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2007年08月17日

【図解】交叉婚って何?(4)::トロブリアント諸島編

交叉婚って何?(3)に続き、今回はクラ交換で有名なトロブリアント諸島の交叉婚を追求してみたいと思います。
トロブリアント諸島の婚姻は、母系なのに嫁入り(?)するという、世界に分布する交叉婚の中でも極めて特異な事例です須藤健一著『母系社会の構造 サンゴ礁の島々の民族誌』を参考に、図解化を試みながらその構造を探ってみたいと思います。
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■母系社会で父方居住(嫁入り)する事例としては、パプアニューギニアのトロブリアンド諸島が有名で、ここでは男女とも父の家で生まれ、息子はそこで結婚し、娘は夫の家に嫁ぐ。このままでは母系一族の男女とも分散してしまい、その本拠地で財産を管理・運営するものがいなくなるので、それを防ぐため、男性は結婚したら自分の一族の本拠地に移り住むという居住規制をあわせもっている。つまり、男性は独身時代を父親の村(家)で暮らし、嫁を迎えてから母方オジがいる自分の村に移って生涯を終えるのである。
■この社会では、子供を一人前にするのは、母親や母系一族の人々ではなく、育ての父親の責任とされる。だから父親は子供を抱いてあやしたり、食べ物を口に運んでやったり細かな愛情をもって子育てに励む。しかし、父親が子供の養育のすべてを引き受けるわけではない。子供の食べもの(主食としてのヤムイモ)は、母系一族の男たち(特に母の兄弟)によって調達される。ヤムイモの収穫期には全収穫量の約半分のイモを子供の父のところに持ってくる。この贈物は、男たちが自分の母系一族の成員である子供を育ててくれるよそ者(父)に、その子育ての労をねぎらうために行われるのである。
■子供は成長するにつれて父母と仕事をするようになるが、同時に母方のオジが正規の保護者、監督者として姿を現すようになる。結婚すると男子は、自分の母系一族の財を管理、相続するために母方オジのもとへ引き移る。このようにトロブリアンドの母系社会では、その既婚男性成員が本拠地に集結し彼らの権威に基づいて運営されるのである。

上記の内容を図解にすると以下のようになります。(=は婚姻関係、単線は親子関係を示します。)複雑ですが、交叉婚の形態になっています。

図解からも、トロブリアント諸島の婚姻形態の複雑さが伺えます。嫁入りする婚姻形態が、そもそも母系社会と言えるのであろうかという疑問も生じますが、このような婚姻制度が成立している背景には、
① 『トロブリアント諸島の母系社会』でも触れていますが、子供の誕生は、(夫ではなく)母方の女性祖先の精霊が関与しているという生殖観念がある。
② 日本の『擬制婿取婚』と同じように、嫁入りという行為を、単なる転居であり移籍とは捉えない観念を有している。
などが、影響していると思われます。
読んでくれてありがとう。
今後も交叉婚図解シリーズは継続していきます。(byマツヒデ)

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comments

江戸時代には、既にお酒を始め商品が全国を行きかっているんですね。そして、「下る」と言う言葉で分るようにように、上方が物流の中心だったんですね。宅急便が無い時代に千石船とか言うやつで運んだんですよね、すごい。

  • 猪飼野
  • 2007年9月19日 09:59

猪飼野さん、この頃から流通って重用だったようですね。同じ上方のお酒も、当初は伊丹、池田が主流だったのが、次第に後発の灘に主役の座を奪われていったようです。これも港がすぐにあり、流通に優れていた為(より早く「一番酒」を江戸に届けられる)ではないかという気がします。航海技術の進歩や港の整備で、後には輸送期間も大分短縮されたようですね。

  • saah
  • 2007年9月19日 17:36

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