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2021年01月07日

また新たに、人類のアフリカ起源説を覆す研究が発表された。

これまで、現生人類は20万年前頃アフリカで誕生し、その後7万年前から5万年前にアフリカを出て、ユーラシア大陸にいたネアンデルタール人に出会ったとされてきた。ところが、実は37万年前から10万年前の間のどこかの時点で、ネアンデルタール人と現生人類がすでに交雑を起こしていた──。そんな研究結果が、このほど発表された。

◆ネアンデルタール人と現生人類との交雑は、数十万年前から起きていたリンク

多くの現代人のDNAにネアンデルタール人の痕跡が残されていることは、すでによく知られている。だが、この遺伝子のやりとりは、実は一方向ではなかった。約4.5万年前に現生人類がユーラシア大陸でネアンデルタール人の集団と出会ったとき、ネアンデルタール人たちは、すでにホモ・サピエンスの遺伝子をある程度は保有していたのである。

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進化遺伝学者のマーティン・ペトルとジャネット・ケルソらのチームは、2個体のデニソワ人(64万年前にネアンデルタール人から分岐したと考えられている化石人類)と、フランスとロシア、スペインで発掘された3個体のネアンデルタール人(3個体とも3.8万年前~5.3万年前に生きていた)のY染色体DNAの配列決定を、新たな方法を用いて実施した。
その結果、はるか以前に起きていた交雑が原因で、37万年前から10万年前の間のどこかの時点で、本来のネアンデルタール人のY染色体がホモ・サピエンスのそれに完全に置き換わっていたと発表した。

既存の知見のほとんどは常染色体のDNAに基づくもので、性染色体に関するデータは少ない。遺伝学者たちはDNAの差異を基準に、ふたつの集団、例えばホモ・サピエンスとネアンデルタール人の共通祖先が最後に存在したのがいつなのかを推定している。DNAのなかの小さな違いを数え、それをヒトのDNAに変異が蓄積されるスピードと照らし合わせれば、2集団が分岐した時期をおおまかに計算できるのだ。

常染色体から得られたDNAデータに基づく推定によると、ネアンデルタール人とデニソワ人は人類の系統樹のひとつの分枝であり、わたしたちの系統から55万~70万年前に分かれたようだ。しかし、Y染色体からは違った筋書きが浮かび上がる。3種の共通祖先が生きていたのは、約37万年前だというのだ。
つまり、それぞれが別々の道へと踏み出し、別々の集団に進化し始めてから相当の時間が経ったあとも、集団同士の遭遇と遺伝子の交換が起きていたのである。そして時が経つにつれ、ネアンデルタール人のY染色体ゲノムが、わたしたちのヴァージョンのそれに取って代わっていった。

ペトルとケルソは取材に対し、次のように語っている。
「Y染色体とミトコンドリアDNAの研究は、ひとつの父系または母系に注目するため、単純化された人類史の一側面しか見えないのは確かです。しかし、一部の要素(例えば遺伝子流動)に関しては、極めて明確に描き出せるという大きな強みをもっています」。そして、次のように続ける。「初期現生人類からネアンデルタール人への遺伝子流動はまさにそうしたテーマであり、わたしたちの研究で、疑問の余地なく明らかになりました。同様の現象を常染色体DNAから検出することはずっと難しく、最近になってようやく開発されたような高度な統計的手法が必要なのです」

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