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2011年01月07日

原始時代の社会期待(7)~海洋民族の闘争回避【クラ儀礼】

それでも同類圧力が最先端の課題であり、共認原理で結ばれている以上、相当のエネルギーが費やされたでしょうし、それなりの評価共認圧力が各集団間で働いていたと考えられます。だからこそ、生活必需品ではなく希少価値の高い物(道具の材料となる黒曜石や、装飾品の材料となるヒスイやコハクなど)が贈物として選ばれ、膨大なエネルギーを費やしてまでも遥か遠方まで贈物が運ばれたのでしょう。集団間の「評価」といっても、決して集団間の競争的な意識ではなかった思います。事実、贈物に対して決して見返りを求めることはなかったようです。あくまでも相手の期待に応えるという「応合意識」が根幹にあったのだと思います。採取時代の適応原理

   
前回は、その具体例のひとつとして、縄文時代の黒曜石・ヒスイの広域に渡る存在を紹介しました。今回は、引き続き、トロブリアント諸島で行われていた【クラ儀礼】を紹介したいと思います。
「クラ交易」にみる贈与 るいネットより
【クラ=装飾品の贈与】

クラは、ニューギニアのマッシムと呼ばれる地域の島々間で行われる贈与であり、ルイジアード島、ウッドラーク島、トロブリアンド諸島、ダントルカストー島等を含む。

              map_me.jpg
                 写真と補足はこちらからお借りしました

《補足》メラネシアは太平洋南西部の世界第二の大きな島ニューギニア島を中心に、ニューアイルランド、ニューブリテン、ブーゲンビル、ソロモン諸島、ニューヘブリディーズ諸島、ニューカレドニア島、フィジー諸島などのとても多くの島々から成り立っています。メラネシア人は皮膚が暗褐色で髪は縮れ、パプア語とオーストロネシア語系のメラネシア語を話します。メラネシアの社会は小さく分散されており、人々はイモの栽培や漁業などによって生活を営んでいます。祖先や自然の精霊を信仰すると共に、豊富な想像力を持ち、芸術的な表現力に富んでいます。

年間を通じ温暖・湿潤な気候に恵まれ、魚介類が豊富という環境は、一見楽園のように思えます。
しかし、この自然外圧▼は、集団の共認統合力を著しく低下させてしまうという極めて重大な問題をはらんでいます。加えて、この島々は、農業に適した土地が少なく、人口△→集団規模の拡大は、島内の農地や磯場・漁場をめぐる争いを誘発する要因となります。
①外圧▼による集団の共認統合をどうするか?
②集団間の同類闘争をどう止揚するか?
この難課題を解決するために、彼らが着目したのが、「全ての共認は、評価共認に収束し統合される」という人類集団の集団原理だったのではないでしょうか。集団内・集団間を「評価共認」で統合するという形態が【クラ儀礼】だったのかもしれません。
それでは、その【クラ儀礼】の詳細を見ていきたいと思います。

贈与されるものは、二種類の装飾品であり、一つはムワリとよばれる貝の腕輪、もうひとつはソウラヴァ(あるいはバギ)とよばれる赤い貝の円盤形の首飾りである。ムワリは常に反時計回りに、ソウラヴァは時計回りに交易圏のなかを動く。

この装飾品にはまったく実用性がなく、他のいかなる品物とも交換することはできないので貨幣としての機能もない。ただ、それぞれの装飾品には、それをかつて所有した人々についての伝承が「物語」として付随している。これを長期間自分の手元にとどめておくことは許されず、次の交換相手へと手渡さねばならない。
クラ交易に参加できるのは男性だけで、参加資格を得るのは大きな名誉であり、「有名な」装飾品を手にしたものは、いっそう高い威信を手にする。クラに参加したものは装飾品のやりとりをする相手として「クラ仲間」を有しており、「堅い契りの義兄弟」関係として生涯にわたって持続する。
クラ交易そのものは経済的交易ではない。
だが、クラの機会に、島々の特産品の交換が行われ、情報やゴシップがやりとりされ、同盟関係の確認も行われ、クラが必要とする遠洋航海のために造船技術、操船技術、海洋や気象にかんする知識、さらには儀礼の作法、政治的交渉のためのストラテジーなどを参加者たちは習得することを義務づけられる。

                                             内田樹の研究室より
   
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クラには島と島との間で行われる遠洋クラと、地続きのコミュニティーの間で行われる島内クラとがありますが、ここでは遠洋クラに限定して記述します。
                    iph_kura_c01.jpg
【遠洋クラのやり方】

(1)ワガ(カヌー)つくり
遠洋クラは島と島の間の贈与である。たいへんに手の込んだカヌー(ワガ)を作ることからすべてのクラの作業は始まる。ワガの所有者、トリ・ワガが作業の中心となり、様々な呪術がほどこされて、ワガが完成する。
(2)誰が出かけるか
もらい手が、遠洋航海をするのがクラの決まりである。
(3)途中の海
もらい手のクラ・コミュニティーは何日間かの航海ののちに、クラ・パートナーのいる島に到着する。この地域の人々にとって、自分の島以外は、恐ろしい地域である。人喰い人種や、男を喰い物にする恐ろしい女性の住む島じまなのである。クラ・パートナーは、その様な恐ろしい異郷の地における友人である。
(4)目的地到着
クラ船団はクラ・パートナーの島につくと、客人として儀礼的な歓迎をうける。
(5)クラ贈与
そののち、人々はそれぞれのクラ・パートナーから贈りもの—すなわちムワリないしソウラヴァを受け取るのである。贈りものは様々な儀式的な手続きを経て行われる。取引が成立するたびにほら貝が鳴らされるという。
(6)お返しのクラ
半年くらいの間をおいて、今度は先程はホストであった(そして贈りものの与え手であった)クラ・パートナーは海を越えて、贈りものの受け手であった人達のところへ大航海をする。そして、違った種類の贈りものを彼らから受け取るのである。
(7)クラの交渉のしかた
基本的に等価とされるようなものが交換される。しかしクラは、あくまで「贈りもの」なのだ。それゆえ、値引交渉とか、もらったものが気にいらないとか、そういったことは言ってはならない。そして、もらったものは拒否できない—それがクラのしきたりである。

精霊を信仰していた彼らの「贈りもの」には、当然、「精霊」が込められていたはずです。
自分たちの崇拝する「精霊」を、相手集団に贈与することで、「人智を超えた価値や力の共有」を図ったのではないでしょうか。
そして、それを紐帯とした強固な「信認関係」で、闘争を回避するだけではなく、困難な状況さえも乗り切っていったのだとしたら、【クラ儀礼】にも、私たちが学ぶべき点が多いのではないでしょうか。
次回は、引き続き、贈与の一形態としての【ポトラッチ】を見ていきたいと思います。

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