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2019年8月6日

2019年08月06日

【千島学説】哺乳類だけが赤血球に細胞核がない理由

千島喜久男著『血液と健康の知恵』地湧社刊

●千島学説の8大原理

【第1原理】 赤血球があらゆる細胞に分化するとする「赤血球分化説」
赤血球こそ細胞の大本であり、白血球やその他の様々な細胞(タンパク質、つまり肉も含む)は全て赤血球が分化してできる。

【第2原理】 赤血球から分化した各種細胞は、飢餓状態などの非常時には赤血球に逆戻りするとする「赤血球と各種細胞や組織との間の可逆的分化説」

【第3原理】 細胞や組織が死滅するときにバクテリアやウイルスが自然発生するとする「バクテリアやウイルスの自然発生説」

【第4原理】 細胞は細胞構造を持たない有機物から新たに生じるとする「細胞新生説」
あらゆる細胞は同じ細胞が分裂してできる、赤血球は赤血球から、白血球は白血球から、卵細胞は卵細胞から、という説を否定し、細胞は細胞構造をもたないものから作られるとする。そもそも、細胞が細胞からしかできないのであれば、最初の細胞はどのようにしてできたのかを説明できない。細胞分裂というのは、生体から取り出した特殊環境、すなわち生命体から取り出されたほとんど「死」と同義の特殊環境の中で観察される現象であり、生体内で本当に細胞分裂が起きていることを確かめた人間はいないはずである。

【第5原理】 赤血球は骨髄で造られるのではなく、腸の絨毛で造られるとする「腸造血説」
骨髄で血液が作られるとする定説は、特殊環境の中で赤血球から作られた細胞が再び赤血球に戻る過程を観察したに過ぎない。通常は腸の中で食物から血液が作られる。

【第6原理】 遺伝と環境は一体であるとする「遺伝学の盲点」
生物の形や性質は親から受け継がれた遺伝子により決まるとされているが、生物は環境に適応するために変化を重ねながら進化してきたというのが観察から分かる事実である。

【第7原理】 進化の最重要な要因は弱肉強食ではなく共生だとする「進化論の盲点」
方向性のない突然変異がたまたま生存に都合の良い方向に行ったケースの積み重ねで生物が進化してきたとする説は、現在見られる突然変異のほとんどは環境の悪化(化学物質や放射線など)による奇形であり、それが生存に好都合な例など見たことがないことから事実だとは考えられない。

【第8原理】 科学研究の方法論としての心身一如の生命弁証法
ここで「全ての自然現象・生命現象は波動と螺旋運動としてとらえるべきである」という結論に至っている。

●人間や哺乳類の赤血球は腸の食物モネラから生ずることや、その赤血球は無核であるからまだ細胞ではないが、その無核赤血球から有核の白血球を生じ、更に生体の凡ての体細胞や生殖細胞を生じ、病的の場合はガン細胞や炎症の部分の諸種細胞、外傷の治癒組織細胞も赤血球から細胞新生によって生ずる(第一原理赤血球分化説)

この第一原理(赤血球分化説)では、人間や哺乳動物の無核の赤血球(これは今日生物学上の細胞ではない)は有核の凡ての体細胞や生殖細胞を形成する母体である。即ち細胞新生説のよい例である。

●赤血球の細胞質放出による白血球形成
赤血球は(哺乳類の無核赤血球でも鳥類以下の有核赤血球でも)、組織培養をして観察してみると赤血球の一側が凹み、その細胞質を外部に放出し、あたかもヒョータンのようになり、細胞分裂を思わせるような形となり位相差顕微鏡で見ていると72時間ほどの経過で、その中に細胞核が新生するのを見ることができる。
また、骨髄組織を取り出し、塗抹染色標本を造って見ると数個の赤血球が共同してその細胞質を放出して、最後には数個の赤血球の細胞質を出し合って大きな白血球(骨髄細胞)をつくる状態をも観察することもできる。

●有核の赤血球芽細胞から無核の赤血球になるという既成説は考え方が逆である。
既成の骨髄造血説では、大きな細胞核をもった血芽球から小さい赤芽球となり、それが更に小さい無核の赤血球になる(これは人や哺乳類に共通)と考えられている。しかも、このような大きな有核の血芽球、赤芽球から極めて小さい赤血球になる「赤血球の成熟過程」といわれているものほど矛盾した説はない。生体ではそのような無駄をする筈がないし、第一に、赤芽球の大きな細胞核が小さな無核の赤血球へ変る途中で、その細胞核がどのようにして無くなるのかが明確に証明はなされていない。
核脱出説、核溶解説なども云われているがそのいづれも一種の想像説であり、人間の場合一日2,000億個の赤血球造血の根拠として決して実証できるものではない。
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千島学説(第一原理)によると、哺乳類の無核の赤血球から有核の白血球、全ての体細胞や生殖細胞が生まれる。
現代の発生学は受精卵の卵分割、発生初期の細胞分裂像が生涯にわたって続くものと仮定し、それが真実の現象だと信じている。しかし、胎生6ケ月以降、さらに出生後は細胞分裂は全くなしに体細胞は増殖していることは常識になっている。

一方、千島喜久男は、核があるニワトリの赤血球が生殖細胞がつくられることも観察している。
「ソマチッドとホリスティックコンディショニング その2」
千島喜久男は、ニワトリの卵の黄身(卵黄球)が赤血球に変化(分化)し、その赤血球が生殖細胞に変化している様子を観察し、「生殖細胞でない赤血球から生殖細胞が造られている」という現象を発見した。「精子や卵子も赤血球から造られる」ことも見出している。
ニワトリの胚子の生殖腺(睾丸・卵巣)の組織発生を観察する場合、それまでの研究者は、胚子のウォルフ氏体(中腎)と、その付随の生殖腺を切り離していたが、千島博士はそれを切り離さずに、中腎と生殖腺を一緒にした標本を大量に作って、それらを根気よく観察しつづけた。その観察結果から、中腎と生殖腺のできはじめのものには境目がなく、組織が連続していることがわかり、しかもその周辺には、血管を飛びだした赤血球が無数に散在していて、それが原始生殖細胞や生殖腺の細胞に分化、移行していく姿を、はっきりと確認できたのである。

卵生動物(魚類・両生類・爬虫類・鳥類)も哺乳類も赤血球から細胞がつくられるのは同じ。
しかし、卵生動物の赤血球には核があり、哺乳類の赤血球には核がない。
それはなぜか?
千島喜久男がそのことについて触れた記述は見つからなかったが、おそらく次のような理由だと考えられる。
哺乳類の胎内保育中は、母親の赤血球から胎児の細胞ができるという。

●系統発生的にも個体発生的にも赤血球造血は絨毛のあるところである。
進化論的には下等動物で腔腸や消化器で造血するし、哺乳動物や人では子宮内面へ子宮壁にある血管の開放端から出血し、その血球モネラから胎盤絨毛ができ、その絨毛壁細胞から血球ができている。妊娠中は胎盤の絨毛で、親の赤血球からそれぞれ、卵黄球絨毛や胎盤絨毛の壁細胞を新生し、その絨毛壁細胞が成熟すると、その内部に無核の赤血球が10数個、胞子形成をするような過程で新生し、それが連続して血管となり、臍帯の清脈から胎児の体内に運ばれ胎児の凡ての細胞の母体となる。(胎盤造血)そして出産後は母親の血液補給が断たれるので、初生児は初め母乳、後に食物を採り、その消化産物(食物モネラ)から腸粘膜の絨毛を形成し、絨毛の表面に附着し、細胞新生によって腸絨毛上皮となり、その深部のものから次第に成熟して、その細胞内に胞子形成様過程で十数個の無核赤血球を形成し、それが連続して血管となり腸間膜静脈となって肝臓を経て心臓に至る。(腸造血)腸の絨毛で造血する。

つまり、胎内保育で母親の赤血球から胎児の細胞をつくる上で、赤血球の核は邪魔になるから、哺乳類の赤血球は核がない原核細胞になっているのではないか。

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2019年08月06日

【定説】哺乳類だけが赤血球に細胞核がない理由

●現在の鳥類・魚類・爬虫類・両生類の赤血球にはすべて核があるが、脊椎動物の中で赤血球に核がないのは、哺乳類だけである。その理由として定説では、効率よく酸素運搬するためとされている。

3 億年前、両生類から進化した有羊膜類が哺乳類を含む単弓類と、爬虫類・鳥類を含む双弓類にわかれた。恐竜は双弓類に分類され、 赤血球に核があったとされている。
では哺乳類は、なぜ赤血球の核を捨ててしまったのか。その理由は未解明だが、考えられる理由は次の3点で、それによって組織全体に効率のよい酸素の運搬を行うことができるとされている。
① 核をなくすことで容積が増し、細胞内に酸素と結合するヘモグロビンをより多く含むことができる。
② 赤血球の特徴的な円盤状の形をとることで体積当りの表面積が大きくなり効率的なガス交換が行える。
③ 円盤状になることによって、微細な毛細血管もスムーズに通過できる。
東邦大学医療センター佐倉病院「気軽に読むサイエンスの話題⑤赤血球ヘモグロビンの進化」

生物進化の途上では、赤血球に先行してヘモグロビンが登場する。酸素運搬に必要な分子の登場は細菌にまで溯る。チューブワーム(羽織虫)の巨大ヘモグロビンは体液中に拡散している。チューブワームは熱水噴出孔に棲息しており,多様な細菌とともに硫黄からエネルギー産生を行っている。生物進化の中でヘモグロビンの登場に比べて赤血球が登場するのはかなり遅く、脊椎動物以降の動物である。ヘモグロビンを体液中に拡散させておくのではなく,1個の細胞に入れる,つまり赤血球を分化させたことは,体内への酸素運搬効率を飛躍的に高めたと考えられる。

●中生代における哺乳類と恐竜類の進化

中生代とは2回の大量絶滅、約2.5億年前の大絶滅から約6550万年前の大絶滅までを言う。古生代は高い酸素濃度だったが、中生代の15%以下の低酸素環境下で、哺乳類と恐竜類は同時に進化したと考えられている。一部の恐竜は現代の鳥類と同じように気嚢システムを持っていたと考えられている。また、化石から有核の赤血球と思われる構造物が証明されているが、血液を循環していた赤血球の核の有無は不明である。獣脚類から鳥類が進化したと考えられていることから、恐竜類も有核の赤血球であった可能性が高い。一方、哺乳類は、腹式呼吸をしていたと考えられるが、中生代の哺乳類の赤血球が現代の哺乳類と同じように無核であったかどうか、また、いつ無核になったかは不明である。
「赤芽球の脱核:その仕組みと生物学的意義の考察(日本生化学会 布村 渉)」

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2019年08月06日

覆る人類の起源(2) ホモ・サピエンスはユーラシア大陸で誕生した可能性が高い

1980年代まで、人類の歴史については「多地域進化説」と「アフリカ起源説」の2つの説が対立していた。
「多地域進化説」では、180万年ほど前にユーラシアに拡散したホモ・エレクトス(原人)が各地で進化し、アフリカ、ヨーロッパ、アジアの異なる地域で並行的にサピエンスに進化したとする。それに対して「アフリカ起源説」では、サピエンスの祖先はアフリカで誕生し、その後、ユーラリア大陸に広がっていったとされた。

しかし1980年代後半、遺伝学者が多様な民族のミトコンドリアDNAを解析して母系を辿り、すべてのサンプルがアフリカにいた1人の女性から分岐していることを明らかにした。いわゆる「ミトコンドリア・イブ説」で、約16万年(±4万年)に生存したとされる。この発見によってアフリカ起源説に軍配が上がったのだが、これはサピエンスが10~20万年前のアフリカで誕生したということではない。

その後2010年代に入り、古人類を含めた全ゲノム解析が進み、ネアンデルタール人の系統とサピエンスの系統が分岐したのは約77万~55万年前へと大きく遡ることになる。サピエンスの起源は、従来の説より50万年も古くなったのだ。

ここで、従来の人類学では、人類はアフリカで誕生し、約180万年前にホモ・エレクトス(原人)がユーラシア大陸に進出した後も、ネアンデルタール人の祖先やサピエンスなど、さまざまな人類がアフリカで誕生しては繰り返し「出アフリカ」したことになっている。

★だがなぜ、新しい人類はアフリカでしか生まれないのか? 
ユーラシア大陸にも180万年前から多くの人類が暮らしていたのだから、そこで進化したと考えることもできるのではないか。

人類学者のデヴィット・ライクは古代人のDNA解析にもとづいて、ユーラシアに進出したホモ・エレクトスから超旧人類が分岐し、さらにサピエンス、ネアンデルタール人、デニソワ人と分岐していったのではないかと考える。デニソワ人は東ユーラシアから南ユーラシアに広がり、ネアンデルタール人はヨーロッパを中心に西ユーラシアに分布した。

★だとしたら、サピエンスはどこにいたのか?
ライクの説によると、サピエンスは脆弱な人類で、ネアンデルタール人に圧迫されて中東の一部に押し込められていた。その後、ネアンデルタール人がさらに中東まで進出したことで、約30万年前には北アフリカや東アフリカまで撤退せざるを得なくなった。これが、モロッコでサピエンスの痕跡が発見された理由だ。

ところが5万年ほど前に、そのサピエンスが「出アフリカ」を敢行し、こんどはネアンデルタール人やデニソワ人などを「絶滅」させながらユーラシアじゅうに広がっていく。このときネアンデルタール人は中東におり、サピエンスと交雑した。このように考えると、アフリカ系にネアンデルタール人のDNAがなく、東アジア系がヨーロッパ系と同程度にネアンデルタール人と交雑していることが説明できる。ネアンデルタール人の遺跡がヨーロッパで多数見つかるのは、サピエンスと遭遇したのち、彼らがユーラシア大陸の西の端に追い詰められていったからだろう。

中東でネアンデルタール人と交雑したサピエンスの一部は東に向かい、北ユーラシアでデニソワ人と、南ユーラシアでアウストラロ・デニソワ人と遭遇して交雑した。その後、彼らはベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸へ、海を越えてオーストラリア大陸へ、そして千島列島から北海道、本州へと渡り縄文人の先祖になった。

【参考】橘玲・著『もっと言ってはいけない』

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