2008年10月04日
初期人類は骨を食べていた!vol.11(骨猟仮説紹介)
今日はvol.10の<ボーン・ハンティング仮説>に対して、いつもこのシリーズを読んでいただいている大杉さんより質問を頂いたので、<ボーン・ハンティング仮説>について、私の愛読書『親指はなぜ太いのか』島泰三著より、少し詳しく紹介させていただこうと思います。
アウストラロピテクスの発掘される遺跡から見つかった動物の骨
残すほど満ち足りてたのか
残り方に食べていた痕跡のようなものがあったのか
●B・E・Porshnev(B・E・ポルシュネフ)のボーン・ハンティング仮説
これはほとんど無視されてきた仮説ではありますが、『親指はなぜ太いのか?』の著者、島泰三さんは、ユニークでしかも矛盾がなく適切な見解だと注目されています。
B・E・ポルシュネフの論文に付属する彼の同僚の解説によると、
「人類の化石と多くの動物の割れた骨がいっしょに発見されたときに、正統派の説明はこのヒト科の動物は狩猟者だったというものだが、ポルシュネフの説明はこうだ。『彼らは骨の猟師だった。肉食獣
の捨ててしまった骨を集めていたのである。誰もが知るとおり、肉食獣
は腹いっぱいのときがもっとも安全である。ヒト科動物は、彼らが危険な夕方
や夜
ではなく、昼間
に活動したのである』
初期人類が鮮新世の植物の変化によって、新しい食物を探さなくてはならなくなったとき、骨や頭蓋骨は貝や果実と同じように、割れば食べることのできるもので、ヒト科動物の祖先にもなじみがあった。ゴードン・ヒューズ(G・W・Hews)の食物運搬仮説は、ポルシュネフの仮説に最も近い。どちらも集めた食物を運ぶために直立二足歩行が発達したというのである。
その相違はボーン・ハンティングか、スカベジャーかという違いである。ヒューズは言っている。
『直立姿勢は両手を自由にし、それをあたかも第二のあごとする。こうして新しい食物採食様式とニッチを開くのである』と。
自由になった手で石を使って骨を割り、脳や骨髄を取り出す過程は数百万年にわたって続き、ヒト科動物はそのあいだに、石が骨を割るだけでなく、骨に付いた肉を削り取ったり、肉を刻むことに有用であると、学習しただろう」
(Porshnev,1974に付属するReply by Bayanov, D . and I .Bourtsev, p.453)『親指はなぜ太いのか』島泰三著より引用
<小動物・根菜類仮説(堀り棒仮説)>の渡辺仁さんも、「ボーン・ハンティング仮説はきわめて多くの発掘データの実例によって支持されている」とおっしゃってられるようです。
実際、アウストラロピテクスが発掘された遺跡からは、必ず破壊された骨が見つかっているようです。
しかし、この仮説はその後まったく顧みられませんでした。
渡辺仁さんも、合理的な仮説だと認めながらも、ご自身の<小動物・根菜類仮説(堀り棒仮説)>を見直すことはありませんでした。
この仮説が受け入れられなかったことを、島泰三さんはこう推測されています。
ボーン・ハンティング(骨猟)は人類の食事としては、常識からしてどうしても納得できないからなのだろうか
骨を噛む祖先をイメージするのは、おぞましいからなのだろうか
実際、現在でも骨は栄養学の常識として食物として認められていません。
スペアリブの栄養分析では、「骨などを除いた可食部」と記載されている状況です。
しかし、vol.1で紹介させていただいたように、骨を調べてみると充分な栄養があることが実証されています。骨食を肯定できないのは、人として、倫理的にも受け入れがたい事象だからかもしれません。
★ちなみに、
日本の鳥取、青谷上寺地遺跡出土の動物骨などについても、鳥取大学医学部の井上貴央教授により、人為的に割られているものが多いことが分かっているようです。
井上貴央教授によると、人為的に割られたイノシシやシカの骨について、骨髄には脂肪やタンパク質が豊富に含まれており、栄養価が高いことを当時の人々は知っていたのではないか!と述べられています。
>大杉さんへ
いつもコメントありがとうございます。これからも率直な質問
、疑問
、入れていただけるとありがたいです。これからも宜しくお願いします。
次回、<初期人類は骨を食べていた!>シリーズでは、直立二足歩行の謎における様々な学説を紹介させていただこう思います。
初期人類は骨を食べていた!vol.12(直立二足歩行に関する仮説紹介)・・・・coming soon
- by yidaki
- at 20:54



や夜
ではなく、昼間
に活動したのである』
comments
詳しい紹介、ありがとうございました。
島さん以前にボーン・ハンティング説があったことに驚きました。顧みられなかったのに、こうして島さんの著書で広く知られるようになったことは大変意義のあることだと思いました。
人類が骨以外の食物をある程度採取できるようになると見捨てられていき、その期間があまりにも長いので(数百万年間)、現代では想像もできなくなってしまったのかもしれません。それくらい初期人類は過酷な状況におかれており、必至に脱出しようとしたのだろうと想像します。
>大杉さん
少し長くなったので、、改めてブログで書かせていただきました。
>島さん以前にボーン・ハンティング説があったことに驚きました。
そうですね。島さんもご自身のアイアイなどの研究と、この仮説からヒントを得て、「口と手連合仮説」を立てられたのではないかと思います。
>骨や頭蓋骨は貝や果実と同じように、割れば食べることのできるもの。
と記載してありましたが、過酷な状況に置かれた霊長類のヒト科動物の祖先だからこそ、骨でも割ってみようという発想にいたったのかもしれません。
豊かになった我々では、想像しにくい事象かもしれませんが、過酷な時代を生き延びた初期の人類がいたおかげで、今の我々がこうして、生きているのですね。