2012年08月18日
【世界の宗教から見える男女の性】-2.キリスト教①~キリスト教の成立はイエスの誕生から全てが欺瞞~
前回は民族という集団の枠を超えたユダヤ教を扱いましたが、今回はそのユダヤ教からやがてローマ国家の国教となるキリスト教の成立を追求します
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■キリスト教の布教率
世界におけるキリスト教徒(キリスト教信者)の数は、2002年の集計で約20.4億人(うち、カトリック約10.8億人、プロテスタント諸派計約3.5億人、正教会約2.2億人、その他教派約3.9億人)であり、イスラム教徒11億人、ヒンドゥー教徒10.5億人を超えて、世界で最大の信者を擁する宗教である。なお、ここでいうキリスト教信者とは、洗礼を受ける等公式に信者と認められた者の意で、必ずしも積極的に信者として活動しているものを意味しない。
今回はこの世界最大宗教であるキリスト教の成立を追求していきます!
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■キリスト教が起こる前のローマ宗教とは?
キリスト教が起こる前のローマ人は多神教でした。基本的にギリシア神話と同じで領土が拡大するにつれていろいろな地方の神々がローマに伝わり、彼らはそれぞれにいろいろな神様を信じていました。なので他民族の宗教に対しても特に弾圧することもありませんでした。
前回扱ったユダヤ教もそうした宗教の一つでした。一神教で当時の世界では特殊な信仰でしたが、それを弾圧するようなことをーマはしませんでした。しかし、税は重くユダヤ人に対しては重税をかけます。だからユダヤ人たちの生活は当然苦しくなっていきました。
■有名なマリアの処女懐胎とマリアの子イエスは何を意味しているのか?
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さて、そんな厳しく貧しい現実の中、厳しい戒律を守り唯一神を信仰してきたユダヤ人の中に産まれたのがイエスでした。母親が有名な聖母マリア、父親は大工ヨセフです。
後にキリスト教の教義が確立する中で、マリアは処女のままで身ごもってイエスが生まれたということになります。しかし現実にはそんなことはあり得ないので、一体この話は何を意味しているのかと言うことになります。
マリアとヨセフは婚約者同士でした。ところが婚約中にマリアのお腹がどんどん大きくなります。婚約者マリアが結婚以前に身篭ったことは当時のユダヤ社会では許されない姦通でした。ヨセフとしては身に覚えがない。不埒な女だ、と婚約破棄をしても誰にも非難されません。婚約破棄するのが普通ですが、主の天使がヨセフの夢に現れてマリアを受け入れなさい、という天使の勧告に従い結婚しました。そして、生まれたのがイエスです。
マリアとヨセフはその後何人も子供をつくっています。イエスには、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンという4人の兄弟がいました。
イエスの出生の事情というのはナザレ村のみんなが知っていたようです。
後にイエスが布教活動をはじめて、自分の故郷の近くでも説法をします。その時、同郷の者達が来ていてイエスを野次ります。その野次の言葉が「あれは、マリアの子イエスじゃないか!」と言います。誰々の子誰々というのが当時人を呼ぶときの一般的な言い方なのですが、普通は父親の名に続けて本人の名を呼びます。だから、イエスなら「ヨセフの子イエス」と呼ぶべきなのです。「マリアの子イエス」ということは「お前の母親はマリアだが親父は誰かわからんじゃないか」「不義の子」(私生児)と言う意味なんです。
だから、彼の出生は秘密でもなんでもなかった。イエス自身もそのことを知っていたでしょう。
イエス自身が戒律からはみだした生まれ方をしていた。「不義の子」イエスは、だからこそ後に、最も貧しく虐げられ、絶望の中で生きていかざるを得ない人々の側にたって救いを説くことになったのだと思います。それがローマの国教、そして世界に広がるキリスト教になっていくのです。
聖母マリアの処女懐胎、という言葉には実はそんな背景が隠されていたのです。
■福音書にはどのように記述されているのか?
福音書は、イエス・キリストの言行録である。通常は新約聖書におさめられた福音書記者による四つの福音書(マタイによる福音書、マルコによる福音書、ルカによる福音書、ヨハネによる福音書)を意味する。その他にトマスによる福音書などがあるが、正典として認められなかった外典文書である。(リンク)
マルコは、出生については触れていませんが、マタイはイエスの出生の秘密を当時のユダヤ人に納得してもらうため、非常に注意深く物語を始めています。
イエス・キリストのダビテ家の系図(マタイ1章1~17)の中にその伏線を置きます。この系図の中に女性の名が出ています。タマル、ラハブ、ルツ、ウリヤの妻(バテシバ)の4人です。この4人の女性は、異邦人(ルツ)でもあるし、罪(タマルは近親相姦、ラハブ遊女、バテシバ不倫)に絡んだ人々もいます。いわば、問題のある「いわくつき」(堀田著「楽読楽語」35頁) の女性がメシヤの家系に関係しているということです。
結婚以前に妊娠したという点でマリアも問題のある女性です。しかし、神はこれら、問題のある女性を敢えて、ダビテ家の家系に関与させているということです。マタイは、次の1章18節以降に出てくる「イエス・キリストの誕生」のマリアの不祥事件?の伏線として、このメシヤとしてのダビテ系図の中に「いわくつき」の女性4名を注意深く登場させ、マリアの処女懐胎の不祥事に似た事実が過去にもあり、メシヤの家系にとって差し支えないことを、この系図で暗示しているのです。
■聖母マリアは神殿娼婦だった?
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処女降誕(Virgin Birth)より引用します。
「聖なる処女」はイシュタル、アシュラ、またはアプロディーテーに仕える娼婦-巫女の添え名であった。この添え名は文字通りの処女を表しているのではなく、単に「未婚」の意であった。このような「聖なる処女」の務めは、性崇拝によって太母の恩恵を分かち与えること、病を癒すこと、予言すること、聖なる踊りを踊ること、死者のために涕泣すること、「神の花嫁」になることなどであった。
こういう神殿つきの女たちから生まれた子どもを、セム族はbathur、ギリシア人はparthenioiと呼んだが、ともに「処女から生まれた」という意味であった。『原福音書』によれば、聖母マリアは神殿娼婦kadeshaのひとりであり、「神の父たち」として知られる僧侶階級のひとりと結婚したのであろう。
マリアの懐胎はペルセポネーの場合と似ていた。三相のうちの処女の相をとるペルセポネーが聖なる洞穴の中で腰をおろして、大いなる宇宙の綴れ織りを織り始めると、そこへ男根を象徴する蛇に変身したゼウスが現れ、救世主ディオニューソスをみごもらせた。マリアも神殿で腰をおろし、運命の綴れ織りに織り込まれると「生命」を表すことになる、血のように赤い糸を紡ぎ始めると、天使ガブリエルが「彼女に入ってきた」came in unto her(『ルカによる福音書』第1章 28節)。この句は性交を表す聖書語法である。ガブリエルという名は文字通りには「天の夫」を意味する。
■まとめ
マリアの処女懐胎は真っ赤なウソである
→なぜそこまでウソをつかなければならなかったのか?
⇒当時は私生児であることは村の人は知っており、イエス自身もそれを否定するような記述はない。つまり、後に神学として布教していった神学者たちがイエスは罪を負わずに生まれてきた=神格化するためのこじつけに利用したと考えられます。
今回はキリスト教の成立について扱いましたが、次回はいよいよキリスト教の性否定について追求していきます。
- posted by miyashow at : 2012年08月18日 | コメント (1件)| トラックバック (0)
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『失われた福音』(ロスト・ゴスペルの日本語版)を
ぜひ読んでみて!
なぜ、イエスの結婚が噂話として葬られたのか。
いろいろな謎が解け、真実を知ることができるでしょう。
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