社会統合のあり方も追求されてゆくはずです。
そしてその大きな推進力として、「何とかしなければ」→「何か世の中の役に立つ、別の仕事はないか?」と探索している高齢者に期待しているのです。
最後に、ここまでの内容を図解で整理しておきましょう。
次回は、地域共同体構想の起点となる「未知収束」の構造を押さえます。
・・・どうぞ、お楽しみに。
※記事中に使用した画像は、以下のサイトからお借りしました。ありがとうございました。
http://shirakawa-go.org/kankou/siru/yomu/142/
http://www.chiba-muse.or.jp/OTONE/genhukei/ine-05.html
- posted by TOKIO at : 2014年12月01日 | コメント (0件)| トラックバック (0)
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