日本では江戸時代までは「おおらかな性文化」では性をプラス視しており、男根崇拝や女陰崇拝など今でも地方には残っています。
一方で、キリスト文化の欧米文では「性」をマイナス視しています？
それが何処から来るのか？以前から疑問でしたが明快に答えれくれる投稿があったので紹介します。
「岸田秀先生と再び」（一神教と性）http://www.ccv.ne.jp/home/kyosaiji/page030.html#seinosyuukyou

キリスト教も元にあるユダヤ教からその文化は始まります。

①ユダヤ教は差別され虐待された奴隷の恨みの宗教です。
＞ユダヤ教は、それぞれの自分の部族、民族から切り離され、エジプトで奴隷にされて悲惨な状況に追い込まれていてエジプトから集団逃亡した連中がつくった宗教でした。
部族共同体、民族共同体にいる人たちは血がつながっている祖先神などを信仰しているものですが、ばらばらなそれぞれの共同体から追われていた逃亡奴隷たちは、どの共同体とも関係のない抽象的な神を持ってこざるを得なかったのです。
そして、悲惨な状況に追い込まれていた彼らは一致団結して戦うために、強力な唯一絶対神を必要としました。一神教はこのように差別され、危機に瀕した人たちがすがる宗教なのです。血縁共同体のなかでのんびりと暮らしている人たちは一神教など要らないのです。

↑「アレグリアと共に」からお借りしました
次の2項目は、ユダヤ教、キリスト教を理解するうえで非常に重要だと思います。
ばらばらなそれぞれの共同体から追われていた逃亡奴隷たちは、どの共同体とも関係のない抽象的な神を持ってこざるを得なかったのです。
悲惨な状況に追い込まれていた彼らは一致団結して戦うために、強力な唯一絶対神を必要としました。
先祖神などによる共同体の統合が出来なくなった逃亡奴隷は、バラバラの個人でした。
このバラバラ個人の各々が、唯一絶対神との繋がりを結成。絶対神の下において初めて集団が出来ることで、統合されました。
重要なのは、バラバラ個人が神との関係を介して集団が構成されているということです。
cf）キリスト教における結婚も男と女がお互いに永遠の愛を約束するのではなく、神と男、さらに神と女が契約するのがキリスト教の結婚です。

キリスト教の欧米文化は、このように一旦、共同体を分解して、バラバラの個人にしてから、観念（≒契約）で集団を再形成したフラインケンシュタインみたいな社会です。

②＞親子関係は、既定の血のつながりであって、任意に結んだり切ったりすることはできませんが、性関係は赤の他人が新しく結ぶことができる関係であり、それゆえ、一神教の神と、性関係とは、他の存在とのつながりを求める同じ人たちをマ－ケットとして顧客を奪い合うライバル、商売仇ということになります。
親子の血のつながり、特に男女の肉体的つながりに安住し、そこに安らぎを見出す人たちを一神教に帰依させることはできません。一神教を普及させるためには、商売仇のマ－ケットに侵入し、これを荒らさねばなりません。肉体的つながりに基づく彼らの安らぎをぶち壊し、彼らに肉体的つながりを断ち切らせなければなりません。
こういう点で、一神教は祖先神を崇拝するような宗教、性愛の歓びを法悦に含めるような宗教とは根本的に異なっています。

③＞キリスト教は家族関係以上に性関係を厳しく禁圧します。・・・男（女）を愛し慕い、男（女）に献身する女（男）は決して神を敬わない。男女の愛は一神教の不倶戴天の敵です。大地母神や男根崇拝や女陰崇拝を卑しい土俗信仰として軽蔑するのは不倶戴天の敵だからです。

共同体が解体されてバラバラの個人と成ったユダヤ人達は、絶対神の下で統合する必要があった。
その為に邪魔になるのが、今までの共同体文化（家族充足、男女充足）で、神よりも共同体文化による充足が先行すると、絶対神による統合力がバラけてしまう。
その為に、ユダヤ教は家族充足、男女充足を否定します。特に人類における根底の「性関係」を否定してしまうのです。
以降、人類存続のために完全否定できない「性関係」を否定したユダヤ教、キリスト教において、「性」は表舞台に出てこれなくなり、隠すもの、隠微なものとして扱われるようになったのです。