2015年01月15日
【女主導の原理と現代への適応】女性原理こそが21世紀の文明を作る(2)
前回に引き続き、上洋子さんの著作『女神の時代』を紹介します。
これまでの考古学は、人類の歴史はせいぜい約6000年前から5000年前の文明から始まっているとされていました。そして、旧石器時代と新石器時代については、人類は非常に厳しい自然と戦いながら食料を求めて地上をさ迷い歩いていた、というのがこれまでのイメージでした。
しかし今や、考古学は貧しき石器時代というイメージをがらりと変え、豊かな石器時代というイメージへと見直しつつあるのです。
旧石器時代と新石器時代は、平和で女性的なるものが、すべてを包み込んでいた世界でした。それは、アフリカのサハラ砂漠の岩絵から、フランスのラスコーの洞窟、東ヨーロッパ、トルコのアナトリア、インド、そして東南アジアから、日本の縄文文化にいたるまで共通しています。石器時代は、宗教から芸術にいたるまで、あらゆるものに女神の存在が表現され、女神的世界であり、人生のテーマは、生きる喜びと再生だったのです。
るいネット『なぜ今、女神なのか』(リンク)より
私たちが有史以前の歴史について学ぶとき、人類はまだ野獣に近く、凄まじい暴力と戦争に明け暮れていた時代だと考えがちでです。
しかし、それは現代人が作り出したイメージに過ぎません。人類はもともと戦争に明け暮れていたわけではなく、それは後になって出てきたということを、古代文明の遺跡は伝えています。
女神信仰を中心とした古い遺跡からは、組織的な戦争があったことを伺わせるものは、何一つ出てきていません。農具や祭器用の斧などは出てきますが、武器が発見されず、戦いで死んだと思われる遺体も出てこないのです。
シュメール人が作った都市アフラクを発見したレオナルド・ウォーリーは、不思議なことに武器が一つもないことを驚きを持って報告しています。そのほか、紀元前3000年頃に栄えたクレタ島の迷宮での驚くべき発見は、敵の侵入を想定した城塞が築かれていなかったことです。またモヘンジョダロの遺跡でも、何千年もの長い間、戦争がなかったことがわかっています。
さらにトルコの母系制時代の国々は、農業ばかりではなく、様々な科学技術を発達させています。それは、法律から、航海術、天文学、治金術、建築術に及んでいます。たとえば、世界の七不思議として古代人から絶賛された建築もありました。その一つは、トルコのアルテミス神殿であり、もう一つは、ボドルムのマウソロウス霊廟です。これらはともに母系制社会を形成していたカリア人によって建てられたものであり、その時代、いかに壮大な技術の発展をみたかを示すものです。
母系制社会において、これらの高度に発達した技術は、人々の生活を美しく潤すものとして使われていました。 しかし、父系制の到来とともに、これらの発達した技術は、すっかりその意味を換えてしまったのです。
青銅や鉄などの金属は、かつては美しい装飾品であったり祭器であったりしたものが、ほかの人間を効率的に殺戮したり脅したりするための武器に変わり、巨大な建築物や芸術品は、支配者の力を誇示するための道具となりました。近代科学革命は男性原理を基本とし、ますます生命から遠ざかる方向へと現代文明を加速させ、その結果、地球的規模の環境破壊という問題に世界中の人々が目を向けなければならなくなりました。原子力兵器の登場は、地球上のあらゆる生物が一瞬にして消え去ることさえ、たんなる悪夢ではなく、おおいに可能性のあることにしてしまったのです。
- posted by KIDA-G at : 2015年01月15日 | コメント (0件)| トラックバック (0)
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