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2020年05月26日

【世界の各部族の婚姻形態シリーズ】乱交・兄妹婚を経て交叉婚に至った部族

交叉婚とは、人工が増え同類闘争の緊張圧力が高まり集団統合力を強化する必要から、氏族ごとの閉鎖性を打破するために、部族内で定められた他の氏族の異性たちと交わり合う婚姻制度。
乱交・兄妹婚を経て交叉婚に至った部族が多いようです。

リンクより紹介します。

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■ベネズエラ海岸地方の諸部族

最初に訪れた航海者の記録によると、160 人を収容する共有の大家屋に住み、望むだけの妻を娶り、夫を迎え、欲するがままに相互に棄てるが、それを少しも不正とは思っておらず、嫉妬も存在しない。
※集団が分割される直前(兄妹婚に至る前)の乱交期と推定される。

■ポリネシア

マレー制度の事例で、集団内において実の兄弟姉妹の雑婚が行われていたことを示す。全ての血縁関係を、両親、子供、祖父母、孫、兄弟姉妹の5つの語で表現し、父母の兄弟姉妹は全て自分の父母、その子供たちは全て自分の子供、その子供たちは全て自分の孫とされる。即ち、男にとって姉妹とは、全て自分の妻であると同時に兄弟の妻であり、自分の子と兄弟の子を判別するのは不可能であるから、全て自分の子供となる。女の場合には、自分の子供と姉妹の子供の識別が可能であるが、実母と継母は区別されないので、全て自分の子供となる。
※兄妹婚の典型事例。但し、実態は班内乱交であり、中心的には兄妹婚であるが、父子婚・母子婚もあったと考えられる。

■発見当時のハワイ・トンガ

発見当時は、実の兄弟姉妹間の婚姻が行われており、交叉婚に移行した後も、兄弟の妻、妻の姉妹を“我が妻”と呼び、夫の兄弟を“我が夫”と呼ぶ慣習が残っていた。当時の宣教師は、「多夫多妻、姦通、不義、近親相姦、嬰子殺し、夫妻・子・親の遺棄等が頻繁に行われている」と語っているが、婚姻関係を結んでいる大集団を、食糧の確保と相互防衛のために小家族に細分化し、各人はその小家族を随意に転移したことから、外見上、遺棄が多発しているように観察されたのであろう。

■カミラロイ族等(オーストラリア原住民)

交叉婚の代表事例。氏族内の通婚を禁止。氏族が2つだった時代には、一方の氏族の女性全員が他方の氏族の男性全員の妻であった。その後人口増によって、6つの氏族に分かれ、この6つの氏族が、原氏族を同じくする2つの胞族グループに編成され、さらに婚姻規範として、4つの婚姻グループが定められた。即ち、一方の胞族は全て、第1また第2婚姻グループに、他方の胞族は全て、第3又は第4婚姻グループに属し、一方の胞族内の第1グループの姉妹たち(又は兄弟たち)は、他方の胞族内の第4グループの兄弟たち(又は姉妹たち)とのみ、通婚が許される形態である。生まれた子供は母親の氏族に所属し、第1婚姻グループの女と第4婚姻グループの男の間にできた子は、第3婚姻グループに属する等の取り決めがある。
※同類闘争圧力△→集団統合圧力△を背景に、兄妹婚(班内乱交)による各単位集団の自立性・閉鎖性を打破するために、氏族内の通婚の禁止=班外との婚姻を制度化したもの。つまり、交叉婚である。第1と第4グループ、第2と第3グループという組合せで、部族が単位集団間の婚姻相手を決定している。

■インディアン70 部族

ツラン血縁制度の事例。マレー制度の両親・子供・祖父母・孫・兄弟姉妹の区分に、伯父・伯母・甥・姪・従兄弟姉妹の語が加わっている。マレー制度が、「父母の兄弟姉妹は全て自分の父母、彼らの子供たちは自分の兄弟姉妹」としているのに対して、ツラン血縁制度では、伯父・伯母を男女共に母の兄弟と父の姉妹にのみ適用し、父の兄弟、母の姉妹は自分の父母としている。また甥・姪を、男から見て、姉妹及び従姉妹の子供(女から見て兄弟及び従兄弟の子供)にのみ適用し、兄弟(女の場合は姉妹)の子供を自分の子としている。即ちこの制度では、男にとっては、姉妹はもはや妻ではなく、その子供を表現するために、新しい親族関係を表す言葉が必要になったということである。
※ツラン血縁制度とは、実の兄弟姉妹の婚姻を禁止した交叉婚(班外乱交)の形態であり、氏族の兄弟(又は姉妹)は、なお婚姻単位として一体である。

■タヒチ島:ポリネシア

娘は12~13 歳で母親から性交のテクニックなどを教わり、奔放にセックスを楽しむ。初めてタヒチを訪れたスペイン人は、喜んで自分の妻や娘、妹などを提供する島民に驚かされたが、来る者は拒まない博愛主義は今も根強く、未婚女性の妊娠さえ、相手が何人であれ家族の歓迎を受ける。

※逃げ延びてたどり着いた先が、食糧の豊富な隔絶孤島であり、同類闘争圧力・対自然闘争圧力ともに殆ど存在しない、外圧ゼロの状態。採取が容易なので闘争・生産の規範が後退し、かわって性第一の規範が形成される。それに伴い、女の性役規範が強化・貫徹され、男の性欠乏の上昇を受けて、女も性欠乏を上昇させ、性機能に磨きをかけていく。∴男女の性をめぐる需要と供給はバランスし、性的商品価値→女の選択特権=性権力が登場しない。
豊かな土地故に、人口増大→集団規模が拡大してゆくが、生殖第一で、集団統合力が弱いので、分派・独立を繰り返す。そこで縄張り争いなどの対立も生じるが、(元々島民は同部族であり)セックスを武器とする外交で止揚。これが習慣化して、他部族・異国の来訪者に対しても性的歓迎を行う。

■トロブリアンド島:ニューギニア
(1914 年から5年間実態調査を行った人類学者マリノフスキーの記録。それ以前に宣教師が訪れている。)

・生活形態-漁労と農耕。主食はヤムイモとタロイモで、魚介類は時たま食べる程度。
・集団-母系の氏族集団。
・男女関係-性交渉に束縛はなく、幼い頃から性的遊戯にふけり、女は6~8歳、男は10~12 歳から本格的性生活を始める。思春期になると兄弟と姉妹は別居、男子は独身の男に預けられ、女子は未亡人又は母方の親戚の家に移される。この時期になると遊戯から脱して、セックスに情熱を傾けるが、恋人同士でも貞節は要求されない。若者はデートのたびに娘に贈り物をすることが義務。さらに成長すると、継続的情事の相手と、そのために作られた“若者の家”で結婚前の同棲生活を始め、セックスもかなり排他的になる。結婚を承認するのは娘の母親の兄弟で、男の家族には口を挟む権利はない。婚姻の際は、妻が持参金を夫に渡し、夫の両親のもとでしばらく生活するが、その後独立。妻の実家が永続的な経済的義務を負う。家庭内の仕事分担は決まっており、妻は料理と水汲み、夫はもっぱら子供の世話を行う。しかし、島民は性交の結果妊娠するとは考えておらず、子供は女だけで作るもので、父と子の間に肉体的つながりは全くないとされている。

※タヒチ島と同様の条件下に置かれ、性役規範が強固に確立されていることから女の性権力は登場しない。無圧力故に、強力な集団統合の必要がなく、集団はより小単位へ分解されてゆき、さらに島の量的限界まで人口の増大が進むと、財産意識≒私有意識が発達し、集団は家族単位(=血縁がたどれる最小単位)にまで分解される。私有権をめぐる争いが増大し、財産の継承権を明確化する必要から、人工的婚姻制度が導入され、母系制であることから婿取婚となった。しかし、これは人工的制度に過ぎず、集団婚の風習(記述から交叉婚であることは明らか)は、女の性権力が発達していないことも手伝って濃厚に残存することになる。

性役規範が貫徹されていることから、女は男を立てる(実権はバアサマでも、表向きの名目権は酋長=男)という規範も守られている。

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