2009年11月18日
本格追求シリーズ1 人類の”性”の本質を探る<人類にとって性とは? まとめ>
9月30日の記事から「本格追求シリーズ1 人類の”性”の本質を探る」と題したシリーズをスタートし、これまで計5回に亘って、人類にとっての「性」について、様々な角度から追求してきました 😀
画像はこちらからいただきました。リンク
今回は、これまで追求してきた「人類にとって性とは?」のまとめを行った上で、本格追求シリーズ1の今後の追及の方向性について提案したいと思います。
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人類の”性”の本質を探る 人類にとって性とは?~まとめ
1.生物の性の本質=「外圧適応のための安定と変異の両立システム」
まずは、生物=本能次元にとっての「性」とはなんなのか?その本質の追求からスタートしました。
安定と変異を両立する「性」=有性生殖という変異システム
「同一の自己」を複製するのではなく、出来る限り多様な「同類他者(非自己)」を作り出すことこそ、全ての進化の源泉であり、適応の基幹戦略。
しかし、変異体が必ずしも種の保存に適応的であるとは限りません。
生物につきまとう大きな課題の一つが、分裂時の『安定と変異の両立』 であり、この課題の高度化こそ、生物の適応可能性の鍵を握ることになるのです。
それが、オスメスという性(=有性生殖という変異システム)の構築であり、生物史に残る大進化です。
生物にとっての「性」とは?
性差拡大=役割分化による外圧適応
出来る限り多様な「同類他者(非自己)」を作り出すためにオスメスという異なる性は、その差異を促進していく。これは遺伝子の違いにも見ることができ、変異を担うオスは変異性に富む「Y」染色体を有する。
このDNAレベルの差異にもっとも適応的なオスメス役割分化が、安定・生殖・出産を担うメスと、変異情報を蓄積する⇒環境の変化を察知する⇒捕食・外敵(圧)闘争を担うオスという役割に収束していく。
生物にとっての「性」とは?
以上から『生物(=本能次元)の性の本質=外圧適応のための安定と変異の両立システム』であることが明らかになりました。
2.人類の性の本質=「集団の最大の活力源・共認充足源」
続けて、人類にとっての性とはなんなのか?始原人類(極限時代の人類)に同化しながら、その本質を追求しました。
始原人類の過酷な外圧状況⇒性闘争全面封鎖
想像を絶するような過酷な自然外圧・外敵圧力状況下で、本能上の武器を失った人類は、共認機能を強化し観念機能を獲得して生きてきました。
人類にとって性とは?(1)~性闘争を封鎖した人類
このような過酷な状況下の中では、性闘争どころではありません。
哺乳類のころから強化してきた性闘争では、共認を破壊し集団を破壊するだけで、種を存続させることが不可能なため、性闘争を全面封鎖しました。
人類にとって性とは?(1)~性闘争を封鎖した人類
性闘争本能を全面封鎖した人類は、共認機能・観念機能を使った新たな性関係を作りだし、男女の役割分化を行い、生物の性の本質である「変位と安定」「闘争と生殖」を進化させていきます。
人類にとって性とは?(1)~性闘争を封鎖した人類
女の性機能収束と、性の全面的肯定視
人類のメスはサル以上に極度に依存収束を強め、首雄収束⇒応望収束回路を発達させていった。しかも人類のメスは(首雄でも防ぎ切れない)飢えや怯えに晒され、サル以来はじめて自らの不全感を直撃されたメスは専ら解脱収束を強め、強力な解脱収束⇒性機能収束回路(エンドルフィンとドーパミンの快感回路)を形成していった。だから、人類の女は徹頭徹尾、応望存在であり、自らの役割欠損を専ら性機能に収束させてゆく性的存在である。
実現論 第一部:前史 ト.人類の雌雄分化と人類の弱点
初期人類の男は、女の背後に人知を超えた自然の根幹を感じていたし、女は集団を守り抜き、生存域を確保してくれる男に、その全存在をかけて感謝していたのでしょう。
それは個人の好き嫌いを超えた全面の肯定性。互いの性を充足源とし、初期人類は集団を存続してきたことがわかりました。
人類にとって性とは?(2)~極限時代の人類の性
「性」=「最大の充足源・活力源」
男たちはそんな女たちを、純粋にかつ積極的に肯定視してきた。
それどころか、樹上機能を失い、絶望的な状況下に置かれたカタワのサル=人類が、その極限時代五〇〇万年間を生き延びることが出来たのは、性と踊りをはじめとする強力な解脱充足回路を形成し得たからであり、もしそれがなければ、人類は生きる希望を失って早々に絶滅していたであろう。
実現論 第一部:前史 ト.人類の雌雄分化と人類の弱点
極限時代の婚姻形式=「首雄集中婚+チャネリング」
女達は過酷な外圧状況の中で男達への依存収束を高め、中でも集団の期待に応える首雄に強く依存収束しました。
この結果、猿時代と同様の「首雄集中婚」が婚姻様式として、とられています。
ただし、性闘争封鎖による仲間肯定視、首雄肯定視が、猿と人類では決定的に異なっています。
人類にとって性とは?(2)~極限時代の人類の性2
凄まじい外圧にさらされ、共認機能を唯一の命綱として生き延びてきた人類にとって、仲間との共認充足、解脱充足こそ最大の活力源。
女にとっての最大の解脱充足こそ「性」であり、男にとっては「踊り」が主要な解脱充足源だったのでしょう。
人類にとって性とは?(2)~極限時代の人類の性2
女(+首雄)=性、男=踊りと言う解脱形態をとってきた極限時代の人類ですが、観念機能獲得(おおよそ200万年頃)によって、期待=応合回路=相手と心が一体化する回路が強化され、新しい充足のあり方として”チャネリングセックス”(=相手と心が一体化することで、雌雄の肉体関係がなくても充足度の高い性充足が得られる)が可能になっていったと考えられます。
人類にとって性とは?(2)~極限時代の人類の性2
極限時代後期(観念回路獲得後)の人類は、首雄が「生殖役割」を担いつつ、チャネリングを通して集団皆が性の解脱充足を得られる、「首雄集中婚+チャネリング」の婚姻形態をとっていたとまとめることができます。
この婚姻様式によって、集団全員での充足を得ることが可能となり、人類が極限的な外圧を克服していくための最大の充足基盤となっています。
人類にとって性とは?(2)~極限時代の人類の性2
3.婚姻史の本質=「外圧の変化に適応→多用な婚姻様式」
人類にとっての「性」の本質が見えたところで、世界に多用な婚姻様式が存在する理由=婚姻史の本質について迫りました。
この極限時代の婚姻様式はその後の外圧状況の変化に応じて無限に組み換えられていきます。
人類にとって性とは?(2)~極限時代の人類の性2
重要なのは婚姻形態は常にその時々の集団にかかる外圧に規定されているということです。その外圧に適応するように、少しずつ婚姻形態を組み替えていきます。
また、婚姻形態が変われば当然、性のあり方も変化していくこととなります。
人類にとって性とは?(3)~生産様式の変化と婚姻形態の変化
以上から
『人類の性の本質=「安定と変異の両立」と言う”本能次元の性の本質”の上に、「集団の最大の活力源・共認充足源」としてのベクトルが塗り重ねられてきた』とまとめることが出来、また『性の実践場としての婚姻(様式)は、このベクトル上で、集団のおかれた外圧状況に応じて、無限に組みかえられてきた』ことが明らかになりました。
このように見てくると、性が集団から切り離されて「個人課題」へと矮小化された現在は極めて異常な状況であり、セックスレスの蔓延や草食男子の登場、性を巡る規範意識の完全喪失など、現在の「性」が行き詰まりを見せているのは「自然の摂理」「人類の摂理」に照らし合わせると、当然の結果と言うことができます。
◆人類の”性”の本質を探る 新テーマ~人類の性欲構造
これまでの追求で明確になった、人類の性の本質を念頭に、今後は人類の性欲構造の秘密に迫っていきます。
哺乳類、更にはそれ以前の生物にも見られるように、性欲は種を残す為の本能次元の「機能」ですが、共認機能、観念機能を有する人類の性欲構造は、動物次元のそれと比べ物にならないぐらい複雑です。
本能・共認・観念、それぞれの機能の塗り重ね構造と、性欲構造の間にはどのような関係性があるのか?ここを徹底的に追求していきたいと思います。
また、先述したように、現在の性は行き詰まりを見せており、一言で言って「性(欲)衰弱」の状況にあります。そう言う意味で、人類の性欲構造の本質に迫ることは、「性の再生」を考える上でも極めて重要と言えます。
性(欲)が衰弱した理由はどこにあるのか、「性の再生」の可能性はどこにあるのか?人類の性の本質に照らし合わせながら、その構造を徹底検証していきます。
追求のサブテーマとしては、以下のような内容を予定しています
1.性(欲)衰弱の最前線とその原因構造
2.人類史と性欲構造の変遷
(独占欲発=ドーパミン充足の性と期待応合発=エンドルフィン充足の性)
3.本源の性の可能性を探る
4.人類に発情期がないのはなんで?
5.本能、共認、観念の3層塗り重ね構造と性欲構造の関係
6.人類の性と性成熟~思春期って何?~
追求過程で面白いサブテーマが出てきた場合は、随時取り入れて追求していきます 😀 歯ごたえあるテーマですが、非常に面白い追求になると思うので、期待していてください
- posted by crz2316 at : 2009年11月18日 | コメント (4件)| トラックバック (0)
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人類がどのように言語を作っていったのか、仮説を組み立てている記事がありましたので紹介したいと思います。
グルーミング(毛繕い)を発展させるもの、仲間と共認を図るものとして言語が作られていき、さらに仲間以外のもの(動物や自然そのもの)にもそれを延長することで、より複雑な言語を獲得していった、というものです。
オニヅカケンタロウ氏の「おにりんのほーむぺーじ」
人類の祖先についての最近のお話 その2
http://plaza.harmonix.ne.jp/~onizuka/Ancestors2.html
人類の祖先についての最近のお話 その3
http://plaza.harmonix.ne.jp/~onizuka/Ancestors3.html
京大の霊長類研究所 正高教授が大変面白い研究をされています。
↓↓↓↓↓
http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/49/research_21_2.html
最新の説に、私たちの言語は元は「歌」だったのではないか、とするものがあります。
正高教授の研究は、それと呼応するもの。オスとメスが掛け合いで鳴き合うことが知られているテナガザルを題材にして、彼らのデュエット=「歌」の内容を研究することで、言語の成り立ちを解明しようとするものです。
テナガザルのデュエットは、初期は単なる掛け合いですが、より進化した種では、独唱のパートがあらわれ、更にはメロディラインの一部を相手がいない場所で単独で歌うようになるといいます。
決まったメロディラインのうちから一部を取り出して歌うことは、私たちにとっては造作もないことですが、実は、小鳥ではこれは無理。ある程度高度に進化した脳をもってして始めて可能な技なのだといいます。
また、面白いのは、メロディラインの一部を取り出して反復発声するのは、子供が言葉を覚える過程と相似であるといいます。正高教授は「子どもはことばをからだで覚える」という著書をお持ちですが、それと関連付けておられるようです。
大変面白い研究です。まずは、上記のサイトを、是非、ご一読ください。
>つまりお互いに影響しあって、脳と言語能力は爆発的に進化したと、ディーコン博士は考えている。
小脳、胸郭、そして大脳皮質。人類の言語能力は、200万年の長い年月の積み重ねのなかで、育まれた能力だ。それが私たちホモサピエンスの時代を迎えて、爆発的進化を遂げたのだ。<
確かに脳と言語能力の共進化により、私たちホモサピエンスの時代を迎えて、爆発的進化を遂げたのは間違いないと思われますが、脳と言語能力の共進化を促す‘動機’‘必要性’が、ホモサピエンスにあって、現在の私たちには直接繋がっていない=絶滅したと言われる、ネアンデルタール人にはそれがなかった、その違いは何なのか、ホモサピエンス、ネアンデルタール併せての追及に興味あります。
次回を楽しみにしております。
共同体社会と人類婚姻史 | 人類の進化 5 観念機能の進化 ~言語の起源~
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