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2015年01月09日

【女主導の原理と現代への適応】女性原理こそが21世紀の文明を作る

市場経済が行き詰まり、社会の至るところで閉塞感が漂う中、これまでの価値観を捨て、新たな価値軸へと転換した層の中に女性が多いという現象をみてきました。そして、新たな価値軸とは、より根源的な何かを探索しているようにも見受けられます。

今回は、「女性原理こそが21世紀の文明を作る」という視点で、有史以来の文明史を問い直している水上洋子さんの著書『女神の時代』を紹介します。
女神の時代
※水上洋子さんプロフィール
1955年生まれ。同志社大学卒。1980年代、作家として「女性の自立と仕事、恋愛」をテーマに「恋愛以上」「ユニコーン」などの著作50冊以上を執筆。「すべての女は女神である」とし、エジプトの多神教・母系世界を理想視しており、女神文明研究会主宰。ライフワークとして女性文明を訪ねる旅を続けている。環境と女性をテーマにした雑誌「アイシスラテール」を発行。現在、(株)アイシス取締役。

るいネット『なぜ今、女神なのか』より

ほんの数十年前まで、私たちは、きわめて楽観的な世界を信じてきた。それは人類は常に進歩してきたし、これからも進歩し続けるであろうという楽観論である。だが今、私たちは、そうした楽観的な進歩とはほど遠く、不安につきまとわれ始めている。さらなる進歩を信じたくても、未来は不安な霧に隠れて見えない。

汚染されてゆく世界中の水と食物、オゾン層の破壊、絶え間ない戦争、経済利益に奉仕する道具に成り下がってしまった科学、経済闘争に命を擦り減らす都会の生活、原子力発電所の事故、夥しい生物の種の消滅、さらに最近、人口問題や迫りつつある食料危機が不安な現実に加わった。こうした状況がいよいよ深刻さを増してくるにつれて、誰もがある疑問を抱いている。人類は、進歩に向かっているというより退化に向かっているのではないか。

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それにしても、
★なぜ知恵あるはずの人類が、武器を手にして、自らの同胞を殺戮するようになったのか?
★そしてなぜ男女の不平等な立場がここまで進んでしまったのか?
★なぜ科学は戦争の道具になってしまったのか?
★そして今、なぜ私たちは、恐ろしいまでの環境破壊という問題に直面しているのか?

あらゆる生物の進化の先頭に立ち、最も理性的であり、未来を読み取る能力に長けているはずのホモ・サピエンスが、なぜこのような事態に手を打つこともできずにいるのだろう。ばかりか、なぜ核をはじめとする深刻な汚染によって、地球上のほかの生物を死に追いやっているのか。なぜ人類は方向転換をすることもできずに、ずるずると破滅の淵に呑み込まれていっているのか。

◎それらの「なぜ」に答えるには、ある重大な失敗を認めるほかないようだ。
すなわちホモ・サピエンスは、ある地点で誤った方向へと進んでしまい、以来、文明は知らぬ間に退行へと向かっているのだ、と。だとすれば、現代の文明の土台となっている世界観には、何かがすっぽりと忘れ去られてしまっているのに違いない。それは、文明や国家という言葉を使うとき、私たちの脳裏に、指導者としての男性の姿ばかりが浮かぶことに暗示されている。文明や国家という言葉には、実は常に女性的視点が欠落してきたのである。

現在の私たちは、たかだかここ2000年の歴史しか明確に語ることができない。つまり紀元後を今からおよそ2000年と定めることで、私たちはある一つの価値観だけで世界史を作ってきたのではなかったか。

有史以来の世界史は、国家や民族の興亡と戦争によって語られてきた。それはそれぞれの時代の支配者の権力闘争と、そして自然を征服する物語である。しかし今や、この闘争的な歴史観は、大きな幻滅とニヒリズムを生み出し、現代社会の様々な問題を解決しようとする人々の気力を奪い取っているかに見える。

★果たして人類は、この地上に現れたときから、絶え間ない闘いに明け暮れてきたのだろうか。
最近の考古学の発展は、それが真実ではないことを伝えている。考古学者ジェームズ・メラートや、そしてマリヤ・ギンブタスは、ヨーロッパや中近東の遺跡を発掘することによって、戦争を知らない、もう一つの豊かな文明がかつてあったことを、手に触れられる証拠を示すことによって証明した。これらの発見は、私たちのこれまでの歴史観を大きく変えざるを得ない事実を突き付けている。

つまり、最初にこの世界に文明をもたらし、農業を発明し、人類を導いたのは、屈強で荒々しい男性や『男の知恵』ではなく、繊細なインスピレーションに満ちた女性と『女の知恵』だったということである。旧石器時代とそれに続く新石器時代は、平和で豊かな女性原理の時代であった。その平和の時代に、文明はゆっくりと進化していったのである。それは命への尊重と平和を基調とした、女性原理の文明であり、偶像はすべて豊饒の女神像であった。

つまり、何百年もの間、人類は殺戮や戦闘シーンなど想像すらできない平和な文明を営んでいたのだ。この文明は、世界中のどこでも見られ、おそらく新石器時代が始まってからも、約8000年から10000年は続いたものと思われる。

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