2007年12月22日
警戒心のなかった時代
国柄探訪:幸福なる共同体を創る知恵 リンクに、日本人の共同体質=縄文体質を表した事例がありましたので、引用させていただきます。
■1.「地球上最も礼儀正しい民族」■
フランスの青年貴族L・ド・ボーヴォワールは、明治維新の前年、慶応3(1867)年に、世界一周旅行の途中で日本に立ち寄り、横浜から江戸、箱根などを回った。
その見聞録『ジャポン1867年』の中に、次のような一節がある。
われわれが馬からおりるとすぐに、二、三人の娘がやさしく愛らしくお茶と飯を小さな椀に入れて持ってくる。老婦人が火鉢と煙草をすすめる。
他の小径(こみち)を通ってやって来た日本人の旅人も、われわれと同じように歩みをとめる。
彼らはわれわれに話しかけるが、たいそう愛想のよいことをいっているに相違ない。
当方としては彼らの美しい国をどんなに愛しているかを伝えられないことが残念であった・・・
それから一同は再び出発し、湾の奥深い所に見える遠い村まで下りていく。—-そこでは、これはどの道を通る場合も同じだが、その住民すべての丁重さと愛想のよさにどんなに驚かされたか、話すことは難しい。「アナタ、オハイオ」(ボンジュール、サリュ)、馬をとばして通り過ぎるわれわれを見送って、茶屋の娘たちは笑顔一杯に叫んだ。
・・・思うに、外国人が田舎の住民によってどのように受け入れられ、歓迎され、大事にされるかを見るためには、日本へ来て見なければならない。
地球上最も礼儀正しい民族であることは確かだ。[1,p46]
なんとも言えずあったかく、おもわずこちらも微笑んでしまいそうになりますね。
そんな、「微笑」にまつわる事例は、ポチッとしてからお読みください。
■2.「日本人の微笑」■
アイルランドからやってきて日本に帰化したラフカディオ・ハーンは、日本の友人から次のような質問を受けた。
外国人たちはどうして、にこりともしないのでしょう。
あなたはお話しなさりながらも、微笑を持って接し、挨拶のお辞儀もなさるというのに、外国人の方が決して笑顔を見せないのは、どういうわけなのでしょう。
ハーンは、この質問を受けた時の感想を次のように書いている。
この友人が言うように、私はすっかり日本のしきたりに染まっていて、西洋式の生活に触れる機会を持たなかった。
そう言われて初めて、自分自身がどこか奇妙な振る舞いをしていることに気がついたのである。・・・
日本人が言うところの「怖い顔」をした外国人たちは、強い侮蔑の口調をもって、「日本人の微笑」を語る。彼らは「日本人の微笑」が、嘘をついている証拠ではないかと怪しんでいるのである。
ハーンは長年の日本生活を通じて、自ら「日本人の微笑」を身につけてしまった。その経験から「日本人の微笑は、念入りに仕上げられ、長年育まれてきた作法なのである」と結論する。
相手にとっていちばん気持ちの良い顔は、微笑している顔である。だから、両親や親類、先生や友人たち、また自分を良かれと思ってくれる人たちに対しては、いつもできるだけ、気持ちのいい微笑みを向けるのがしきたりである。
そればかりでなく、広く世間に対しても、いつも元気そうな態度を見せ、他人に愉快そうな印象を与えるのが、生活の規範とされている。たとえ心臓が破れそうになっていてさえ、凛とした笑顔を崩さないことが、社会的な義務なのである。
反対に、深刻だったり、不幸そうに見えたりすることは、無礼なことである。好意を持ってくれる人々に、心配をかけたり、苦しみをもたらしたりするからである。さらに愚かなことには、自分に好意的でない人々の、意地悪な気持ちをかき立ててしまうことだって、ありえるからである。
こうして幼い頃から、義務として身につけさせられた微笑は、じきに本能とみまがうばかりになってしまう。 [1,p81-86]
略奪により共同体(本源集団)を破壊されてしまった西洋人の警戒心の強さは、想像以上のもののようです。心からの微笑さえも、猜疑の目でみてしまう彼らに、共認充足の可能性はあるのでしょうか?
ひるがえって日本人ですが、「心臓が破れそうになっていてさえ、凛とした笑顔を崩さない」背景には、集団の統合のためには、個人の感情は、徹底して抑制するという強い意志を感じます。
このようにして、日本人は共同体を守り続けてきたのだと思います。
日本人の微笑は、集団維持の規範だったのです。
- posted by naoto at : 2007年12月22日 | コメント (3件)| トラックバック (0)
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